MEMO

4/28に公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、世界で大ヒットしているようですごいですね。僕も2回、普通の吹き替え版と4DXの吹き替え版を観に行きましたよ。4DXは『ベイマックス』以来の2度目の体験でしたが楽しかったです。

この映画の感想として、「ストーリーはシンプルだけど面白かった」みたいに書かれているのをよく見るけど、僕的にはけっこう逆の印象で、「こんなに細かく描かれるんだ!」と冒頭から驚きの連続でした。プロット的にはハリウッド的な王道の展開なので、その部分を指してるんでしょうけどね。

なによりいちばんの驚きはゲームを体験しているときのような、わくわくする楽しさを映像作品として実現してしまっていることですよ。2回見てもなんでこんなに楽しいのか分かりません。やっぱり宮本さんってすごい! と思いましたです。上映が終わる前に字幕版も観に行きたいところです。
 

そして、5/12にNintendo Switch向けに発売されました『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』。こちらも世界で超絶大ヒットしているようですごいです。僕も発売日に買って以来ずっと遊んでいますが、もう本当に異常な面白さです。正直、前作の『ブレス オブ ザ ワイルド』のような新鮮な気持ちでは遊べないだろうなと思っていたのに、まったくそんなことはありませんでした。アクション要素のあるゲームって疲れるからそんなにずっと遊んでいられないのが普通なのですが、なんでこんなに無限に遊んでしまえるんでしょうか。不思議です。

スーパーマリオもゼルダの伝説も僕が子供の頃に登場した作品で、当時からマリオもゼルダも大好きでした。そういった作品が今なお世界の人を熱くさせる力があって、こうやって新作に触れることができるありがたさをひしひしと感じます。これからも、ずっとずっと楽しませてほしいです。

COLUMNグッズ

昨年11月に引っ越しまして、その際にメインで使っていた本棚を廃棄したんですね。そのため、しばらくは本を段ボールに入れっぱなしにして暮らしていたのですが、ようやく新しい本棚やら棚やらを購入し、本を棚へと綺麗に収めることができました。

スペースに余裕もできたので、空いたところに何か飾りたいなぁと思っていたところ、久しぶりに中野ブロードウェイへ行くことがありまして、4階にある「まんだらけ 変や」で見たことのないかわいいキャラクターの貯金箱が目に留まり、思わず購入してきたというのが本題です。

「変や」は昭和のノベルティグッズがたくさん販売されていて、見てるだけで楽しいお店なのですが、まあ値段もコレクター価格でそれなりにしますので、普段は本当に見てるだけのお店です。でも今回購入したグッズは汚れていたのもあってか、手が届かなくもない絶妙な価格だったのが決め手になりました。

ゆきんこ

ゆきんこ

ゆきんこ

「住友銀行 ゆきんこ」として販売されていた、頭についているぼんぼりまで含めて全長14cmくらいの貯金箱です。背中には確かに「SUMITOMO BANK」とのスタンプが押されています。頭巾をかぶった雪の妖精のようなモチーフでしょうか。手描きのちょっと不安定感のある顔の表情がお気に入りです。素焼きなので汚れを落とすのは難しそうですが、実物は写真ほどは気にならないので、まあいいかなと思っています。

さて、この"ゆきんこ"なるキャラクター、いつ頃いた存在なのでしょうか。住友銀行は2001年の合併により三井住友銀行となり、2014年からは「どーもくん」などのキャラクターでおなじみの合田経郎さんが手掛けた「ミドすけ」がマスコットキャラクターとして起用されています。

合併前はというと、1995年から合併直前まで「ポリンキー」や「だんご3兄弟」などで知られる佐藤雅彦さんが手掛けた「バンクー」というキャラクターが起用されていました。少なくともそれより前にいたキャラクターということで間違いなさそうです。

当初、絶対僕が知らないだけで検索したらすぐに情報が出てくるもんだと思っていたんですが、びっくりするくらい何も出てこない! 1件だけ同じキャラと思われるソフビ人形を販売しているサイトが見つかるくらいでした(どうも怪しい転載サイトのようなのでリンクはしません)。

こうなると「ゆきんこ」という名称も正式名称ではない可能性がしてきました。ネットにはこれ以上手がかりがなさそうと判断し、広尾にある東京都立中央図書館へ赴きました。企業キャラクターのことは社史に詳しい情報が載っている場合があると、以前図書館の人に教えてもらったことがあったのでした。この図書館は貸出ができるわけではないですし、国立国会図書館のようにあらゆる出版物が網羅されているわけでもないですが、普通の図書館には置いていないような専門性の高い資料が豊富にある上、平日だと夜9時まで開館しているという便利な施設なんですよね。と、知った風に解説しましたが、僕も今回はじめて訪れました。でも本当に素晴らしい図書館だったので定期的に来ようと思いました。

社史のような資料も普通の図書館にはないですが、ここには揃っていました。まずチェックしたのが1998年に刊行された「住友銀行百年史」という書籍。広告展開に関係ありそうな項を重点的に調査したところ、ありました。写真付きで!

