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「MOE絵本屋さん大賞」の10年を振り返る

絵本雑誌『MOE』で毎年1月発売号にて発表されている「MOE 絵本屋さん大賞」をご存じでしょうか。全国の絵本専門店・書店の児童書売り場担当者へアンケートを実施し、1年間に発売された絵本の中から”おすすめしたい絵本”に選ばれた30冊をランキング形式で発表している人気企画です。

今年発表分でちょうど10周年を迎え、本日からは雑誌創刊40周年を記念した展覧会も開催されます。そこで、僕なりに絵本屋さん大賞の10年を振り返ってみようと思い立ち、10年分の得票数(ポイント)を集計して、「作家別得票数ランキング」という謎のランキングを作成してみました。こういうお遊び企画は超久しぶりですね。

普段絵本なんて読まない人もこのランキングを見れば、この10年にどんな絵本作家さんが注目を集めたのか一望できるかもしれません。

※ランキングについての注意事項
このランキングは、「MOE 絵本屋さん大賞」の各年30位までに入っている絵本のポイントを作家別に集計し、多い順に並べたものです。共作の場合は、それぞれの作家に同数のポイントを加算しています。ただし、訳者については今回は無視しました。
また、年々アンケート対象者数が増えているため年ごとに票の母数が違っています。当初は1票の格差を修正するための計算をした上でランキングにする予定でしたが、そうすると逆に古いランキングの影響が強めに出てしまったので、ポイントには特に手を加えることなく単純に加算することにしました。
今を起点にしてこの10年をふんわり振り返る、といった趣旨のランキングと思ってもらえると幸いです。
※表紙画像のリンク先はAmazonです。

作家別得票数ランキング

1位 ヨシタケシンスケ(2641P)

りんごかもしれない
りんごかもしれない(2013年1位
ぼくのニセモノをつくるには(2014年9位)
りゆうがあります(2015年1位
ふまんがあります(2015年24位)
もうぬげない(2016年1位
このあと どうしちゃおう(2016年2位
なつみはなんにでもなれる(2017年1位
つまんない つまんない(2017年3位

栄えある1位はヨシタケシンスケさんでした! 上の注意事項のところにごちゃごちゃ書いてますが、どういう方法で集計しても圧倒的な差でヨシタケさんが1位でした。これはMOE読者なら余裕で予想できる結果です。だってここ数年ずっと1位ですもんね。強すぎです。
デビュー作の『りんごかもしれない』がいきなり1位を獲得しています。それほど衝撃的でしたよね、この作品は。僕もこの最初に読んだときは思わず「やられた!」って思いましたもん。まあ、何にもやってない奴にそんなこと思われたくないでしょうけど……。ヨシタケさんの絵本って発想がすごいんですよね。新作に触れるたびに、まだ誰もやってなかったことがこんなにあったんだと驚かされます。

2位 工藤ノリコ(1360P)

ノラネコぐんだん パンこうじょう
たこきちとおぼうさん(2011年29位)
ペンギンきょうだい ふねのたび(2011年30位)
ピヨピヨ ハッピーバースデー(2012年21位)
ノラネコぐんだん パンこうじょう(2013年4位)
ノラネコぐんだん きしゃぽっぽ(2014年2位
ノラネコぐんだん おすしやさん(2015年3位
ノラネコぐんだん あいうえお(2017年5位)
ノラネコぐんだん そらをとぶ(2017年7位)

2位は「ノラネコぐんだん」シリーズが人気の工藤ノリコさんです。MOE読者にはおなじみの作家さんですね(というかここに出てくる作家さんはみんなおなじみか)。工藤さんの絵本の特徴はなんといってもその個性的な見た目のキャラクターたち。”ぶさかわいい”なんて呼ばれて愛されています。そんなキャラたちのおかげか絵本だけど漫画的な親しみやすさもあって楽しいです。

3位 tupera tupera(1054P)

パンダ銭湯
ぼうし とったら(2012年5位)
しろくまのパンツ(2013年3位
パンダ銭湯(2013年6位)
うんこしりとり(2014年3位
おばけだじょ(2015年8位)
おならしりとり(2016年12位)
あかちゃん(2016年15位)
わくせいキャベジ動物図鑑(2017年20位)

tupera tupera(ツペラ ツペラ)は亀山達矢さんと中川敦子さんの2人で活動しているユニット。その活動範囲は絵本だけにとどまらず多岐にわたっています。そんな2人だからか、手掛ける絵本も枠にとらわれないアイデアと驚きに溢れているんですね。
パンダの衝撃的な秘密が発覚する『パンダ銭湯』や、定番のおばけ絵本かと思ったら読み進めるにつれて意外な事実を目の当たりにする『おばけだじょ』など、一癖も二癖もあるアイデアが込められています。絵本ごとにがらっと作風を変えているのにどの絵本もtupera tuperaらしさを感じてしまうのがすごいです。

4位 鈴木のりたけ(863P)

とんでもない
しごとば(2009年3位
続・しごとば(2010年16位)
ぼくのおふろ(2010年25位)
しごとば 東京スカイツリー(2011年6位)
おえかきしりとり(2014年13位・共作)
たべもんどう(2015年7位)
す~べりだい(2015年10位)
とんでもない(2016年4位)

綿密な取材を元にいろんなお仕事の現場を描き込んだ『しごとば』シリーズが人気の、鈴木のりたけさんが4位にランクイン。他にも『す~べりだい』など、読み聞かせで盛り上がりそうな遊び心満載の作品も人気です。
そんな鈴木さんの絵本から感じるのは、絵へのこだわり。絵本が絵にこだわるのは当たり前のことではありますが、素人目で見ても何か違う凄みを感じるというか。
ファーストインパクトだったり、繰り返しの鑑賞に堪えうる仕掛けだったり、きっといろんなことを考え尽くされた上で描かれているんでしょうね。

