COLUMNグッズ

昨年11月に引っ越しまして、その際にメインで使っていた本棚を廃棄したんですね。そのため、しばらくは本を段ボールに入れっぱなしにして暮らしていたのですが、ようやく新しい本棚やら棚やらを購入し、本を棚へと綺麗に収めることができました。

スペースに余裕もできたので、空いたところに何か飾りたいなぁと思っていたところ、久しぶりに中野ブロードウェイへ行くことがありまして、4階にある「まんだらけ 変や」で見たことのないかわいいキャラクターの貯金箱が目に留まり、思わず購入してきたというのが本題です。

「変や」は昭和のノベルティグッズがたくさん販売されていて、見てるだけで楽しいお店なのですが、まあ値段もコレクター価格でそれなりにしますので、普段は本当に見てるだけのお店です。でも今回購入したグッズは汚れていたのもあってか、手が届かなくもない絶妙な価格だったのが決め手になりました。

ゆきんこ

ゆきんこ

ゆきんこ

「住友銀行 ゆきんこ」として販売されていた、頭についているぼんぼりまで含めて全長14cmくらいの貯金箱です。背中には確かに「SUMITOMO BANK」とのスタンプが押されています。頭巾をかぶった雪の妖精のようなモチーフでしょうか。手描きのちょっと不安定感のある顔の表情がお気に入りです。素焼きなので汚れを落とすのは難しそうですが、実物は写真ほどは気にならないので、まあいいかなと思っています。

さて、この"ゆきんこ"なるキャラクター、いつ頃いた存在なのでしょうか。住友銀行は2001年の合併により三井住友銀行となり、2014年からは「どーもくん」などのキャラクターでおなじみの合田経郎さんが手掛けた「ミドすけ」がマスコットキャラクターとして起用されています。

合併前はというと、1995年から合併直前まで「ポリンキー」や「だんご3兄弟」などで知られる佐藤雅彦さんが手掛けた「バンクー」というキャラクターが起用されていました。少なくともそれより前にいたキャラクターということで間違いなさそうです。

当初、絶対僕が知らないだけで検索したらすぐに情報が出てくるもんだと思っていたんですが、びっくりするくらい何も出てこない! 1件だけ同じキャラと思われるソフビ人形を販売しているサイトが見つかるくらいでした(どうも怪しい転載サイトのようなのでリンクはしません)。

こうなると「ゆきんこ」という名称も正式名称ではない可能性がしてきました。ネットにはこれ以上手がかりがなさそうと判断し、広尾にある東京都立中央図書館へ赴きました。企業キャラクターのことは社史に詳しい情報が載っている場合があると、以前図書館の人に教えてもらったことがあったのでした。この図書館は貸出ができるわけではないですし、国立国会図書館のようにあらゆる出版物が網羅されているわけでもないですが、普通の図書館には置いていないような専門性の高い資料が豊富にある上、平日だと夜9時まで開館しているという便利な施設なんですよね。と、知った風に解説しましたが、僕も今回はじめて訪れました。でも本当に素晴らしい図書館だったので定期的に来ようと思いました。

社史のような資料も普通の図書館にはないですが、ここには揃っていました。まずチェックしたのが1998年に刊行された「住友銀行百年史」という書籍。広告展開に関係ありそうな項を重点的に調査したところ、ありました。写真付きで!

カバ君カウンターディスプレー
▲住友銀行行史編纂委員会 編纂「住友銀行百年史」P548より(住友銀行刊、1998年)

キャプションにあるように、昭和58年(1983年)夏のボーナス時に「カバ君カウンターディスプレー」というキャラクターを使用した広告展開を行い、その後のボーナス時期にもキャラクターを替えて同様の展開を行っていたようです。カウンターディスプレーというくらいだから、店頭カウンターの装飾がメインで、そこから派生してノベルティも作ったのだと思われます。

残念ながら本文ではこれらのキャラクターについての言及はなく、「カバ君」以外のキャラクターについての正式名称は分からずじまいでした。

この少ない情報からゆきんこについて推測されるのは以下の2点です。

・昭和50年代頃のボーナス時期限定のキャンペーンキャラクターだった
・外見から、冬期ボーナス時のキャラクターだったと思われる

ボーナス時期の1期だけしか登場しなかったとすれば、ネット上に何も情報がないのも納得がいきます。にしても画像のゆきんこのぬいぐるみ、むちゃくちゃかわいくないですか。正直ほしいです……。

また、同書のP549には前述のバンクーについての記載があり、そこには"都銀初のオリジナルキャラクター「くまのバンクー」"と言及されていました。ということは、それ以前のゆきんこ達は銀行自体のキャラクターというよりも、一時的なキャンペーンキャラクターという性質の存在だったのだろうと推測されます(言葉の意味合い的にオリジナルではない版権キャラだったという可能性もありますが、カバ君達の並びを見るにその可能性は少なそうに思います)。

