MEMOレポート

■えーと、8/23に青山ブックセンター本店にて開催された「『にょにょっ記』刊行記念 穂村弘×フジモトマサル トークイベント」を見に行ってきましたのでその報告を書こうと思います。ただ、微妙に時間がたってしまった上に、ほとんど記憶のみで書いているので、内容についてはだいたいこんな感じだった、程度のものと捉えて頂き、発言などは正確なものではないことをあらかじめご理解頂ければと思います。

本題に入る前に、なんでこのイベントを見に行こうと思ったかについてから簡単に説明しておきますと、元々はフジモトマサルさん目当てだったんですね。生でトークを聞く機会なんてこれまでなかったし、これを逃すと2度とないのではないかと思ったので慌てて申し込むことにしたのでした。ただ、どっちかと言えば今回のイベントの主役は穂村さんの方です。なのに僕の中の穂村さんの知識は「にょっ記」と言う本を出している人というくらいしかなく、しかもそれもちらっと立ち読みして「ヘンな本だな…」と思っただけというありさまで、この状態でイベントに参加するにあたりあまりに失礼だろうと改めてちゃんと「にょっ記」を読んでみたところ、「なにこれおもしろい!」となりまして、俄然穂村さんに対する興味も高まったところでイベント当日を迎えたわけなのでした。

イベント会場に着くと、予想どおりでしたが9割以上女性のお客さんでした。僕は例によってひっそりとしていたので目立ってはいなかったかと思われます。が、近くに座っていた奥様グループの方たちがイベント開始前にスイーツ的なものを食べようとしたらしくスタッフの人に注意を受けていて、頭の中に映画館でたくわん食べようとした石井さんとこの奥さん(岡田あーみん「こいつら100%伝説」より)のことが浮かんできてしまい、笑いをこらえるのに必死になってしまいました。

やっとトークについてですが、内容はスライドを用いたイラスト解説コーナーと、質問コーナー、それから「にょにょっ記」朗読コーナーに分かれていてそれぞれ見どころ多かったです。

まず、「にょっ記」「にょにょっ記」双方の表紙に描かれている動物について。これはイタチだとか諸説あったそうなんですが、本当はヤブイヌとのこと。ヤブイヌは愛嬌のある顔と体型が印象的でちょっと気になる動物だったのですが、既にフジモトさんがイラスト化していたとは全然気づきませんでした。イラストは目つきが悪いですが、別に穂村さんをイメージしたわけではないそうです。あと本文中の挿絵の方向性としては、落語家の故・桂枝雀さんの「笑いには緊張と弛緩が必要」という言葉から、文章とあわせて緊張や弛緩が出るように心がけたとも。そういう心配りもあるんですね。
それから個別のイラストについての解説もあったんですが、そのうちの1つ、
穂村弘『にょにょっ記』P17より 
「足がつった」という吹き出しのある絵なんですが、これの元ネタがアンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」だといったことまで解説してくれました。フジモトさんのイラストってこういう小ネタがちりばめられてるんだろうなぁ…っていうことまでは薄々感じてはいるんだけど、実際に「これはあれだな」って気づくことはまずないんですよね~。教養がないのも考え物という話ですよ。ホント。

あともうひとつ。
穂村弘『にょにょっ記』P175より
この絵はロートレアモンの「マルドロールの歌」に出てくる一節が元ネタだそうです。こういうのぱっと見て分かる人が羨ましい…。

続いての質問コーナーは、イベントが始まる前に参加者が用紙に書いて提出していた質問の中から、穂村さんとフジモトさんが気になったものを選んで答えていくというもの。みなさん面白い質問ばかりだったんですが、なんと僕の質問も読んでもらえたんですね。「穂村さんとフジモトさんはプライベートでも仲良しですか? それともビジネス上のみのお付き合いなんでしょうか」という脱力系の質問だったのですが、なんでこんなことを質問したかという理由も一応あって、「にょっ記」のようにフジモトさんがイラストを担当しているブルボン小林さんの「ゲームホニャララ」と言うコラムの中で、フジモトさんと一緒にゲームをやって盛り上がったと書かれていたことがあり、そういう交流もあるんだと思ったのがきっかけなんですね。で、フジモトさんの回答としては「仲いいですよ」とのこと。なるほどー。
そして話は穂村さん主導で「友達になりやすい人、なりにくい人」といった話になり、これがまたすごく面白い話だったんですよね。いきなり「フジモっちゃ~ん」みたいにこられる人ってイヤでしょ? ってことで、波長があう人とそうでない人がいるみたいな話だったんですが、でもそういうデリカシーがないような人の方が仕事がバリバリできて会社で部長とかになっている人が多いと。ただそういう人にも独特の察知能力があって、人に突かれたくない瞬間を不意に突いてきたりする、みたいな、「あーなんかわかる」っていう話が展開されていきました。