5位 長谷川義史(731P)

ぼくがラーメンたべてるとき
ぼくがラーメンたべてるとき(2008年6位)
いいからいいから2(2008年12位)
てんごくのおとうちゃん(2009年12位)
いいからいいから3(2009年15位)
だじゃれ日本一周(2010年3位
いいからいいから4(2010年18位)
おかあちゃんがつくったる(2012年12位)
シバ犬のチャイ(2013年11位・絵)
へいわってすてきだね(2014年1位・絵)

僕がはじめて触れた長谷川義史さんの絵本は『ぼくがラーメンたべてるとき』。表紙を見て「うわー、楽しそう!」と思いページをめくると……、まんまとやられてしまいました(笑)。
2014年1位の『へいわってすてきだね』は当時小学1年生だった安里有生さんの詩を絵本化した作品。この2作は当たり前に存在しているわけじゃない平和の大切さについて考えさせられます。

6位 なかやみわ(656P)

どんぐりむらのほんやさん
くろくんとなぞのおばけ(2009年11位)
どんぐりむらのぼうしやさん(2010年6位)
どんぐりむらのおまわりさん(2012年20位)
どんぐりむらのどんぐりえん(2013年22位)
どんぐりむらのほんやさん(2014年29位)
そらまめくんのあたらしいベッド(2015年5位)
やさいのがっこう とまとちゃんのたびだち(2016年9位)
くろくんとちいさいしろくん(2017年19位)

6位は人気シリーズを多数手掛ける、なかやみわさんがランクイン。なかやさんは絵本作家になる前はサンリオでデザイナーのお仕事をされていたそうです。そらまめくんも元々はサンリオ時代に社内コンペ用として生み出したキャラが元になっているんだとか。なんとなくキャラクターに親しみを感じてしまうのはそのせいなのかな?
なかやさんの絵本は横長の判のものが多くて、絵もそんな空間を生かした作りになっていています。画面いっぱいにかわいい絵が広がっていて、思わず絵本の中の世界で暮らしたくなってしまいます。

7位 いわいとしお(652P)

100かいだてのいえ
100かいだてのいえ(2008年5位)
ちか100かいだてのいえ(2010年11位)
うみの100かいだてのいえ(2014年4位)
ゆびさきちゃんのだいぼうけん(2016年13位)
そらの100かいだてのいえ(2017年10位)

いわいとしおさんはこの10年ですっかり人気絵本作家になっちゃいましたね。当サイトでは岩井さんのことを「ウゴウゴ・ルーガ」や「エレクトロプランクトン」などのキャラクターデザイナーとしてその活動をちょくちょく追っかけていたので、『100かいだてのいえ』も発売直後に速攻で買いに行って紹介したのを覚えています。斬新で楽しい絵本だとは思ったけど、ここまで大人気になるとは予想できなかったなぁ。

8位 酒井駒子(650P)

くまとやまねこ
くまとやまねこ(2008年1位・絵)
BとIとRとD(2009年2位
はんなちゃんがめをさましたら(2013年24位)
しろうさぎとりんごの木(2014年16位・絵)
まばたき(2015年10位・絵)
ヨクネルとひな(2016年17位・絵)

酒井駒子さんは普段絵本を読まない人にもファンが多い作家だと思います。黒が印象的な独特の世界観。本を開くと心の奥底に沈んだまま忘れていた感情が蘇ってきます。

9位 谷川俊太郎(596P)

かないくん
きもち(2008年16位・文)
こっぷ(2008年22位・文)
むかしむかし(2010年23位・文)
かないくん(2014年7位・文)
せんそうしない(2015年22位・文)
生きる(2017年6位・文)

詩人の谷川俊太郎さんが9位にランクイン。『かないくん』は漫画家の松本大洋さんが絵を手掛けて話題になりました。2008年にランクインの『きもち』と『こっぷ』は1970年代に刊行された作品の復刊。人の生死について問いかける作品からユーモア溢れる作品まで幅が広くて息が長くて、今なお現役で活動されていて……。すごいです。

10位 ヒグチユウコ(588P)

いらないねこ
ふたりのねこ(2015年22位)
せかいいちのねこ(2016年7位)
すきになったら(2016年16位)
いらないねこ(2017年9位)

ヒグチユウコさんもMOE読者にはおなじみの作家さんです。繊細に描き込まれた個性豊かな猫たちがいる中で、独特の表情で佇むぬいぐるみのニャンコ。その重苦しいまぶたの奥の瞳には、どんな世界が映っているのでしょうか。

11位 荒井良二(548P)

あさになったのでまどをあけますよ
オツベルと象(2008年20位・絵)
あさになったのでまどをあけますよ(2012年1位
どーしたどーした(2014年24位・絵)
きょうはそらにまるいつき(2016年11位)
そりゃあもういいひだったよ(2016年26位)

荒井良二さんの絵本は、溢れるイマジネーションをそのままぎゅっと本に閉じ込めたかのような、フレッシュな魅力が特徴です。
2012年1位の『あさになったのでまどをあけますよ』は何気ないいつもの日常こそがかけがえのない大切な瞬間なんだと気づかせてくれます。

12位 かがくいひろし(491P)