ちなみに、写真に写っている雷小僧のキャラクターのグッズはネット上での取引がいくつか確認できたのでリンクしておきます。

G◆住友銀行◆貯金箱 雷小僧 鬼 雷神 陶器製 SUMITOMO BANK ノベルティ レトロ ビンテージ 2体セット(ヤフオク!)
昭和レトロ 住友銀行 貯金箱 陶器製 鬼(メルカリ)

いずれも同じ貯金箱で、ゆきんことは違い釉薬が塗られてつるつるした質感になっています。

続いて、時代を遡り1985年に刊行された「住友銀行史 : 昭和五十年代のあゆみ」という昭和50年代に絞った歴史が記載されている社史についてもチェックしてみました。

こちらは画像はなかったものの以下のような記述がありました。

五十八年夏のボーナスキャンペーンに使用した「カバ君カウンターディスプレー」は、POP(Point of Purchase)広告協会主催のカウンターディスプレーなどの店頭広告コンクールであるPOP広告展で、銀賞を受賞した。カバ君以外にも、各季のボーナスキャンペーンで使用した人形は、犬やマンボーなど親しみやすいキャラクターが人気を呼び、キャンペーン終了後譲り受けの希望が多くて配布に苦労している。

住友銀行行史編纂委員会編纂「住友銀行史 : 昭和五十年代のあゆみ」P139-140(住友銀行刊、1985年)

先程の画像では5つのキャラクターの存在が確認できましたが、ここではマンボーという別の存在に言及されているため、最低でも6キャラはいたことになります。このキャンペーンは人気だったようで問い合わせもあったようですね。

ただ、残念なことにここでもカバ君以外の正式名称は確認できませんでした。

新情報として、このキャンペーンはPOP広告協会主催のPOP広告展で銀賞を受賞したというものがあります。このPOP広告展について調べてみると、現在も「日本プロモーシャル・マーケティング協会展」という名称で毎年行われている歴史のあるPOP広告のコンテストということが分かりました(主催組織も現在は日本プロモーショナル・マーケティング協会と名称変更しています)。そんな歴史のある賞なら年鑑もあるに違いないと思い探してみたら、ありました。

日本POP広告作品年鑑 1984/POP広告協会出版委員会・編、POP広告協会出版委員会・刊(国立国会図書館デジタルコレクション)

この書籍は東京都立図書館にも所蔵がないようですが、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されていました。いつの間にかこんな貴重な書籍が自宅のPCで確認できる時代になっていたんですね……。

というわけでチェックしてみると、ありました。P123の一般業種の銀賞のところに「ボーナスキャンペーンカバ君ディスプレイ」として写真付きで紹介されています。企業名の欄には住友銀行と連名で電通と電通印刷という企業も記載されています。

賞をもらったのはカバ君だけなのかなと思い、念のため翌年の年鑑もチェックです。

日本POP広告作品年鑑 1985/POP広告協会・編、POP広告協会・刊(国立国会図書館デジタルコレクション)

すると……、あ、ありましたー! P136に「ゆきんこカウンターディスプレイ」として写真付きで紹介されていました! ちゃんと「ゆきんこ」が正しい正式名称でした(まんだらけさん疑ってごめんなさい)。P158には出品基準として"昭和58年9月1日~昭和59年8月31日までの間に実際に使用されたもの"とありますので、昭和58年(1983年)冬のボーナス時のキャラクターということで間違いないでしょう。
しかもこの写真をよく見ると、映っている大きいゆきんこはまさに購入した貯金箱と同じものに見えます。そして怪しいサイトで売っていたソフビ人形が小さい方の人形ですよ。

ついでに社史の画像に載っていた雷小僧のキャラクターも「カミナリくん」だということが判明。カバ君が昭和58年夏、カミナリくんが昭和59年夏のキャラクターなんでしょうね。

せっかくなので翌年以降の年鑑もチェックしてみようと思ったら、1986年以降のものはデジタルコレクションでは公開されていませんでした。昔の店頭広告がたくさん見られて楽しかったので、機会があれば国立国会図書館でチェックしてみたいです。

というわけで、これは間違いなく世界でいちばん住友銀行の「ゆきんこ」に詳しいページになったのではないでしょうか? 分からないことがあればSNSで聞けば詳しい人にたどり着き、あっという間に正解が分かってしまう昨今ですが、拡散力がない奴はやっぱり自分で調べるしかないのです。でも最後にちゃんとした結果にたどり着くことができて満足でした。

住友銀行 ゆきんこ貯金箱(まんだらけ通信販売)…まんだらけのサイトを見ると、在庫はないもののきれいなゆきんこ貯金箱の販売ページがありました。やっぱり汚れがないのもほしい……。