その他で興味深かったのが、穂村さんが語った”因果律”の話。ある日、駅前で自転車を背中に抱えて歩いていた外国人とすれ違って、「ついにきた!」と思ったと。でもしばらく歩くと、接触事故か何かの現場があって、なんだそういうことかと、原因があったのかと思ってちょっとがっかりしたという話だったんですが、これは不意に何の因果も脈絡も感じない光景を目撃したらちょっとテンションが上がるという話なんだと思うんですが、「ついにきた」っていう表現が面白いなぁと。常日頃から世間をこういう見方で観察することができたら、「にょっ記」にあるような日常を送れるようになるんでしょうか。とにかく穂村さんの話はどれも予想外の視点から切り込んでくる話ばかりで全然飽きませんでした。

続いての朗読のコーナーは、穂村さんが日付を言って、その日が誕生日の人が名乗り出て「にょにょっ記」の該当日付の部分を朗読するというもの。だけど、何度日付を言っても誰も名乗り出ないまま終了してしまいました。人前で読むのはなかなか勇気要りますもんね~。途中でスタッフの人が穂村さんに、前後の日付が誕生日の人もOKにしてはと提案していたんですが、「意味がなくなる」と却下していたところに並々ならぬこだわりを感じました。

最後にはお二人にサインもして頂きました。いろんな面白い話が聞けて、行ってよかったです。
穂村弘さんとフジモトマサルさんのサイン

MEMO

“フォクすけ”が「Firefox」のツールバー上で走る拡張機能「走るフォクすけ」
これを入れてみました。走っていないときもページを眺めているような視線になっててちょっとかわいいです。
 

「はだしのゲン」続編を断念 作者の中沢さん、視力低下で
漫画家としては引退ということになるみたいですね。「はだしのゲン」は原爆の漫画っていうイメージがどうしても強くなるけど、そういう部分を抜きにしてもすっごく面白い作品ですよね。上京後のゲンも読んでみたかったけど、今の今まで出版に向けて頑張ってこられたということだけで十分というか、感謝したい気持ちになります。
 

クレヨンしんちゃんの作者が失踪、11日から
臼井儀人さんがまさかの失踪。臼井さんと言えばあれだけのヒット作を手掛けながらメディアには一切顔を出さない人だったので、実は近くに潜んでいたけど誰も気がつかなかった、とかいう話だったらいいんですが。無事でいてほしいです。

MEMO

■松本人志監督作品の「しんぼる」を見に行ってきました(以下ネタバレはたぶんなし)。
前作「大日本人」の時はただただポカーンとするしかないラストシーンのせいで素直に面白かったとは言えなかったので、今回は期待半分、不安半分みたいな気持ちで見に行ったんですが、文句なくむちゃくちゃ面白かったです。
ここまで削ぎ落とすか、と思えるような単純・シンプルな構図を通して見えてくるのは、松ちゃんの中で決して揺るぐことのない絶対的な感覚です。自分が面白いと思うことに100%の忠誠を誓い、なんの小細工、飾り立てもせずに剥き出しのまま世に放ったのがこの作品なのではないかと思いました。
そしてここまで単純化されることで、松ちゃんの信じる感覚が「さてなんでしょう?」なんて漫才をやっていた頃から全然変わっていないことにも気づかされました。