だるまさんが
だるまさんが(2008年4位)
だるまさんの(2008年18位)
おしくら・まんじゅう(2009年8位)
だるまさんと(2009年23位)
まくらのせんにん そこのあなたの巻(2010年5位)
おふとんかけたら(2010年8位)
がまんのケーキ(2010年28位)
うめじいのたんじょうび(2016年10位)

「だるまさん」シリーズでおなじみのかがくいひろしさんがランクイン。この絵本、面白いですよね! 最初手に取ったときびっくりしましたもん。
この絵本について疑問なのが、本当に10年前までは存在していなかったの!? という部分。昭和からのベストセラーと言われても全然疑わないくらいの謎の普遍性があります。なんなんですかねこれ。たぶん100年後の子供たちにも読み継がれていると思います。

13位 西村敏雄(449P)

うんこ!
バルバルさん(2008年7位・絵)
うんこ!(2010年1位・絵)
どうぶつサーカスはじまるよ(2010年19位)
わたしはあかねこ(2011年25位・絵)
アリのおでかけ(2012年10位)
アントンせんせい(2013年25位)
ふたごのウィンナー(2014年30位・絵)

西村敏雄さんはデビュー作の『バルバルさん』がランクインして以来、コンスタントに上位へ作品を送り込んでいる絵本屋さん大賞の常連作家です。
西村さんの絵本に共通するのは、なんとも言えないキャラクターの表情。いいですね。飾り気はないけどどこか引っかかる……、そんな絵に惹かれます。

14位 トーベン・クールマン(438P)

リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険
リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険(2015年3位
アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険(2017年10位)

14位はトーベン・クールマンさん。ここに来てはじめての外国人作家の登場です。
もしあの偉人よりも先に空を飛ぶ偉業を小さなネズミが達成していたら……? そんな大冒険が壮大なスケールで描かれています。小さな生き物の視点で描かれた緻密な背景には思わず息をのみます。

15位 minchi(419P)

いっさいはん
いっさいはん(2017年2位

minchi(ミンチ)さんの『いっさいはん』は元々Twitter上で「1歳半ぐらいの子供の行動」という文を添えてUPしたイラストが反響を呼び書籍化されるという、今どきの経緯で生まれた絵本です。書籍になることで更に反響を呼びデビュー作にしてベストセラーになりました。
絵をよく見るとところどころに歯のキャラクターが描かれているんですが、今月21日にはこのキャラをフィーチャーした『にゅうしちゃん』が発売予定です。

16位 加藤久仁生、平田研也(407P)

つみきのいえ
つみきのいえ(2008年21位、2009年1位

『つみきのいえ』の加藤久仁生さん、平田研也さんコンビがランクイン。これは同名の短編アニメーション映画を絵本として再構築した作品です。映画は日本の作品としては初めてアカデミー短編アニメーション賞を受賞した作品としても知られています。絵本屋さん大賞としては唯一2年にまたがってランクインしている作品でもあります。
加藤さんはもう絵本は描かないのかな? また描いてほしいなと思います。

18位 ジョン・クラッセン(375P)

どこいったん
どこいったん(2012年2位
サムとデイブ、あなをほる(2015年20位・絵)
みつけてん(2017年13位)
サンカクさん(2017年30位・絵)

18位はジョン・クラッセンさん。2人の外国人作家の登場です。長谷川義史さんが訳を担当した「ぼうしシリーズ」(『どこいったん』『ちがうねん』『みつけてん』の3部作)や『サンカクさん』は、スタイリッシュな絵柄にミスマッチすぎるコテコテ大阪弁が乗り、謎のグルーヴ感が醸し出されています。

19位 町田尚子(373P)

ネコヅメのよる
いるの いないの(2012年3位・絵)
ネコヅメのよる(2016年6位)

町田尚子さんの絵は空気感が素晴らしいです。京極夏彦さんとの共作、『いるの いないの』はその才能がいかんなく発揮された一作。ページをめくるたび、日本家屋のどこかひんやりとしたあの感じが体にまとわりついてきます。そしてあのラスト。「ヒエッ」と声が出そうになりましたよ。
『ネコヅメのよる』は猫のイヤーな顔を大胆に配した表紙のインパクトがすごいです。でも本物の猫もよくこういう顔しますよね。

20位 大森裕子(340P)

へんなかお
へんなかお(2011年4位)
へんなところ(2012年19位)
へんなおばけ(2012年29位)
なにからできているでしょーか?(2014年18位)
おすしのずかん(2017年12位)

20位には大森裕子さんがランクイン。『へんなかお』は動物たちのへんなかおが次々に出てくる楽しい絵本。『へんなところ』、『へんなおばけ』とシリーズ化されました。『なにからできているでしょーか?』と『おすしのずかん』はどちらも食べ物図鑑的な絵本で、普段食べているものについての理解を楽しみながら深めることができる作品です。

以上、上位20人の作家さんの紹介でしたー。

出版社別ランキング

これはおまけで、別の角度から10年を振り返ってみようということで、出版社別にランクインしている絵本の冊数をランキングにしてみました。

1位 福音館書店(33冊)
1位 ブロンズ新社(33冊)
3位 白泉社(29冊)
4位 偕成社(22冊)
5位 講談社(20冊)
6位 岩崎書店(16冊)
7位 BL出版(14冊)
8位 学研プラス(8冊)
8位 PHP研究所(8冊)
8位 あすなろ書房(8冊)
8位 教育画劇(8冊)
12位 アリス館(7冊)
12位 童心社(7冊)
12位 ポプラ社(7冊)
15位 光村教育図書(6冊)
15位 絵本館(6冊)
17位 クレヨンハウス(5冊)
17位 文溪堂(5冊)
19位 WAVE出版(4冊)
19位 佼成出版社(4冊)
19位 イースト・プレス(4冊)

