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第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展に行ってきた

今年のメディア芸術祭の受賞作品展は6月13日~24日開催ということで、今回もたっぷり見てきました。
(2018.7.1追記:写真と、映像作品の感想を追加しました)

毎年、展示だけでなく映像上映や関連イベントもできるだけ参加するようにしていて、今回も気になったものはだいたい参加することができました。主な参加イベントは以下の通り。

・エンターテインメント部門 大賞受賞者トーク:上田文人『人喰いの大鷲トリコ』
・アニメーション部門大賞『夜明け告げるルーのうた』トーク付上映
・アニメーション部門大賞『この世界の片隅に』トーク付上映
・功労賞・竹内オサム ビランジを通して語るマンガ研究の世界

上田文人さんのトークイベントは、なかなか生でお話を聞く機会なんてないと思うので参加できてよかったです。土曜日ということもあってか、講堂の席がぎっしり埋まるほどの人気でした。

『夜明け告げるルーのうた』のトークでは監督の湯浅政明さんが登場。湯浅さんのお話を聞くのは8年ぶりでした。

『この世界の片隅に』のトークは監督の片渕須直さんと、主役のすずを演じた女優ののんさんが登場。のんさん、直視できないくらいキラキラしてました。

漫画研究家の竹内オサムさんのトークでは、批評・評論とはまた違う、地道なデータを積み重ねる漫画研究の重要性について貴重な話が聞けました。

それぞれ、ちゃんとメモも取ったので、また改めて個別にまとめたいところなんですが、毎年そう言いながらやってないんですよね……。すみません。

映像の上映プログラムでは会場には展示されていない審査委員会推薦作品等もじっくり見ることができます。その中で心に残った作品をいくつか紹介します。

『Candy.zip』
日本の短編アニメーション。パソコンで作成したドキュメントがキャンディになる世界で、オフィスで働く女の子が主人公。ある日、同僚に自分自身がZIPファイルのキャンディにされてしまい、そこからどうにか復讐を遂げるというストーリー。あらすじだけ書くと突飛すぎて意味不明気味ですが、なぜかすんなり世界に入っていけてしまうのがすごいです。カラフルで透明感のある映像が綺麗でした。

『Gokurosama』
日本のショッピングモールを舞台にしたフランスの3DCGアニメーション。こういうのってヘンテコ日本になりがちだけど、どういうわけかやたら忠実に日本が再現されていて逆に面白いです。女の子が使っているスマホが富士通製のパロディになっているところに日本に対する謎のこだわりを感じました。現実には富士通のスマホを使う女の子ってかなり少数派でしょうけど…。

『RAINBOW』
韓国の短編アニメーション。どこにでもいそうな地味な女の子が、なぜかこの世界におけるヒーローと付き合っていて、不釣り合いな自分に悩んでしまうというちょっと切ないストーリー。このヒーローというのが、超人的な力を持つ青年で空も飛んだりするんですが、見た目は肌が青いところ以外、普通の人みたいなところがなんかぐっときました。

『Toutes les poupées ne pleurent pas』
カナダの人形アニメーション。映像に登場する2人の男女は一緒に暮らしながら人形アニメーションを制作しています。この時点でメタ的な設定なのですが、途中から登場するもう1人の女性のおかげで物語は更に入り組んだ構造を見せ、観客は今まで見せられていたものは何だったのか、考えざるを得なくなります。

『さらば銀河系』
日本の短編アニメーション。ゴミため場に住む謎の動物の親子のストーリー。ひょんなことからロボットと間違われて連れ去られてしまった親を取り戻すべく、子供は冒険の旅に出ます。キャラクターデザインやクレイアニメのような質感の表現など、言われなければ海外の作品のようなセンスを感じました。

『monoscape』
こちらはアート部門の映像作品。港湾施設でコンテナを運搬している映像が延々と続く作品。代わり映えのしない場面が延々と続くので、気がついたら途中で寝てしまったんですが、後になってあれは何だったんだろうと妙に気になってしまいました…。

『サウンドロゴしりとり』Youtube
こちらはエンターテインメント部門の映像作品。NHK『テクネ映像の教室』で放送され、その後Twitterでも話題になったのでご存じの方も多いかもしれません。大画面で見ると面白さも倍増で、テンポの速さも相まって笑いが追いつかない現象が起こっていました。

『宇宙ショートショート絵巻「反物質の子どもたち」「太陽症候群」』
こちらもエンターテインメント部門の映像作品で、NHKが制作したものです。宇宙科学を題材にしたファンタジーストーリーなんですが、横長い紙にイラストレーターが鉛筆でどんどん絵を描く映像と、俳優の朗読を組み合わせるという斬新な見せ方の作品になっています。イラストは100%ORANGEと長崎訓子さん、朗読は神木隆之介さんと菊池亜希子さんがそれぞれ担当しています。
反物質の子どもたち(NHK)
太陽症候群(NHK)