COLUMNキャラコラム

「お探しのポケモンはいますか?」

12月上旬、久々に渋谷のポケモンセンターに訪問したときのこと。棚をつぶさに見て回っていたら店員さんにそう声を掛けられました。
"お探しの商品"ではなくて"お探しのポケモン"なんだと、その語感に新鮮味を感じながら「いや、大丈夫です」と返答しました。
でも本当は大丈夫じゃなかった。その時、実際にあるポケモンを探していたのでした。

メッソンを、それも笑顔のメッソンをーー。

メッソンは、ゲームの最新作『ポケットモンスター ソード・シールド』に登場し、主人公が最初に入手するポケモンとしてヒバニー、サルノリとともに提示される三体のうちの1匹です。
最初はそんなになんとも思っていませんでした。ヒバニーの方がかわいいし…。でも実際にゲームで最初のポケモンを選ぶ段階になってから、なんだか急に気になりだして、気がついたら相棒になっていたのでした。

"みずとかげポケモン"のメッソン、最大の特徴は泣き虫なところです。アニメに登場するメッソンも、一度泣くとつられて周囲にいた人やポケモンも一緒に泣いてしまうキャラクターとして描かれています。
そんなわけでメッソンのグッズもその特徴を反映させた泣き顔や、真顔のものが多いんですね。ヒバニーやサルノリが笑顔の中でメッソンだけ真顔……。それもいいんですが、やっぱり笑顔のメッソンが見たいです。

そんな思いを内に秘め、センター中を探していたのですが、こんなにたくさんのポケモングッズがある専門店でも笑顔のメッソングッズってほとんどなかったんですね。「そういうものなのかぁ」と思いながら帰路についたのでした。

やっぱりあのとき店員さんに聞いてみたらよかったかなぁ。でも「メッソングッズはありますか?」ならまだしも、「笑顔のメッソングッズはありますか?」ってちょっとこだわりが強そうでハードル高いよなぁ、なんて思ったり。

そういえばちょうどあの時、クリスマス仕様のグッズの前にいたけど、ヒバニー、サルノリ、ピカチュウのグッズはあったのに、メッソンだけいなかった気がするなぁ。なんだったんだろと思いながらふと検索することしてみたのでした。

すると……。「うわー!」

ポケモンセンターオリジナル ぬいぐるみ Pokémon Christmas Wonderland メッソン

そこには僕が思い描いていた、口を開けて笑っている、笑顔のメッソンぬいぐるみがいたのです(画像はAmazonより)。
更に調べてみたところ、このクリスマス仕様のぬいぐるみは「Pokémon Christmas Wonderland」というシリーズのポケモンセンター限定のグッズで、11/7に発売開始されたものの、どうもメッソンのぬいぐるみだけ店舗でもオンラインショップでも既に売り切れてしまっているようでした。

Amazonにある公式のポケモンストアでも取り扱いがありましたが、もう既にマーケットプレイスの高額出品があるだけの状態に。でもAmazonにあったんだったら、Keepaというツールを使ったら価格の履歴を調べられるので、いつ頃まで在庫があったのかチェックできるかなと思い確認してみたところ、11/25頃に売り切れていたようでした。もう少し早く知っていたら……。

どうして、どうしてほしいものってちょうど売ってないのでしょうね?

結局、クリスマスまでに在庫が復活することもなく、このシリーズのグッズは販売終了してしまいました。
でもメッソンだけ売り切れるっていうことは、みんなも笑顔のメッソンを待ち焦がれていたってことだよね!?
そんな希望と期待を胸に、いつか笑顔のメッソンもたくさん見かけるポケモンセンターになればいいなぁと夢見るのでした。

ポケモンセンターオンライン(公式サイト)

COLUMNアニメ

2016年も今日が最後と言うことで、最後にこのテーマに触れておきます。今年はもうね、「星の子ポロン」の1年でしたよ。

「星の子ポロン」って何? という方のために簡単に説明しますと、僕が1990年頃に見ていた昔のアニメで、なんだかすごい内容なんだけど、当時の記憶があやふやな上に、ネット上にもほとんど情報がないと言うことで、何度かこのサイトでも取り上げていたんですよね。

正義の使者、星の子ポロン(2000.3.10)

最初に取り上げたのはこのサイトを始めて10ヶ月後、ポロンを視聴していた頃からすると10年が経った2000年のことでした。

情報を募集する形にしていた甲斐もあって、その後は当時の視聴者の方から散発的に情報をいただくことがあったんですが、そういったことも徐々になくなり、僕の中でもポロンのことは遠い昔の話になっていきました。