集計する前から「1位は福音館書店なんだろうな~」とは思っていて、当たってはいたんですが、ブロンズ新社も同率1位というのには驚きました。ブロンズ新社は今までにない面白い絵本を出版する会社として注目はしていましたが、こんなに打率高かったんですね。すごいです。
3位の白泉社はMOEの発行元。4位の偕成社は元・MOEの発行元です。5位には講談社がランクインしていますが、いわゆる大手出版社では唯一のランクインなんですね。他の大手出版社はあまり絵本には力を入れていないんでしょうか。もっと頑張ったらいいのにな。

CHARA PITで紹介した絵本

最後に当サイトではこの10年どんな絵本を紹介していたか、いくつか見てみたいと思います。ここではいわゆるキャラクター絵本はよく紹介していたんですが、絵本屋さん大賞に出てくるようなちゃんとした絵本は気まぐれで取り上げている程度なので、そんなに多くはないです。

[本]まるさんかくぞう/及川賢治、竹内繭子(2008年19位)
[本]5つごモンスターがやってきた!/たちもとみちこ
[本]ヘンなあさ/笹公人・作、本秀康・絵
[本]ゆきがふるよ ねこがいるよ/ごうだつねお
[本]コんガらガっち あっちこっち すすめ!の本/ユーフラテス
[本]もぐらバス/佐藤雅彦+うちのますみ(2010年2位)
[本]みんなであそぶひ/天明幸子
[本]りすでんわ/高橋和枝
[本]ほげちゃん/やぎたみこ(2011年3位)
[本]ともだちぱんだ/やましたこうへい

こうして見ると別の分野で活躍している人の作品を紹介することが多いですね。この中で特に印象に残っている作品を挙げるとすれば、やぎたみこさんの『ほげちゃん』でしょうか。本屋さんで表紙を見たときは衝撃でした。「なんだこのキャラは!?」と。
ここ数年はサイトの更新をサボり気味だったので、絵本も全然紹介できていませんでしたが、これを機にまた取り上げていければと思います。

MOE(公式サイト)…絵本屋さん大賞は毎年2月号(1月発売号)で発表されています。2018年2月号(amazon)には過去10年を振り返る企画ページもあるのでバックナンバーもチェックしてみてくださいね。
MOE創刊40周年記念 島田ゆか・酒井駒子・ヒグチユウコ・ヨシタケシンスケ・なかやみわ 5人展…冒頭でも触れましたが、本日から松屋銀座にてMOE40周年を記念した展覧会が開催されます(5/7まで)。島田ゆかさんは『バムとケロのもりのこや』で第4回の1位を獲得していましたが、今回の集計方法ではランクから漏れてしまいました。寡作な方には不利な集計でしたね…。

[雑誌]MOE 2011年12月号「スージー・ズーのやさしい庭へ」(2011.11.4)

IT系マスコットキャラクターを集めてみた

今年に入って「Meltdown」と「Spectre」という、CPUの脆弱性についてのニュースがありました。その内容は深刻なものでしたが、つい関係ないところに目が行ってしまいました。

MeltdownとSpectre

これですよ。告知のためになぜかかわいいロゴマークが制作されているんですね。
そういえばこの件に限らず、IT方面ってなにかとかわいいロゴやキャラクターを見かける気がします。そこで、IT系マスコットキャラクターを集めて紹介してみたら面白いかなと思って書いてみたのがこのエントリーです。オープンソース・コミュニティで使われているものから企業マスコットまで、前から気になっていたものを中心に割と雑な感じで集めてみました。

※キャラクター画像のリンク先は出典元のページになっています。
※誕生年は該当サービス等のマスコットとして公表された年を掲載しています(ある程度確証が得られたもの)。

Tux(タックス)

Tux
誕生年:1996年
作者:Larry Ewing

まずはオープンソース界の代表的マスコット、「Linux」のタックスくんです。Linuxから派生したプロジェクトの多くにもペンギンをモチーフにしたマスコットが採用されているようです。

名前の由来はタキシードを着ているように見えることから。

タックスくんは1996年のロゴコンテストによって選ばれています。選ばれなかった他の候補も今なお公開されているんですが、見るとタックスくんのロゴが選ばれたのも納得な感じがしますね。

BSD Daemon(BSDデーモン君)

BSD Daemon
誕生年:1988年
作者:John Lasseter

続いては「FreeBSD」のBSDデーモン君です。見たとおり、赤色の悪魔のキャラクターですが、よく見るとデーモンの綴りが一般的に悪魔を表す”Demon”ではありません。これはバックグラウンドでタスクを処理するプロセスである「Daemon(デーモン)」と掛けているためです。手に持っている三叉槍も、プロセスのコピーを生成するためのシステムコールである「Fork(フォーク)」から来ているそうです。

上記のイラストはFreeBSDの代表的な開発者の1人でもあるポール=ヘニング・カンプ(Poul-Henning Kamp)さんの手によるものですが、最初にBSDデーモン君を描いたのはピクサー・アニメーション・スタジオの監督・製作総指揮として知られるあのジョン・ラセターさんだとされています。

当時のジョン・ラセターさんのイラストは、BSDデーモン君の著作権を管理するマーシャル・カーク・マキュージック(Marshall Kirk McKusick)さんのサイト「History of the BSD Daemon」で公開されています(ここここ)。

Android robot(ドロイド君)