続いて、展示会場の写真もどうぞ。

Yin
▲個人的に今回いちばん面白かったフランスの短編アニメーション作品『Yin』の原画。

Negative Space
▲人形アニメーション『Negative Space』のセット。

Negative Space
▲続いて小道具。写真だとサイズ感が分かりませんが小さくて細かいです。

Negative Space
▲そして登場キャラクターの人形たち。

ハルモニア feat. Makoto
▲手描きアニメーションのミュージックビデオ、『ハルモニア feat. Makoto』の原画。枕のキャラクターがかわいいです。→Youtube

夜明け告げるルーのうた
『夜明け告げるルーのうた』のキャラクター原案を担当したねむようこさんのイラスト。

この世界の片隅に
『この世界の片隅に』の展示。

COCOLORS
▲アニメーション作品『COCOLORS』の展示。

進化する恋人たちの社会における高速伝記
▲アート部門『進化する恋人たちの社会における高速伝記』。僕が好きだった『千年家族』というゲームを更に高速化・抽象化した感じで見ていて楽しかった。

人喰いの大鷲トリコ
『人喰いの大鷲トリコ』の展示。等身大のトリコがこちらのアクションに反応するというインタラクティブな展示で、今回のためだけに作られたんだとか。

Pechat
▲エンターテインメント部門の『Pechat』。ぬいぐるみに付けるボタン型のスピーカーです。隣にはしっぽが付いたクッション型ロボットの『Qoobo』も展示されていたけど写真に撮れず。

ねぇ、ママ
▲マンガ部門大賞を受賞した池辺葵さん作『ねぇ、ママ』の展示。

AIの遺電子
▲山田胡瓜さん『AIの遺電子』の展示。会場ではじめて読んだけど面白かったです。こういう作品好き。

五万人だ!!
『夜の眼は千でございます』で優秀賞を受賞した上野顕太郎さんの展示。

甘木唯子のツノと愛
▲久野遥子さんの『甘木唯子のツノと愛』の展示。今にも動きそうな線がすごい。

増村十七さんのサイン
『バクちゃん』でマンガ部門新人賞を受賞した増村十七さんのサイン。会場の壁に描かれていました。作品は電脳マヴォで公開されています。

「文化庁メディア芸術祭」これまでのエントリー(2016.2.16)…2016年、2017年分は結局何も書いてないんだっけ…。

[Switch]マリオ+ラビッツ キングダムバトル

久々のトピックスですが、本日発売されるこのゲームソフトを紹介です。

マリオ+ラビッツ キングダムバトル
[Switch]マリオ+ラビッツ キングダムバトル(amazon)
任天堂 2018.1.18発売 5980円+税

あのラビッツが、まさかのマリオとのコラボで帰ってきました!

「ラビッツ」はフランスの大手ゲームメーカー、UBIソフトの人気キャラクターです。日本でもWiiを中心に8本のソフトが発売されているんですが、国内での知名度は今ひとつなのでゲーム好きな人でも知らない人の方が多いかもしれません。

僕はラビッツファンなので、このサイトではこれまで何度もラビッツを取り上げてきたんですね。でもまさか、任天堂の超人気キャラであるマリオとコラボできる日が来るとは夢にも思いませんでした。びっくりです。不釣り合い感は半端ないけどね…。

ところでこのソフト、海外では昨年夏に発売されているのでかなり遅れての発売となっています。そんなこともあって、どうせ捨て駒的にひっそり発売するのかと思っていたら、ちゃんとTV CMも放送されていて、意外と力を入れていて驚きました。

人気が続くNintendo Switchの波に乗り、ラビッツ人気にも火が付いてくれると嬉しいけど、さすがにそこまではムリかな? 「キモカワイイというより、単純に気持ち悪い」なんて評されることもあるラビッツですが、実際はちゃんとかわいいんですよ。このかわいさに、みんなもいつか気づいてほしいです。

マリオ+ラビッツ キングダムバトル(任天堂公式サイト)…ジャンルはターン制のシミュレーションゲーム(公式にはシミュレーションアドベンチャー)という、マリオとしてはかなり変わったゲームとなっています。耳に残るCM曲を歌っているのはラッパーのKEN THE 390さんのようです。