ところが、それから更に9年後の2009年、ニコニコ動画にポロンの本編動画が投稿されるという事件が起こり、晴れて19年ぶりにポロンを視聴することができたのでした。ポロンとはどんな作品だったのかを知りたかっただけの僕にとっては、本編動画というのはこれ以上ない情報だったわけで、僕の中のポロンの情報を追い求める旅にもひとまず終止符が打たれることになったのでした。

その後の僕は、年1、2回くらいかな、ふとポロンのことを思い出した時にネットを検索してみたり、Twitterでポロンを視聴した人の感想なんかを眺めて1人モニターの前でニタニタしていることはあったものの、それ以上のことはありませんでした。

ところが、2015年頃から独自にポロンのことを調べている人達がいるっぽいことに気づくんですね。どうも「チャージマン研!」(初放送の時期がポロンと同じで超展開アニメという共通点もあり、このアニメ経由でポロンのことを知る人が多い)のファンの方の中に、ポロンのことに強く興味を持った集団がいるみたいだぞと。
最初は今なおポロンのことをそんなに気に掛けてくれる人がいるんだ、嬉しいな、くらいにしか思っていなかったんですが、その人達は僕が思っていた以上に"ガチ"だったんです。

その人達は「星の子ポロンまとめWiki」というサイトを立ち上げて、ネット上に散らばるポロンの情報を収集した上で、更に図書館などで当時ポロンを放送していたテレビ局についての情報や、製作会社の情報などを次々にまとめていったんですね。そしてついに、2016年1月、新たなポロン本編動画の発掘に成功し、ニコニコ生放送で公開されるに至ったのでした。

そこからの流れは、ジェットコースターのようにすごかった。数時間分の録画テープを所有している人の存在が発覚し、毎週新作が公開されるようになったり、ポロンの上映会が開催されたり(僕も行きました)、ガジェット通信が主催する「アニメ流行語大賞」の特別賞を受賞したり…。今月にはついに、ポロンと同じ会社が製作した、ポロン以上に幻の作品と言われていた「ガンとゴン」の発掘にも成功してしまいます。

その行動力の凄まじさは、「そんなことできるんだ!」の連続でした。それはある意味、ポロン本編自体よりもすごいものを見せられているという感覚というか。

対して、僕はこれまで何をやっていたんだという反省も大きかったです。だってこの十何年という時間がありながら、ポロンの情報を収集するために自分から動くということを何もやってこなかったという現実をまざまざと突きつけられたわけだもん。

ただ、仮に僕が1人で動いていたとしてもこんな発掘にまでは決して至らなかったと思います。そもそもポロンにかける熱量が違うし、これは多くのポロニスト(←ポロンファンの呼称です)の方達の頑張りが成し遂げたことなんだと思います。

というわけで、今年はいいものを見させてもらったなという1年でした。本当に、当時ポロンを見ていてよかったと思いました。2017年にはどんなことが起こるのか、楽しみです。

COLUMN

はい、「キャラクターで振り返る2011年」の後編です。こちらでは例によってちょっとした騒動になった話題を中心に集めています。それではどうぞ(前編はこちら)。 
 

●サンリオ、ミッフィーと和解(6/7)

キティちゃんの友達の「キャシー」というキャラが「ミッフィー」に似ているということで、2010年に勃発したこの騒動。お互い主張を譲らず裁判という形で決着を付ける流れになっていましたが、3月に発生した東日本大震災を受け、両社が裁判に掛ける費用を義援金として寄付することに合意し、和解する運びになったのでした。
もし裁判が長引いていたらどんな結論が出たとしても、後々禍根を残すことになりかねなかっただけに、早期に解決できて本当によかったと思える一件でした。
メルシス社(オランダ)と株式会社サンリオの係争和解合意について(サンリオ 2011.6.7) 
 

●リラックマのパチスロが登場(2/18)

サンエックスを代表する人気キャラクターの「リラックマ」がなんとパチスロになるということで、ファンを中心に驚きの声が上がりました。更にこの件は、一般に公表されるまで作者にも知らされていなかったということで、余計に物議を醸してしまうという事態になってしまいました。
リラックマは元々大人の女性をメインターゲットにしたキャラクターなので、サンエックス的にはパチスロもありだと思ったのかもしれないけど、やっぱりもうちょっと考えてほしかった気がします。
リラックマのパチスロが登場(2011.2.19)
リラックマファンの皆様へご報告申し上げます。(akibako 2011.2.18)
このたびの件につきまして(akibako 2011.2.23)
リラックマのハネスロができました。(リラックマごゆるりブログ 2011.5.9)…サンエックスによる告知。
 

●まんべくん大炎上(8/14)