Android robot
誕生年:2007年
作者:Irina Blok

Googleが主導する「Android」のマスコット、ドロイド君です。なお、この呼称は日本での愛称であり正式なものではありません。「Bugdroid(バグドロイド)」と呼ぶのが正しい呼び名だと書いているサイトが多いですが、これも正式な文献に出てくるわけではないようです。正式にこだわるなら「Android robot」と呼ぶのが無難そうです。

作者は当時Googleに在籍していたグラフィックデザイナー、Irina Blokさんです。

※Android ロボットは、Google が作成および提供している作品から複製または変更したものであり、Creative Commons 3.0 Attribution ライセンスに記載された条件に従って使用しています。

Octocat(オクトキャット)

Octocat
誕生年:2008年
作者:Simon Oxley

「GitHub」のマスコットであるオクトキャット。ネコの頭にタコの足。かわいくもちょっとぞわっとくるような不思議な魅力に包まれた存在です。

最初にデザインしたサイモン・オクスリーさんはTwitterの初代の小鳥のイラスト(Larry Bird)を描いた人物としても知られています。

オクトキャットというのは種族名で、それとは別にMonalisa(モナリサ)という固有の名前も付けられています。ただこれも対外的に広く周知されているものではないので普通に呼ぶ際はオクトキャットでいいようです。

GitHub Octodexというサイトを見ると、いろんなコスチュームに改変されたオクトキャットの姿を見ることができます。マスコットにいろんな格好をさせる遊び、みんな好きですよね。

The Octocat―a nerdy household name…現デザイナーのCameron Mcefeeさんによる解説です。

『Octocat Adventure』との関係について

オクトキャットについて調べていると、『Octocat Adventure』というアニメーション作品にも行き当たります。作者のデイヴィッド・オライリー(David O’Reilly)さんはこのサイトでも何度か取り上げたこともあるアニメーション作家の方なんですが、実はGitHubのオクトキャットはこの作品が元ネタとする説があるようです。そこで僕も少し調べてみたんですが、結論としてはどうもこの2つのOctocatはまったくの無関係のようです。

それぞれの公開時期を確認してみると「Octocat Adventure」は2008年3月。GitHubの方はサイトの公開が2008年の4月です。なおサイト公開直後の段階でオクトキャットはいたようです(参考)。

続いてサイモン・オクスリーさんのインタビューを確認するとオクトキャットをデザインしたのは2006年とのこと。iStockに登録後、GitHubスタッフに発見されて権利を売却することになります。当初ご本人はこのキャラクターをOctopussと呼んでいたそうなんですが、GitHubスタッフがOctocatと名付けた上で公開したという経緯があるそうです。

ということはサイモンさんが参考にすることは不可能なのはもちろん、デイヴィッドさんの方も作品の公開時点ではOctocatと名付けられたGitHubのキャラはまだ存在しないことになり、影響を受けることは難しくなります。

Moby Dock(モビー・ドック)

Moby Dock
誕生年:2013年
作者:Ricky Asamanis

「docker」はコンテナ型の仮想化環境を構築するプラットフォームです。このドッカーという言葉には”港湾労働者”という意味があります。そしてロゴマークには背中にコンテナを乗せたクジラがデザインされています。こうした表現から、ソフトウェアのもっとも特徴的な部分(コンテナ)が強調されています。
Moby Dockという名前は映画化もされた小説の『白鯨(Moby Dick)』と、船舶の修繕施設であるドックを掛けて名付けられています。

ロゴの作者はインドネシアのグラフィックデザイナー、Ricky Asamanisさん。99Designsのコンペで選ばれました。ここでコンペ参加者の作品がいくつか見られます。

Go Gopher(ゴーファー)

Gopher
誕生年:2009年
作者:Renée French

ゴーファーはGoogleが開発したプログラミング言語「Go」のマスコットです。ホリネズミという日本ではあまり馴染みのない動物をモチーフにしています。ホリネズミの英語名がGopherなので、そのまんまの名前です。

元々は20年近く前にラジオ局が企画したチャリティーTシャツのデザインとして誕生しました。その後、作者の提案によりGo言語のキャラとして第2の人生を歩むことになったそうです。

作者のレニー・フレンチさんはアメリカのイラストレーター・漫画家で、「Plan 9」というOSのマスコットも手掛けています。

Glendaこちらは「Glenda(グレンダ)」という名前で、ウサギですね。ゴーファーの遠い親戚だという話もあるそうです。

ちなみにレニー・フレンチさんの配偶者はGo言語やPlan 9の開発に関わったロブ・パイク(Rob Pike)さんです。そういう繋がりがあるんですね。

※The Go gopher was designed by Renee French.
The design is licensed under the Creative Commons 3.0 Attributions license.

Geeko(ギーコ)

Geeko
誕生年:?
作者:?

「openSUSE」のマスコット、ギーコです。名前の由来はコンピューターオタクを表す”Geek”とヤモリの”Gecko”を組み合わせた造語です。ただ、キャラクターとしてはヤモリではなくカメレオンなんだとか。

Geekoで検索するとぬいぐるみの画像がたくさん出てきて、世界中で多くの人に愛されているのが分かります。そしてこういうキャラを妙に推したくなってしまう気持ちもなんだか分かります。

Blinky

Blinky
誕生年:2006年
作者:Bas Snabilie

「FreeDOS」のマスコット、Blinkyです。ブリンキーと読むんだと思いますが、このキャラを日本語で紹介しているサイトが見当たらなかったので謎ということにしておきます。

当初はLinuxのタックスくんとの相性を考えて、アザラシのマスコットを考えていたそうです。しかし他と被ることが判明したため、魚のキャラになりました。「魚」というざっくりとした感じがいいですね。やたらぷっくりした見た目なのはアザラシの面影なのかもしれません。ギョロっとした目の印象からBlinkyと名付けられました。

