MEMO

漫画家の鳥山明さんの訃報が公表されてもう1ヶ月近く経過しましたが、まだ喪失感がすごいです。そんなわけで、鳥山明作品との個人的な思い出を振り返ってみようと思います。

とは言え、週刊少年ジャンプの部数が600万部を超えていた黄金期直撃世代であるにも関わらず、少年漫画を全然読んでいなかった珍しいタイプのやつなので、鳥山作品もアニメなどを通しての間接的な関わりが主となります。

いちばん最初の記憶としては『Dr.スランプ』をアニメ化した『Dr.スランプ アラレちゃん』です。当時、とんでもなく流行してましたよね。身の回りにもアラレちゃんグッズが当たり前のようにあふれていた記憶があります。勉強机の椅子にアラレちゃんのシールを貼りまくって、白い枠のところまで貼ってしまって後で後悔したり、エンディングに流れていた「アラレちゃん音頭」をテレビの前で真似して踊ったり、妹が母に怒られているときに横へ行って「おこられちった!」とちゃかしたら、母の怒りの矛先が自分に来てしまい、妹に「おこられちった返し」をされてしまったり。物心がついたときには生活の中に当たり前のように存在していた、アラレちゃんはそんな存在だった気がします。

アラレちゃんのアニメが終わって『ドラゴンボール』が始まるのですが、実は1度途中で見るのをやめているんですよね。と言うのも、最初の頃に悟空がブルマをパンパンするシーンがあったじゃないですか……。当時下ネタが異常に嫌いな子供だったので、あのシーンにギョッとしてしまい、当時チャンネル権を掌握していた姉に「このアニメ面白くないから見るのやめよ」と直訴して、裏番組を見るようにしちゃったんですよね。

ところが、しばらくすると学校では僕の知らないアニメの話題で持ちきりになるのですよ。そこで姉にこれこれこういうアニメがあるらしくて見てみたいんだけどと相談すると、それあんたが面白くないって言ってたやつ! って言われてはじめて気づくんですよね。改めて見てみると、面白いのなんの! 一瞬で孫悟空のファンになっちゃったのでした。

ピッコロ大魔王が本気で怖くて夢にまで出てきたり。Zになってからはなんと言っても悟飯の存在ですよ。弱かったのに、凄いパワーを発揮する存在に成長していく様にものすごく感情移入しながら見ていました。ただ、この頃から雑誌を読む人がまわりで急増してしまうので、アニメ派はちょっと肩身の狭い思いもするんですよね。アニメではナメック星編が始まる前なのに、友達から戦闘服を着た悟飯とクリリンのイラストが描かれた年賀状が送られてきて、「ええー! なんでサイヤ人の服着てるの!?」なんてどぎまぎしたり。

そんなドラゴンボールと並行して触れた鳥山作品として、『ドラゴンクエスト』の存在も外すことはできません。僕が最初に触れたのは『II』でしたが、仲間が1人ずつ増えていくストーリーや、個性的なモンスターたちにすっかり夢中になりました。特に最初に出会うモンスターのスライムは、冒険が進むにつれていろんな亜種が登場するのも楽しかったです。ただ、スライムは頭の先端のとがっている部分の形状がドット絵では理解ができずに、絵に描くとき右側のように描いていた記憶があります。「それ違うから」と姉に言われて気づいたり。

スライム

『II』はパッケージイラストも印象深いんですよね。やっとラスボスのハーゴンを倒したと思ったら真のラスボス、シドーが登場するんですよね。こんなの聞いてない! と思いつつ戦うのですが、とんでもなく強くて。そんな折、ふとパッケージイラストをよく見たらちゃんとハーゴンの後ろにシドーが描かれているんですよね。何度も見たイラストにこんな仕掛けがあったなんて、なんで気づかなかったんだと、衝撃を受けましたよ。

パッケージイラストと言えば『III』も思い出深いです。社会現象になるくらい大人気で当然のように発売日には買えなかったのですが、2日後に学校から帰ると、母に「ドラクエあるよ」と言われて、「はぁ?」と思いながら机の上を見たら夢にまで見たドラクエIIIのパッケージが! 発売日が定休日だったスーパーに在庫があったらしく買ってくれていたのでした。絶叫したのは言うまでもありません。嬉しかったなぁ。

ドラクエはその後も最新作の『XI』までリアルタイムで遊ぶことになるのですが、思い出として外せないのはやっぱりオンラインゲームとなった『X』ですよ。一時期自分のことを完全にプクリポだと思って生きてましたからね……。あのアストルティアにどっぷり浸っていた日々は、僕の人生の中でもすごく特殊で掛け替えのない贅沢な時間だったように思えます。

鳥山さんはドラゴンボールの連載終了後、『COWA!』『カジカ』『SAND LAND』と、単行本1冊で終わる短めの作品を手掛けるようになるのですが、中でも僕は『COWA!』に衝撃を受けました。ドラゴンボールの後にこんなかわいらしい世界観の物語を描くんだと。インスタにも書きましたが、主人公のパイフーが大好きなのです。

『SAND LAND』も大好きなので、いきなり劇場アニメ化・ゲーム化が発表されて驚きました。昨年映画館で見て、原作に忠実かつ、盛り上げるところはいい感じに改変された内容に本気を感じました。なにより映像のクオリティが凄いんですよね。

このサイトで鳥山作品をちゃんと取り上げたのは、絵本作品の「てんしのトッチオ」と、結果的に最後の連載漫画となった「銀河パトロール ジャコ」の2作品だけでしたが、振り返ってみるとずっと人生のどの場面にも鳥山作品は身近にあったんだなぁという思いです。

Disney+で配信される『SAND LAND』の新シナリオや、『ドラゴンボール超』以来の新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』といった新展開にも期待していた矢先のことだったので、もっともっと、いろんな展開を見たかったです。