長万部町のキャラクターのまんべくんが、キモカワイイ見た目に加えてTwitter上での公式キャラとは思えぬ発言の数々が受け、大ブレイク。東京で開催されたイベントでは30分でチケットが売り切れるなどの加熱ぶりを見せましたが、Twitter上での戦争に関する発言と、その後の対応に関して批判が集まり、全国区のニュース番組でも取り上げられるほどの騒動に発展してしまいました。
その後、まんべくんは活動を自粛しましたが、11月に活動再開を発表、年明けにはTwitterも再開しています。
この騒動についてはいろいろな視点から考えさせられることがありましたが、責任の所在が明確に求められるタイプのメッセージを発したいなら、責任のある人以外に迷惑の掛からない場所でやらないといけないんだなと、改めて思った次第です。
ウザかわいい! 長万部のキャラ「まんべくん」がつぶやきすぎな件(ねとらぼ 2011.1.31)
キモイのに男前 Twitter時代の“マジレス型ゆるキャラ”「まんべくん」にファン熱狂(ねとらぼ 2011.4.8)…この2つの記事を書いた岡田有花さんが騒動後に発した「わたしにとってのTwitterがおわった、のかもしれない。」というつぶやきが印象的でした。
まんべくん『どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまり』→『炎上の後のペプシネックスは格別!』(Togetter 2011.8.14)
まんべくんツイッター中止 戦争巡る発言に批判 北海道(朝日新聞 2011.8.18)
 

●まだある! Twitterで話題になったキャラたち

まんべくんほどでもなかったものの、Twitter上には他にも話題になったり物議を醸したキャラクターがいました。ということでいくつか紹介してみます。
1つはニュースサイトの47NEWSが運営していた「てくにゃん」。キャラクターがニュースを紹介するアカウントだったようですが、「死刑は世界に誇れる極刑ニャーッ!」といった感じで個人的見解も同時につぶやいたために大炎上。閉鎖するはめに。過ちとしてはまんべくんと同種ですね。
もう1つは、震災後に登場した「もんじゅ君」というアカウント。原子力施設の非公式キャラクターを演じながら、原子力行政の問題点を指摘するという皮肉の効いたつぶやきに注目が集まりました。
不適切な書き込みで閉鎖 47NEWSのツイッター(47NEWS 2011.7.23)…ちなみに書き込みをしたのは編集作業を委託している会社の契約社員だったとのこと。
え?と思った、47news公式キャラクターてくにゃんのツイート(Togetter 2011.7.22)
もんじゅ君(Twitter)…僕はフォローしていないので、どんな意見が展開されているのか詳しくは知りません。
 

●阿久根市壁画騒動

阿久根市の公共施設や店舗のシャッターなどに独特なタッチのイラストが描かれまくっていることがネット上で指摘され、波紋を呼びました。これは、「ブログ市長」と呼ばれていた竹原信一市長(当時)の発案により行われていた町おこし事業だったんですが、そのイラストに描かれているものが市にまったく縁のないものだったり、人気アニメのキャラクターなどが無断で描かれていたりしたため問題化。市長の”独裁政治”の象徴といったニュアンスで報道されるようになりました。
最終的には市長選により新しい市長が選ばれたことと、新市長と画家が協議し、一部のキャラクターが描かれていた絵については描き直される運びになったことで沈静化しました。
阿久根市実は壁画の街 観光活性化策に異論も(J-CASTニュース 2011.1.7)
ピカチュウ→東シナ海風景に 阿久根の壁画、画家が修正(朝日新聞 2011.1.30)
 

●ピカチュウそっくり!? エコハちゃんきぐるみ

宇部市の「エコハちゃん」というキャラクターのきぐるみが「ポケットモンスター」のピカチュウに似すぎているのではないかとネット上で話題になりました。
エコハちゃんはイラストでは全く似ていないんですが、きぐるみ化した段階でやけに似てしまった模様。そういった経緯もあり、当初は似せて作ったものではないと説明していた市側ですが、ポケモンのライセンスを管理する会社と協議した結果、今後のきぐるみの使用は差し控えるという形で落ち着きました。
着ぐるみ化で…「エコハちゃん」ピカチュウ激似(Sponichi Annex 2011.8.4)…エコハちゃんの考案者がピカチュウを「知らなかった」と説明したことに対して突っ込みを入れている方も見かけましたが、高齢の方のようだしなくはないと思います。むしろ確実に知っていたはずの着ぐるみ製作業者の方はなんとも思わなかったのかなぁと。
宇部市環境イメージキャラクター「エコハちゃん」の着ぐるみに関する今後の対応につきまして(ポケットモンスターオフィシャルサイト 2011.8.12)
宇部のエコフェアに「ピカチュウ」来場-「エコハちゃん騒動」も和解(山口宇部経済新聞 2011.10.28)
 

●不名誉なあだ名がつけられた「わんだほ」(8/4)