※Blinky was designed By Bas Snabilie for the FreeDOS Project. [CC BY]

Kiki(キキ)

Kiki the Cyber Squirrel誕生年:2012年
作者:Tyson Tan (钛山)

キキはペイントソフト「Krita」のマスコットです。サイバーリスのキキ(Kiki the Cyber Squirrel)という呼び方もあるように、リスを擬人化したマスコットです。これはスウェーデン語で”クレヨン”の意味を持つKritaというソフト名が、アルバニア語ではリスを表すことから来ています。

ここまで紹介した他のキャラと違い、萌えキャラ的要素も含まれていますが、マニアックに寄りすぎず、洗練されたデザインになっています。

作者は中国のアーティスト、タイソン・タンさん。Kritaの大元のプロジェクトである「KDE」には「Konqi(コンキー)」というマスコットがいて、このキャラの現行デザインも手掛けています。
Konqi
Konqiは活発な雰囲気がある緑のドラゴンです。キキとは印象が違います。

※Konqi and Kiki were designed by Tyson Tan. [CC BY-SA 4.0]

snoo(スヌー)

誕生年:2005年
作者:Alexis Ohanian

ソーシャルニュースサイト「Reddit」のスヌーは全身白い体に、赤い目が特徴のマスコット。時空を超えたところからやってきたエイリアンです。

作者は創業者の1人でもあるアレクシス・オハニアンさん。昨年、プロテニス選手のセリーナ・ウィリアムズさんとの豪華な結婚式を挙げて話題になりました。

なお、Redditではソーシャルボタンも配布しています。あなたのサイトにもおひとついかがですか?

What’s Snoo?(Upvoted 2013.6.5)…公式での説明。

フォクすけ

front
誕生年:2006年
作者:Piro

フォクすけ(Foxkeh)は「Firefox」の国内でのプロモーションのために生まれたキツネのマスコット。ここでようやく日本生まれのキャラクターの登場です。特徴はFirefoxだけにしっぽが火になっているところでしょうか。最近発表されたような気がしていたけど、もう12年もたつんだなぁ。

作者はアドオン開発者でもあるPiroさんです。

“フォクすけ” (C) 2006 Mozilla Japan [クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 4.0国際 ライセンス]

わぷー

wapuu
誕生年:2011年
作者:カネウチカズコ

わぷー(Wapuu)は「WordPress」の日本公式キャラクター。丸い玉をおなかに抱えてふわふわと浮かぶ不思議な生き物です。

各地で開催されているWordCamp等の関連イベントでは、ご当地わぷーが制作されていて盛り上げに一役買っています。日本の枠を飛び越えて、海外のイベント用に作られたわぷーも多数いるとか。
わぷーアーカイブ

作者は福岡のCGFMという会社に所属するデザイナーのカネウチカズコさん。ブログを見に行くと、「わぷーのおさんぽ」というショートストーリーが公開されていました。かわいいなー。

ねこび~ん

nekobean_normal

誕生年:2008年
作者:カネウチカズコ

ねこび~ん(NekoBean)は「NetBeans」日本語コミュニティの公式キャラクターです。NetBeansだからねこび~ん、分かりやすいですね。キューブの形状はNetBeansの立方体ロゴから来ています。ぺたーっとした姿が印象的です。

作者はわぷーと同じ、カネウチカズコさん。カネウチさんは他にも「baserCMS」のマスコット、「べっしー」のデザインも手掛けています。
べっしーモチーフはドラゴンでいいのかな? ちょっとおとぼけた表情をしています。

ねこび~ん by カネウチカズコ is licensed under a Creative Commons 表示-継承 2.1 日本 License.
べっしー by カネウチカズコ is licensed under a Creative Commons CC BY-NC-SA 3.0

アベマくん

誕生年:2015年
作者:NIGO®

犬のようなクマのような…?

サイバーエージェントが2015年にブランドロゴを一新した際、あわせて発表されたキャラクターがabema(アベマ)くんです。藤田社長の肝いり事業として力を入れている「AbemaTV」はこのキャラがネーミングの由来とされています。

キャラクターを含むブランドロゴのトータルデザインを担当したのは、社長のお友達でもあるファッションデザイナーのNIGOさんです。NIGOさんはAbemaTVで放送されているオリジナルミニアニメ「おしえてアベマくん」の総監督も務めています。アベマくんとNIGOさん、藤田社長の3人がアニメになって世の中のちょっとした疑問を解明していくという内容です。

アメーバくんの広告
▲これは先代のキャラクター、アメーバくんの広告です(2007.2.4 渋谷駅にて撮影)。

けんさくとえんじん

誕生年:2016年
作者:?

「Yahoo! JAPAN」がサービス開始20周年を迎えた2016年、突如としてキャラクターを発表しました。それがけんさくとえんじんです。そのまま”検索エンジン”ってわけですね。けんさくは”犬”索ということで犬、えんじんは”猿人”をモチーフにしているようです。

Yahoo! ショッピングで買い物をすると、最後にけんさくとえんじんのちょっとしたアニメーションが表示されます。それを眺めながら、「また余計なものを買ってしまった…」といつも思っています。

KAKAO FRIENDS(カカオフレンズ)

誕生年:2012年
作者:HOZO

カカオフレンズ(카카오프렌즈)は「カカオトーク」のキャラクターです。当初からいるメンバーは(右上のキャラから時計回りで)ムジ、ジェイ・ジー、チューブ、アピーチ、ネオ、フロド、コンの7人。そして2016年にライアン(真ん中のクマ…に見えるライオン)が加入して今の仲間になりました。一番人気は後から入ったライアンみたいです。