マリオ+ラビッツ(マイニンテンドーストア)…マリオファミリーに扮したラビッツ達のフィギュアが発売されています。どうもこのサイト限定販売のよう。

『ラビッツ インベージョン』Season 1(YouTube UBI JAPAN公式チャンネル)…マリオ+ラビッツの発売を記念してなのか、2013年から海外で放送されていたラビッツのアニメーションが12話公開されています。ちなみに↓のエントリーでこのアニメをアードマン・アニメーションズが制作していると伝えていますが、当初はその予定があったものの、実際には制作から外れていたようです。

「ラビッツ」のアニメシリーズが2013年スタート(2011.10.7)

[雑誌]イラストレーション 2016年12月号 特集「100%ORANGE」

久しぶりに雑誌「イラストレーション」をご紹介。100%ORANGEの特集号です。

[雑誌]イラストレーション 2016年12月号 特集100%ORANGE
[雑誌]イラストレーション 2016年12月号 特集100%ORANGE
玄光社 2016.10.18発売 1852円+税

イラストレーション誌と100%ORANGEは、2002年の最初の特集号、それから2009年の作品集「GOOD SMILE」の発売、そして2016年の今回の特集と、謎の7年周期での関わりがあるそうです。ていうか100%ORANGEって活動20年だそうですよ。そんなに長くやってたんですね。

誌面での特集は約50ページで、前半部分で「GOOD SMILE」以降に手掛けた仕事のビジュアルを紹介、後半の5ページでは2人へのインタビュー記事があります。

このインタビューが、すごく面白かったです。特に印象深かったのが、絵のタッチを変えることについてと、線画とテクニックの話についての部分。まずは、タッチを変えるのはこれまでのパターンを壊したくなる感じがあるのか尋ねられたところ。

及川 いや、壊したり殻から出たいというよりも、むしろ自分を守るためにやっているという意識なんです。同じような仕事で同じような絵を描いちゃうと、ダメだって思う。(中略)別の自分になろうとか、驚かせようとかはまったく思ってなくて。むしろ何か来たからよけたら、ちょっとタッチが変わったなという感じ。(P48より)

そして、線画の話の中で、絵にテクニックが出始めるとダメだと思ってしまうという話の流れで出た部分。

及川 面画はデザインしている気持ちなので、絵を描くのとは少し違うんです。線画はほんとにつらくて。上手くなるというか整っちゃう。かといって左手で描くとか、わざと下手に描くのは嫌なんですよ。(中略)テクニックでやってる人を否定するわけじゃなくて、「わざと」みたいなのは僕はやらない。わざと汚すとか。いい雰囲気以上の感動にならない気がして…。(P49より)

僕なんか、及川さんのイラストのよさって、あの雰囲気にあると思っちゃうんですよね。ところが最近、そんな雰囲気からは脱するようなタッチのイラストもちらほら見かけるようになり、どういうことなんだろうと、うっすら気になっていたのでした。

でもそういう雰囲気を求められるまま同じような絵を描き続けていたら、それ以上の感動にならないっていうのは確かにそうかもと思うし、この言葉って絵を見る側だけの話ではなく、描く側の気持ちとしてもそうなのかなぁと。「自分を守るため」って、結構深いというか、重い言葉な気がしてきました。

これまでの仕事を紹介しているページの中で、特にいいなと思ったのは「少年少女囲碁大会」のポスター。年ごとに、デザイン的な遊び心が前面に出ていて、すごいです。手書きの文字もいいし。これ、結構大きな大会のポスターだと思うんですけど、こんなに自由にやっていいんですね。
ルイ・マル監督のDVDパッケージイラストは2009年の作品ということで、昔からの100%ORANGEのイメージの絵ですが、トータルで格好良く仕上がっててやっぱり素敵です。
次のページにある「あしやティアフル映画祭」のポスターも一見タッチはルイ・マルDVDのイラストと似ているんだけど、違いますよね。

100%ORANGEカレンダー
そして、この号には特別付録として2017年の卓上カレンダーが付いてきます。おまけレベルの安っぽい感じじゃなくて、A5サイズのしっかりした作りです。来年はこのカレンダーを部屋に飾って乗り切ろう…。

イラストレーション 2016年12月号 No.212(出版社の紹介ページ)
100%ORANGE(公式サイト)

[雑誌]イラストレーション no.187 特集「いわいとしお」(2010.12.2)
[本]SUNAO SUNAO/100%ORANGE(2009.3.27)

[映画]父を探して

父を探して
久しぶりに映画についてのつたない感想でも書いてみます。現在、渋谷・シアター・イメージフォーラムにて公開中の「父を探して」というブラジルのアニメーション映画です(途中からネタバレっぽいことも書いてます)。