昨年、生放送中に「怪しいお米 セシウムさん」などという衝撃的なテロップを放送してしまい、日本の放送事故史に新たなページを刻むことになってしまった東海テレビ。番組は打ち切られ、担当者は懲戒解雇されるなど、大変な結果を招くことになってしまいましたが、なぜかネット上ではテレビ局のキャラクターである「わんだほ」がセシウムさんと呼ばれてとばっちりを受けることになってしまいました。
企業キャラクターはその企業を代表するだけに、一旦何か不祥事が起きてしまうと矢面に立たされこういう目に遭ってしまうんですね。キャラに罪はないのに…。なんだか悲しいです。
セシウムさん扱い!悲劇のマスコット『わんだほ』のまとめ【東海テレビ】(NAVERまとめ 2011.8.5)
「ぴーかんテレビ」に関する情報(東海テレビ)
 

●トーマス、Mr.Men…買われるキャラたち

昨年12月、サンリオが「Mr.Men and Little Miss」のライセンス事業を行っているイギリスの会社を買収したと発表しました。これは、キャラクターを1から育てるよりも、よそから買収した方が短期的に収益の柱を作りやすいという方針によるもののようです。
一方、その少し前にはバービー人形でおなじみのアメリカの大手玩具メーカー、マテル社が「きかんしゃトーマス」や「ボブとはたらくブーブーズ」などのキャラクターを保有するイギリスのヒット・エンターテインメントを買収することを発表しています。
こちらは規模的にキャラクターの買収以上の意味合いもあるのかもしれませんが、ちょっと気になる流れが起こっているのかもしれません。
サンリオ、英Mister Men社を買収(2011.12.7)
「トーマス」「ピングー」、米マテルが会社ごと518億円で買収(MSN産経ニュース 2011.10.25)
きかんしゃトーマス、買収される~マテル、ヒット・エンターテインメント吸収合併による各所への影響は?(Puff Puff THOMAS!さん)…トーマスファンサイトによる今後の影響等への考察です。

以上、今回は合計18個の話題を選んでみました。もたしていたら2月になっててびっくりです。次こそはもっと早くまとめたいものです。

キャラクターで振り返る2011年(前編)(2012.1.30)

COLUMN

中途半端な時期に1年を振り返るこのコーナーが今年もやってきました。一応趣旨を説明しておきますと、昨年1年をキャラクターの話題を絡めて振り返ってみようかなというふわっとした企画です。そういえばそんなこともあったねと思って頂ければ幸いなんですが、昨年に限ってはそうも言ってられないことがいろいろ起こってしまったのでちょっと複雑だったりもします。
今回も前後編に分けてみました。まずは前編からどうぞ。
 

●てをつなごう だいさくせん(3/23)

2011年を振り返る上で避けて通れないのが3月11日に発生した東日本大震災です。まだ不安な日々が続く中、アニメーション作家の合田経郎さんが1つのプロジェクトを始めました。そこには日本や世界の、いろんなキャラクターたちが手をつないでいるという、今まで見たことがない光景がありました。
「こんなことができるんだ」という、一つの形を見せてくれた気がします。
てをつなごう だいさくせん(公式サイト)
てをつなごう だいさくせん(ごーだのらくがきつうしん)
 

●あいさつの魔法。

震災関連といえば、これも忘れることができません。発生からしばらく、テレビではACジャパンのCMが繰り返し放送されるという状況になり、その中のこのCMに洗脳され、無意識のうちに「ポポポポ~ン!」とつぶやいてしまう人が世代を超えて続出してしまったのでした。
ネット上では二次創作作品を発表する人が相次ぎ、派生キャラを描く人、フィギュアを作る人、戦隊ロボに変身させる人、ボタンを作る人などが登場、大きな反響になりました。
ACジャパンにはしつこいと苦情が来ることもあったそうですが、予断を許さぬ状況の中、このCMにほっとできた人も多かったのではないでしょうか。
あいさつの魔法。(Wikipedia)
あいさつの魔法。(2011.3.16)
 

●地デジ化、完了!(7/24)

テレビの世界ではアナログ放送が終了し、地上デジタル放送に一本化されるという大きな変化が起こった年でもありました。PRキャラクターの地デジカくんも一時は見ない日はないくらい、いろんな番組に出演して大活躍! でも地デジ化後はすっかり見なくなり、年末の笑ってはいけないスペシャルで久々に見たときは思わず「懐かしい」って思っちゃったり。
そんな地デジカくんですが、宮城、福島、岩手の3県ではアナログ放送が今年の3月31日まで延長されているので、実はまだお仕事中だったりします。もうひと頑張りです。
地デジカ(公式サイト)
 

●藤子・F・不二雄ミュージアムオープン(9/3)