「LINE」が独占状態の日本と違い、カカオトークがメッセンジャーアプリNo.1の韓国ではキャラクターの人気もすごいようです。その証拠にカカオフレンズショップという専門のグッズショップが各地に存在しています。

KAKAO FRIENDS(公式サイト)

作者はイラストレーターのHOZOさん(ライアンのみ社内デザイナーによるもの)。韓国の人気アーティスト、PSYのジャケットイラストも手掛けています。
▲PSY「Gangnam Style」(amazonより)。

カカオトークを展開するカカオ社では、昨年に完全新規のキャラクターも立ち上げています。

NINIZというキャラクターで、ファンシー寄りの柔らかいタッチのイラストとなっています。

17ベイビー(イチナナベイビー)

誕生年:2015年
作者:?

17ベイビー(17寶寶)は、台湾発のライブ配信アプリ「17LIVE」のマスコットです。年末年始にテレビCMを集中放送していたので見たことある人も多いと思います。

白黒なのでパンダかと思いきや、カメラをモチーフにしているそうです。

米兔(ミィトゥ)

誕生年:2011年頃?
作者:?

ミィトゥ(Mi Bunny、米兎とも)は中国のスマートフォンメーカー、シャオミ(Xiaomi)のマスコットです。マンガチックなウサギのキャラクターで、グッズもたくさん発売されているんですよね。

“米兔”で検索していたら、ちょっと違うデザインのキャラクターが出てきました。

米兔智能故事机

どうもこれはスマートフォンと連動するスピーカーを搭載した知育玩具のようです。もしかしてキャラデザイン変わっちゃった? と思ったけど、そういうわけではないみたいです。

小欧

誕生年:2013年頃?
作者:?

アジアNo.1の出荷数と言われる中国のスマホメーカー、OPPO(オッポ)のマスコットが小欧(またはOllie。どちらも読み方不明)です。丸みのあるロボットのような見た目をしています。

OPPOは今年に入り日本市場への参入を発表し、国内でも注目が集まっています。ただ今のところ日本でキャラクターを使った広告展開は行っていないようです。おそらく、まずは高級感を押し出してブランドを構築するためだと思われます。

対する中国では着ぐるみを使ったPRを盛んに行っているようで、検索すると着ぐるみ画像がいろいろ出てきます。

ちなみに、グループ企業でもあるスマホメーカーのVIVO(ビボ)にも「小V」というロボットのマスコットが存在します(こちらも読み方不明)。

小欧と小Vは非常に仲がいいみたいで、検索すると2人で仲よく路上ダンスしている動画やじゃれあってる様子なんかも出てきました。微笑ましいですね。

QQ企鹅(QQペンギン)

誕生年:?
作者:?

QQペンギンは中国では国民的コミュニケーションツールとして長年利用されている「テンセントQQ」のマスコットです。運営元のテンセントはアジアNo.1の巨大企業で、世界最大のゲーム会社とも言われていますが、マスコットは素朴で愛らしい雰囲気です。
テンセントは「WeChat」というアプリでも有名ですが、こちらは特にマスコットはいないようです(吹き出しのアイコンをマスコット代わりにしている模様)。

・・・・・・

以上、20キャラ+αを紹介してみました。マスコットは上手く展開できれば親しみを感じることができたり、認知の向上にも繋がる存在です。更には、とっつきにくさを和らげてくれたり、コミュニティの帰属意識を高めてくれることもあるかもしれません。そういった役割が、ITの世界に求められていることと合致した結果、いろんなところで見かけることになったんでしょうね(単にかわいいもの好きが多いだけかもしれないけど)。これからも密かに注目していきたいです。

参考サイト

List of computing mascots(Wikipedia:en)
どのマスコットがお好き?(@IT 2008.12.26)
IT関連の気になるマスコットを集めてみた(前編)(株式会社アーティス 2017.10.18)
IT関連の気になるマスコットを集めてみた(後編)(株式会社アーティス 2017.10.19)
IT界隈の動物たち(はてな匿名ダイアリー 2016.11.4)
OSSマスコットキャラクター大集合! (ぬいぐるみ編)(OSPN Press 2010.12.22)
第2弾 OSSマスコットキャラクター大集合! (OSC展示ブース編)(2011.6.24)

トップランナー「核心を突くデザイン・寄藤文平」

  • 2008年10月21日(火)21:09
  • [CLIPS]

「トップランナー」(NHK教育 2008.9.29放送分)に出演したアートディレクターの寄藤文平さんの話でおもしろい&なるほどと思った部分があったのでざっくりとまとめてみました。

 

■アイデアの出し方~役割を明確にする手順

場面としてはアイデアはどうやって浮かぶのかと言う話の部分。依頼を受けて、ぱっと最終的な絵が浮かぶときもあるし、浮かばないときもある。浮かばないときは原稿用紙に作文をして、どのような結果が必要とされているのかを明確にしていくとの話。「マナーのポスター」の制作を例に出していたんですが、
・何でマナーのポスターを作らないといけないのか
・電車の中でやってはいけないことっていうのは誰だって分かっている
・人から言われたくないと思っている
・やめなさいなんて今更言われること自体、腹が立つ
…と言ったことを文章として書き出していくと、自分の中で、”何でこのような広告が必要なのか”という部分がはっきりしてくるそうです。逆にそこを明確にしないと何も考えられないと仰っていました。

 