数々の受賞歴

この作品は2014年にはアヌシー国際アニメーション映画祭の最高賞と観客賞を同時受賞したり、2015年のアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされるなど、数々の賞を受賞しているんですが、僕的には日本での配給をアニメーション研究家の土居伸彰さんが昨年新しく立ち上げたニューディアーという会社が行うということで、気になっていたんですよね。

シンプルすぎるキャラクター

もうひとつ気になったのは、かわいくも異常なまでにシンプルなキャラクターです。十数分の短編アニメーションならわかるんですが、長編ですよ。しかもこの作品、全編セリフもないんですね(実際には会話しているシーンはあるんですが、翻訳や吹き替えはされていません。どうも架空の言葉らしい)。いったいどんな見せ方で何を描くのか、気になりながらも事前情報には一切触れず見てきましたよ。

全編手描きの鮮やかな色と音で描かれる「現実」

この作品の見どころは、なんと言っても音楽にあわせて動きまくる映像です。色鉛筆や油絵、コラージュを駆使して描かれた、秩序的だったり無秩序だったりのイマジネーション溢れる予想のつかない映像。それに土着的というか、どこか懐かしさのある音楽が加わって、独特なファンタジックワールドが構築されています。この映像を浴びるように見ているだけで、幸せな気持ちになるんですね。正直言ってそれだけでいいんじゃないか、という気すらするんですが、この作品は許してくれません。

最初、この絵柄でこの題名ですよ。子供が父親を探すために町内を探検するみないな、ミニマムな世界を舞台にしたファンタジーが繰り広げられるのかなと思っていました。が、全然違うんですね。逆ですよ、逆。いろんな意味で。
実際にこの作品で描かれているのは、なかなかにハードな「現実」の数々でした。このギャップが凄まじかった。

特に、自然の風景と対比的に描かれる機械や乗り物のような人工物への異物感ありありの悪夢的な描写。このイヤ~な感じは「MOTHER3」を思い出しましたよ。
あと頭に浮かんだのが小沢健二の「うさぎ!」。あの作品は童話的な形態を取りながら、過剰なまでにグローバル化していく社会経済への明確な批判を目的にした作品でしたが、この作品でもかなりはっきりとした描写が出てきます(よく考えたら「うさぎ!」はボリビアを舞台にしていたので、南米つながりでもありますね)。

タイトル、そしてキャラクターの意味

「父を探して」という一見ほんわかしたタイトル、これは邦題で、ポルトガル語の原題(O Menino e o Mundo)や英語題(The Boy and the World)では「少年と世界」という意味になっているそうです。それを知り最初は、この邦題、そのまますぎると思ったんだけど、改めて考え直すと「少年と世界」の方がそのまますぎて正確じゃない気もしてくるんですね。どちらのタイトルも、そんな作品の二面性を表しているのかもしれません。

最後に、なぜここまでシンプルなキャラクターなんだろうと考えてみるんですが、この少年キャラ、特徴的なのが顔の輪郭、というか頭が正円なんですよね。普通、ここまで"手描き"にこだわっている作品だったら円にするにしても、フリーハンドのちょっとゆがんだ円にする気がします。
でも、ここまで個性を与えないことで、逆に映像の中では唯一無二の個性を放っています。
そして終盤、少年が何かを見つめるシーンがあって、作品の中では何を見つめているかはちゃんと明示されているんだけど、そうじゃない感覚に陥るんですね。ひょっとしたら、この感覚のために正円なんじゃないかと。あらゆる個性を取っ払いつつ、主人公としての個性も備えるという、ありえない二面性を体現したのがこのキャラなのではという気がしてきました。
とか言いながら、あとでメイキングを見たら元からあったデザインみたいでしたけど(笑)。でもやっぱりこのキャラクターの特殊な見た目は作品を象徴している気がします。

正直見終わった直後はけっこうもう、いろいろショックで絶望的な気持ちになってしまったんですよ(だって、あれがああってことは、そういうことでしょ!?)。でも改めて振り返ると、過去から現在、この世界が直面している現実を直視しているからこそ、描ける希望がここにはあるのかもしれません。もう1度見たらまた感じ方変わるんだろうなぁ。

父を探してパンフレット
▲パンフレットはポストカード型でした。

父を探して(公式サイト)…現在は1館だけでの上映ですが、順次地方でも公開されるようです。
長編アニメーション映画『父を探して』予告編(YouTube)
『父を探して』メイキング(YouTube)
Emicida – Aos olhos de uma criança(YouTube)…ブラジルのラッパー、エミシーダが歌う映画のエンディングテーマのPVです。映画の映像がふんだんに使用されています。

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