一方、ネットで他の人の感想を見てみると「全然つまらなかった」と書いている人が目に付くんですが、その気持ちも分かります。客観的な視点で万人が素晴らしいと思える深みのある作品がいい映画と言うなら、この作品はちょっと違うと思うし、僕も「大日本人」を見ずにいきなりこっちを見ていたら全然違った感想になっていたのは間違いないと思うし。
なのでこれはどっちかが「分かってる」「分かってない」とか言う話ではなくて、ある歌手の歌に感動する人もいれば、雑音にしか聞こえない人もいるように、好みの話なんでしょうね。僕には好みの作品だったというだけで。
 

ちなみに、見て面白くなかったときの保険的な意味も込めて、わざわざ有楽町まで舞台挨拶のある回を見に行ってきたんですが、その時の松ちゃんの受け答えも面白かったです。

松本人志:「殺害予告のやつかと……」ブラックジョーク連発 主演、監督の最新作「しんぼる」公開

詳しくは上の記事のとおりですが、話が終わってマスコミによる撮影タイムに移るときに、松ちゃんが持っているマイクを預かろうとスタッフの人が背後から近づいてきたんですよね。すると急に知らない人が目の前に現れたものだから、松ちゃんが本気でびっくりしてしまい、「うわー! 殺害予告の奴かと思ったー!」って絶叫したんですよ。その時既にマイクは司会の人が受け取っていて、松ちゃんの声は地声だったのに、それでも会場中に響き渡っていたくらいでしたから。

でもよく考えてみると、映画館に入るときに持ち物検査なんてしないし、おかしな人が急にステージに上がり込むことだって十分できるんですよね。そうやって思うと、殺人予告なんて当人にとっては本気で全然洒落にならないことだと思いましたです。

MEMO

パナソニック:さよなら「パナ坊」来春までに撤去
あー、これは残念ですね。電気屋のお兄さんとの交流を描いた初期の頃のCMも好きだったなぁ。でも使用期限のあるキャラクターだとは知りませんでした。こういうのって、権利を買い取って無期限で使える契約にしないんですかね~。後継キャラがいないというのもちょっぴり寂しいです。
 

『ファイナルファンタジーXIII』の発売日が2009年12月17日に決定
年内に来ました。ここでPS3のシェアをどこまで伸ばせるかが注目ですね。ソニー・コンピュータエンタテインメントにとってこの年末商戦は今後10年を決めると言っても過言ではないかもしれません。
この記事によると9/6時点でのPS3の国内販売台数は約343万台。Wiiの約843万台(8/30時点)と比べるとちょうど500万台差となりますが、ここでWiiが苦手としているコアユーザ層をしっかり取り込むことができればまた違った発展を遂げる可能性はあると思われます。
ただ今の台数はセガサターン(580万台)やニンテンドウ64(554万台)とあたりと比べても見劣りしますからね。とにかくもうちょっと売れないと…って感じですね。

あともし最近PS3を買った人がいたとしたら、ぜひ僕のおすすめソフトの「ぽちゃぽちゃあひるちゃん」もやってみてほしいです。よく「高いお金出して買ったハードでやるようなゲームじゃないだろ」とバカにされていたけど、意外と面白いんですよね。見た目によらずちょっと難しいのがなんだけど。

MEMO

トトロの公園、再び 宮崎駿監督デザイン、東京・杉並に
紆余曲折ありましたが、これでとりあえず丸く収まった感じなのかな。ただ、謎の火災が起きたっていう件については、もやっとしたものが残りますね。火災うんぬんを抜きにしても、宮崎駿が著書で取り上げたというだけで、個人所有の家屋を区が税金を使って買い取り保存するというのにはいろいろ意見がありそうですし。まあ、ともかく作るからにはいい空間ができることを1区民として期待したいです。