■描くのは「車いすのマーク」でいいのか

上の話に続けて、「スロープに描かれている車いすのマーク」を例にした話をされていたんですが、ここがおもしろかったのでそのまま書き起こしてみます。
(聞き手はMCの箭内道彦さんとSHIHOさん)

寄藤 よく、階段があって脇にスロープがついてるじゃないですか。
あそこに障害者の方のための車いすのマークが描いてあって、
僕あれ、うんとおかしいと思ってて、
そこ子供が走ってるのを見て、お母さんが
「そこはあなたが走っちゃダメだから、こっち通りなさい」
ってやってたんですよね。
それとかを見てたときに、
「あ、今この道を規定してるのは
このマークが使われ方を決めてるんだな」
っていうふうに感じたことがあって、
これがもしリアカーだとか、もしくはそれこそ乳母車だったりとか、
そういうものでもしできていれば、
そこは子供が走ってもお母さんは怒らなかったと思うんですよ。
だから、実際に例えば車いすに自分が乗って、
まあ僕わからないですけど、その道を通るっていうときに、
子供が怒られる道を通るのは嬉しくないと思うんですよね。
だからみんなが通れる道を、当然車いすの方も通るって
いうふうじゃないと、そのスロープって意味ないと思うんですよ。
だからそのスロープの使われ方を
そのマークがすごく決めてるわけです。
僕そのマークを考える仕事をやっているような感じはします。すごく。

箭内 意外とそこ考えない人多いよね。
あの、今までにない車いすのマークを作ってみようとか、
一目で分かる車いすのマークを作ってみようって言っちゃって、
本当にそのマークが車いすでいいのかなっていうことを
表現する人って意外と少ないですよね。

寄藤 そうかもしれないですね。
車いすを手描きで、寄藤さんがいいタッチで描いて下さいって
言われるケースがうんと多いんですよね。
ただ、話聞くとどう見てもそれ車いすのマークじゃ
おかしいって思うときがあるんですよ。
車いすって、絵からそのものがおかしいから、
「これは車いすじゃなくて乳母車にするべきだ」って言うと
びっくりされちゃうんですよね。
そこに何であんたは文句付けんだみたいな。

箭内 綺麗に描いてくれれば――

寄藤 いんだよ! みたいな。

箭内 あんたの味が欲しいんだよ。

寄藤 そうそうそう、それはねものすごいがっかりしちゃう。
だからほんと、がっかりしますねそういうのは。

SHIHO 頼む方もちゃんと考えて頼まないといけないということですね。

寄藤 いやそうすると仕事なくなっちゃう(笑)。

ちゃんと話にオチまでついてて笑いました。番組の冒頭では、寄藤さんが自身の職業のことをイラストレーターではなくて、アートディレクターだと言う話もあったんですが、上のような話を聞いていると、確かにそこには明確な違いがあるなっていうのが分かります。寄藤さんは、クライアントからイラストレーターとして依頼された仕事ですらも、そのイラストの役割、使われ方を明確にした上で、トータルでディレクションしてしまわないと気が済まないんですね。寄藤さんの話に、デザインというものの奥深さを垣間見た気がしましたです。

Bunpei Ginza Ltd.(寄藤文平公式サイト)

Googleストリートビューで会社探訪

  • 2008年8月6日(水)12:00
  • [CLIPS]

昨日、検索サイトのGoogleが「Googleマップ」にストリートビューという機能を追加しました。これは、地図の道の部分をクリックすると、道に立った視点でその場所を360度眺めることができるという画期的なものです。現在は東京、大阪などの主要都市しか対応していないようですが、対応している箇所ではかなり細い路地まで網羅されていてびっくりすること受け合いです。

せっかくなので、この機能を使っていろんなキャラクター関連の会社を探訪してみました。どうぞご覧下さい。

サンエックス株式会社
東京都千代田区神田多町2-4

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▲1Fの展示物が見えます。「たれぱんだ」がいますねー。

株式会社サンリオ
東京都品川区大崎1-6-1 大崎ニューシティビル1号館

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▲大崎駅前のこのビルや周辺のいくつかのビルに入居しています。

株式会社サンリオ ディストリビューションセンター
東京都町田市小山ヶ丘2丁目1番地4

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▲サンリオからもういっちょ。町田にある流通倉庫です。玄関に設置されている像はキティとマイメロかなぁ。

株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツ
東京都千代田区六番町4-5 SME番町ビル

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▲ソニーミュージック関連の事務所が入居しているビルのようです。

株式会社オリエンタルランド
千葉県浦安市舞浜1番地1

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▲東京ディズニーリゾートを運営していることで知られるオリエンタルランド。事務所はこの道の先にあるようですが、さすがのGoogleでもこの先には入れません。

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
東京都目黒区下目黒1-8-1

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▲こちらはディズニーの日本法人。アルコタワーという建物に入居しています。

株式会社スタジオジブリ
東京都小金井市梶野町1-4-25

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▲つたの絡まるいいお屋敷ですね。

株式会社バンダイ
東京都台東区駒形1-4-8

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▲いろんなキャラクターたちがお出迎えです。

株式会社手塚プロダクション
東京都新宿区高田馬場4丁目32番11号

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▲我らがヒーロー、アトムです。

アンパンマンショップ
東京都新宿区舟町7

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▲これは会社じゃないですが。四谷にあるやなせたかしさん直営の店舗です。

株式会社クーリア
大阪府大阪市中央区大手通2丁目3−14

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▲「しずくちゃん」でおなじみのクーリア。住所からするとこのへんなんだけど、左の建物かなぁ。

ということで、11カ所をお送りしました。会社だけじゃなくて、探せば他にもキャラクターにまつわるスポットが出てきそうな感じです。

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