カバ君カウンターディスプレー
▲住友銀行行史編纂委員会 編纂「住友銀行百年史」P548より(住友銀行刊、1998年)

キャプションにあるように、昭和58年(1983年)夏のボーナス時に「カバ君カウンターディスプレー」というキャラクターを使用した広告展開を行い、その後のボーナス時期にもキャラクターを替えて同様の展開を行っていたようです。カウンターディスプレーというくらいだから、店頭カウンターの装飾がメインで、そこから派生してノベルティも作ったのだと思われます。

残念ながら本文ではこれらのキャラクターについての言及はなく、「カバ君」以外のキャラクターについての正式名称は分からずじまいでした。

この少ない情報からゆきんこについて推測されるのは以下の2点です。

・昭和50年代頃のボーナス時期限定のキャンペーンキャラクターだった
・外見から、冬期ボーナス時のキャラクターだったと思われる

ボーナス時期の1期だけしか登場しなかったとすれば、ネット上に何も情報がないのも納得がいきます。にしても画像のゆきんこのぬいぐるみ、むちゃくちゃかわいくないですか。正直ほしいです……。

また、同書のP549には前述のバンクーについての記載があり、そこには"都銀初のオリジナルキャラクター「くまのバンクー」"と言及されていました。ということは、それ以前のゆきんこ達は銀行自体のキャラクターというよりも、一時的なキャンペーンキャラクターという性質の存在だったのだろうと推測されます(言葉の意味合い的にオリジナルではない版権キャラだったという可能性もありますが、カバ君達の並びを見るにその可能性は少なそうに思います)。

ちなみに、写真に写っている雷小僧のキャラクターのグッズはネット上での取引がいくつか確認できたのでリンクしておきます。

G◆住友銀行◆貯金箱 雷小僧 鬼 雷神 陶器製 SUMITOMO BANK ノベルティ レトロ ビンテージ 2体セット(ヤフオク!)
昭和レトロ 住友銀行 貯金箱 陶器製 鬼(メルカリ)

いずれも同じ貯金箱で、ゆきんことは違い釉薬が塗られてつるつるした質感になっています。

続いて、時代を遡り1985年に刊行された「住友銀行史 : 昭和五十年代のあゆみ」という昭和50年代に絞った歴史が記載されている社史についてもチェックしてみました。

こちらは画像はなかったものの以下のような記述がありました。

五十八年夏のボーナスキャンペーンに使用した「カバ君カウンターディスプレー」は、POP(Point of Purchase)広告協会主催のカウンターディスプレーなどの店頭広告コンクールであるPOP広告展で、銀賞を受賞した。カバ君以外にも、各季のボーナスキャンペーンで使用した人形は、犬やマンボーなど親しみやすいキャラクターが人気を呼び、キャンペーン終了後譲り受けの希望が多くて配布に苦労している。

住友銀行行史編纂委員会編纂「住友銀行史 : 昭和五十年代のあゆみ」P139-140(住友銀行刊、1985年)

先程の画像では5つのキャラクターの存在が確認できましたが、ここではマンボーという別の存在に言及されているため、最低でも6キャラはいたことになります。このキャンペーンは人気だったようで問い合わせもあったようですね。

ただ、残念なことにここでもカバ君以外の正式名称は確認できませんでした。

新情報として、このキャンペーンはPOP広告協会主催のPOP広告展で銀賞を受賞したというものがあります。このPOP広告展について調べてみると、現在も「日本プロモーシャル・マーケティング協会展」という名称で毎年行われている歴史のあるPOP広告のコンテストということが分かりました(主催組織も現在は日本プロモーショナル・マーケティング協会と名称変更しています)。そんな歴史のある賞なら年鑑もあるに違いないと思い探してみたら、ありました。

日本POP広告作品年鑑 1984/POP広告協会出版委員会・編、POP広告協会出版委員会・刊(国立国会図書館デジタルコレクション)

この書籍は東京都立図書館にも所蔵がないようですが、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されていました。いつの間にかこんな貴重な書籍が自宅のPCで確認できる時代になっていたんですね……。

というわけでチェックしてみると、ありました。P123の一般業種の銀賞のところに「ボーナスキャンペーンカバ君ディスプレイ」として写真付きで紹介されています。企業名の欄には住友銀行と連名で電通と電通印刷という企業も記載されています。

賞をもらったのはカバ君だけなのかなと思い、念のため翌年の年鑑もチェックです。

日本POP広告作品年鑑 1985/POP広告協会・編、POP広告協会・刊(国立国会図書館デジタルコレクション)

すると……、あ、ありましたー! P136に「ゆきんこカウンターディスプレイ」として写真付きで紹介されていました! ちゃんと「ゆきんこ」が正しい正式名称でした(まんだらけさん疑ってごめんなさい)。P158には出品基準として"昭和58年9月1日~昭和59年8月31日までの間に実際に使用されたもの"とありますので、昭和58年(1983年)冬のボーナス時のキャラクターということで間違いないでしょう。
しかもこの写真をよく見ると、映っている大きいゆきんこはまさに購入した貯金箱と同じものに見えます。そして怪しいサイトで売っていたソフビ人形が小さい方の人形ですよ。

ついでに社史の画像に載っていた雷小僧のキャラクターも「カミナリくん」だということが判明。カバ君が昭和58年夏、カミナリくんが昭和59年夏のキャラクターなんでしょうね。

せっかくなので翌年以降の年鑑もチェックしてみようと思ったら、1986年以降のものはデジタルコレクションでは公開されていませんでした。昔の店頭広告がたくさん見られて楽しかったので、機会があれば国立国会図書館でチェックしてみたいです。

というわけで、これは間違いなく世界でいちばん住友銀行の「ゆきんこ」に詳しいページになったのではないでしょうか? 分からないことがあればSNSで聞けば詳しい人にたどり着き、あっという間に正解が分かってしまう昨今ですが、拡散力がない奴はやっぱり自分で調べるしかないのです。でも最後にちゃんとした結果にたどり着くことができて満足でした。

住友銀行 ゆきんこ貯金箱(まんだらけ通信販売)…まんだらけのサイトを見ると、在庫はないもののきれいなゆきんこ貯金箱の販売ページがありました。やっぱり汚れがないのもほしい……。