「ドラえもん」や「キテレツ大百科」などの国民的作品で知られる藤子・F・不二雄さんのミュージアムが川崎市にオープン! 展示物だけではなく、館内の案内や建物の外観に至るまで、思わずニヤッとしてしまうような遊び心がそこかしこにちりばめられている素敵な施設になっています。 
藤子・F・不二雄ミュージアム(公式サイト)
 

●バファローベル大人気

1月、オリックス・バファローズのマスコットだったネッピーの引退に伴い、そのあとを受け継ぐ形で兄弟ロボのキャラクター、バファローブルとバファローベルが誕生しました。その後、女の子キャラのバファローベルに対し、造形やしぐさなど、マスコットとしての完成度の高さに注目が集まるようになり、ついには写真集まで発売されたりと、人気がヒートアップしていきました。
女の子のマスコットがこういった注目を集めるのは意外と珍しい現象だと思うので、今後の展開にも注目です。 
[本]バファローベル公式フォトブック ベルがいっぱい(2011.10.22)
マスコット紹介(オリックス・バファローズ)
燕太郎 キモキモ動画(YouTube 東京ヤクルトスワローズ公式チャンネル)…ちなみにバファローベルが注目されるきっかけとなったのがこちらの動画なんだけど、正直この燕太郎はギリギリアウトだと思う(笑)。
 

●スライム肉まん、100万個が消えた!(11/29)

日本を代表するゲームソフト「ドラゴンクエスト」の25周年ということで、人気モンスターのスライムをかたどった肉まんが販売されました。食べ物としては異例の真っ青な色がインパクトとなり、出荷された100万個がまたたく間に完売となったのでした。
中には買ってきた肉まんにアレンジを加えて、別のスライムに変化させてしまった人や、自作のスライム肉まんを作ってしまう人なんかも登場。さすが国民的ゲームといった盛り上がりを見せてくれました。
「スライム肉まん」をさらに進化させる痛ましい事件が発生しています(ねとらぼ 2011.11.29)
全国の勇者たちは錬金術で自らスライム肉まんを作り出していた(ねとらぼ 2011.12.2)
「スライム肉まん」100万個出荷完了 そして全滅へ(ねとらぼ 2011.12.6) 
 

●くまモン大活躍

九州新幹線を通して熊本県をPRするため2010年に誕生したゆるキャラ、くまモン。3月に全線開通したことをきっかけにその知名度をどんどん全国区へと広げ、「ゆるキャラグランプリ」の1位に選ばれるなど、人気キャラへと成長していきました。
くまモンは「くまモン体操」でのダンスなど、機敏で激しい動きを見せてくれるのが楽しいんですよね。これからもゆるキャラ界の新しいスターとして活躍していってほしいです。
くまモンオフィシャルサイト
ゆるキャラグランプリ…3位のにしこくんもその前衛的な姿に注目が集まりました。
九州新幹線全線開業CM 特別篇180秒(YouTube)…全線開業のCM、震災の影響で予定通りには放送されなかったそうですが、幻のCMとして話題になりました。
 

●子供が狂乱! スポンジ・ボブのCMがすごい!

マクドナルドのハッピーセットに「スポンジ・ボブ」のグッズが登場、ということで放送されたCMなんですが、YouTubeにUPされるや否や世界中から視聴されるほどの注目を集めました。その理由は実際に動画を見てもらえれば分かって頂けると思うんですが、CMに登場する子供たちのはしゃぎっぷりが尋常じゃないんですね。一体どんな演技指導をすればこんなことになるのやら。
これを見た外国の方々からは「やっぱり日本はイカれてる」なんて反応があったようですが、とりあえずアメリカの人には言われたくないような。マクドナルドもスポンジ・ボブもあなたのとこのものなんだからねっ。
ハッピーセットCM スポンジ・ボブ「ハチャメチャびっくり」篇(YouTube)
子供が狂喜するマクドナルドのCMを観た外国人たちのコメント(誤訳御免。さん) 
 

●Nyan Cat、日本人の知らないところでブレイク

YouTubeと言えば、ドット絵で描かれたネコのキャラクターが空を飛んでるGIFアニメを元にした動画が海外のネットユーザーの間で大人気になっているという話もありました。動画は4月に投稿され、年末までに5000万回(現在は6000万回以上)を超える再生回数を記録したというから驚きです。
しかも、バックで流れている曲は日本人が制作し、ニコニコ動画で発表した作品がそのまま使われているんですね。歌詞が「ニャン」だけで繰り返される中毒性の高さが人気の様子ですが、当の日本のネットユーザーからは「なんでそんなに受けてるの?」という反応で、若干蚊帳の外状態になっているという変わった現象が起きています。
YouTubeで1000万の衝撃!日本のカワイイ「Nyan Cat」(ASCII.jp 2011.6.4)
Nyan Cat [original](YouTube)
Nyan Cat(ニコニコ大百科)
Nyan Cat / daniwellP feat. 初音ミク、桃音モモ…2/1にCD化するそうです。 
 