ちなみに、場所はこのへんです(久々のGoogleストリートビュー貼り付け)。

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ゴマブックス株式会社 民事再生法の適用を申請 負債38億2000万円
ということで、日曜日のMEMOに書いた件の詳細が出てきました。やっぱりこういう噂は本当なんですねぇ。そこで気になるといえばキャラクター本の「BONte」の今後ですよ。17号が延期に次ぐ延期の末、先日やっと出たばかりですが、連載陣の中には17号が出る前に18号用の原稿の入稿している人がいるって書かれてましたよね。すると最悪、描いた原稿が日の目を見ない上に原稿料も支払われないなんてことになるんじゃ…と他人事ながら心配してしまったので、とりあえずボンボヤージュさんのブログを見に行ってみたら、なんとも頼もしいお言葉が綴られていてちょっと感動しました(笑)。あわせてボンボヤージュさんの作品の版権管理をしているボン社のSUZUさんのブログも読みましたが、ボン社ってゴマブックスの関連会社じゃなかったんですね。会社がゴマブックス社内にあって、仕切っているのも社員さんなのでてっきり子会社か、社内カンパニー的な存在なのかと思ってましたよ。ということでとりあえずボンボヤージュさんの活動に関しては、思ったほど心配しなくてもよさそうな感じですね。
「BONte」については今のところなんとも言えないけど、この記事によるとゴマブックスはスポンサー企業候補と交渉を始めているっぽく書かれているので、話がまとまれば会社自体は当面大丈夫になりそうです。

ちなみに、出版社って資金繰りが悪化してくるととにかく新刊本を量産して、当座をしのごうとする傾向があるそうなんですが、このシリーズを366冊一挙に出したのもそれが目的だったのでは…、なんて説が囁かれているみたいです。確かに、いつもの部署とは違う仕事って書いてあるし、「BONte」17号延期のつじつまはあうしで、急に飛び込んできた仕事の可能性は高そうです。

MEMO

■上のもやしもんのエントリー、途中で「物議を醸し~」という文章が出てきますが、これはやはり”かもし”に引っかけて何か書くべきかと一瞬迷いましたが、やっぱり怖くて触れませんでした。こういうのをセルフ地雷って言うんですかね。危うくかもして殺されるところでした。
 

さんま、雑誌「本人」の独占ロングインタビューで激白
へぇ、インタビューとは珍しいですね。でもさんまの場合はやっぱり文章じゃなくて、その模様を映像で見たい気もします。
 

■土曜日にやっていた「ジャングル大帝」を見ました(以下ちょっとネタバレあり)。僕はジャングル大帝大好きだし、今回脚本を担当した鈴木おさむも好きだけど、それなのに当初は全然見る気がおきなかったんですよね。
だって、確実につまらない作品に仕上がりそうじゃないですか。だいたい「ジャングル大帝」って今の時代にリメイクするのは難しい作品だと思うんだよなぁ…なんて思いながら見始めたんですが、意外や意外、けっこう面白い作品になっていてびっくりしました。

見始めて最初に「おっ!?」って思ったのが、動物の言葉が理解できる子供(今回の作品の主人公的存在)が登場したところ。原作漫画だとジャングルの動物たちが勉強して人間の言葉を話せるようになるという重要なファクターがあるんですが、これをそのまま現代に持ってきてもギャグになっちゃうと思うんですよね。なので、平成に入ってから作られたテレビアニメと劇場版では、動物はしゃべらない設定になっていたんですが、それだと「動物と人間との言葉を使った交流」という原作のいちばんオリジナルな部分がそっくり無視されているような気がして、それはそれでどうなのと思っていたので、この設定を逃げずにうまく組み込んだことにまずは食いついたというわけです。
ちなみに、なぜこの子だけが動物の言葉が理解できるのかという点について、作中では一切語られていないんですが、想像するためのヒント的なシーンがいくつかあったりするのも味わい深いです。

後半はSF的な要素が色濃くなっていくんですが、これは監督の趣味だったのかな。ラストがお気楽なハッピーエンドじゃなかったのも、覚悟を持って未来を切り開くっていう厳しさが伝わってきてよかったです。

キャラクター的にはいたずらなサルたちがかわいかったです。キャラクター原案として天野喜孝さんの名前がクレジットされていますが、このサルがいちばん天野さんっぽさが出ているような感じがしました。

ストーリー自体は原作と全然違うのでおそらく賛否はあると思いますが、自分的には中途半端に原作ストーリーを取り入れるよりも、このくらい無視してくれた方がすっきりしました。こういうリメイクならまた見てみたいなぁと思いましたです。