●フランス発、付箋アートがブームに 

海外でブームと言えばこんなこともありました。フランスのゲーム会社、ユービーアイソフトの従業員が窓に付箋を使ってゲームキャラクターを描いてみたところ、向かいのビルで働く人達からも付箋アートで反応が! 以降、付箋アートの応戦はどんどんエスカレートし、ついにはパリ中の街角で見られるようになったんだとか。
なにその素敵エピソードは、って感じですよね。こういうことのできるゆとりが羨ましいなぁと思います。あと最初に描かれたキャラクターが僕の好きなラビッツというところも個人的にポイント高しです。
ビルの窓越しに付箋アート対決、フランスの会社間で“戦い”広がる。(Narinari.com 2011.8.11)
Post-it War…こちらのサイトで作品の数々がまとめられています。

前編はここまでです。後編はこちら

キャラクターで振り返る2010年(前編)(2011.1.27)
キャラクターで振り返る2010年(後編)(2011.1.28)

COLUMN

「ニャーおっさん」のWEBサイトをリニューアル

ニャーおっさん、公式サイトがあったんですね。懐かしいなぁ…。知らない人のために紹介しておきますと、「ニャーおっさん」はリラックマの作者として知られるコンドウアキさんが手掛けたキャラクターで、元々は「chara(キャラ)」というキャラクターに関するコミュニケーションサイトのマスコットキャラだったんですよね。

サイトがなくなってしまったのでニャーおっさんも出番がなくなってしまったんですが、その後もコンドウさんが参加されていたPOPBOXというイベントで作品が展示されていたりもしていたので、いつか日の目を浴びてほしいなぁと思っていたんですよね。
 

ちなみにその「chara」というサイトについてですが、僕もほんのちょっとだけ関わっていたりしていました。

キャラクター・おもちゃのコミュニティサイト「chara」(2007.1.22)

その辺の経緯は↑のリンク先でも書いていますが、このサイトを立ち上げた方は元々「goodies」という雑貨やキャラクターグッズを紹介する雑誌を編集されていた方だったんですけど、僕はその雑誌ことが好きで、よく取り上げていたことがきっかけだったんですよね。

[雑誌]goodies 2006 SPRING(2006.3.13)
[雑誌]goodies 2005 AUTUMN(2005.10.1)
[雑誌]goodies2005年春号、巻頭特集シナモロール(2005.2.18)
[雑誌]goodies 2004年夏号、水森亜土特集(2004.5.18)
[雑誌]goodies 2004春号、「WE LOVE BANDAI!」(2004.2.18)
[雑誌]goodies 2003秋号、特集「BANDAI NEW ITEM!」(2003.9.4)

で、僕はニュースのコーナーやコラムを書く人の1人として参加したんですけど、結果的には当初期待されていたような役割を何一つこなすことなく、早々に身を引いてしまったんですね。これは本当に、「だったら最初から引き受けるな」って話です。今思い出してもでも申し訳ないことをしてしまったなと思っています(ちなみに→のアーカイブにある2007年1月~4月のエントリーは「chara」で更新していたコラムというか日記の内容をそのまま持ってきたものです)。
 

辞める前までに2度ほど実際に担当の方とお会いして打ち合わせ的なこともしたんですが、その時に「サイトのマスコットキャラクターの候補が2つあるんですけどどちらのキャラがいいと思いますか」ってイラストを見せてもらったことがあったんですよね。2つともコンドウアキさんのデザインで、一方は普通のかわいい感じのキャラで、もう一方が「ニャーおっさん」で。普通に考えたらサイトの看板としてはかわいいキャラの方が適任だと思ったんだけど、ニャーおっさんにはそれを上回る程のインパクトがあって。しかも選ばれない方はこのまま闇に葬り去られるみたいな話だったので、ニャーおっさんはこのまま埋もれさすには惜しすぎるキャラだと熱く語ってしまったのでした。

その後、無事にニャーおっさんの方が選ばれているのを見たときはほっとしたものです。実際には僕の意見なんて、選定には1ミリも影響を与えていないんだとは思いますが、でもひょっとしたらって考えたら素敵やん?(笑)

なので、僕にとってのニャーおっさんは普通のキャラクターではなくて、すごく特別な思い入れのある存在なのです。いつかコンドウアキさんが手掛ける他のキャラ達のように、誰でも知っているようなキャラクターになったらいいなぁと願うばかりです。

goodies関連の書籍
▲僕が所有するgoodies関連の書籍です(左上は「カエルボン」、右上は「プリモプエル オフィシャルパーフェクトブック」)。新刊が出なくなってもう何年にもなりますが、プリンツ21のサイトを見るとまだページが存在するのでまたいつか復活してほしいなぁ。