MEMO

8月27日の19時30分頃、漫画家のさくらももこさんが今月15日に亡くなっていたことが発表されました。

さくらももこさん死去、53歳 「ちびまる子ちゃん」(中日新聞 2018.8.28)

僕がさくらももこさんという存在を知ったのはアニメになった『ちびまる子ちゃん』からでした。それまで日曜18時の枠は『のらくろクン』や『ひみつのアッコちゃん』といった、昔のアニメをリバイバルした作品が続いていました。どちらも毎週見ていたのもあって、『ちびまる子ちゃん』も流れで見てみることにしたのが出会いです。

実際に見る前の印象としてはそんなによくなく、なんだか簡単な絵柄だし、幼い子を対象にした内容になるのかなと感じて、「1回だけ見てやめよう」と思っていました。ところが、初回のエピソードとして放送された「まるちゃんきょうだいげんかをする」の巻を見て、衝撃を受けるのでした。

「なにこれ、むちゃくちゃ面白い!」

子供の目線で描かれたリアルな内面、感情の揺れ。そして今まで見たことないような切れ味のいいオチ。それは一方的に大人が子供に押しつけてくるような形式ばった教訓エピソードとは一線を画していました。こんな表現がアニメでできるんだと。そして更に衝撃を受けたのが、あのエンディングテーマ「おどるポンポコリン」です。

「インチキおじさんって何?」「ポンポコリンって何!?」

そんな疑問を抱く隙もないくらいのスピードで、意味不明で、不条理で、それでいて壮大な何かが、竜巻のように通り過ぎていくのをただ呆然とテレビの前で見守るしかなかったのでした。今見せられた映像は何だったんだろう……。

これまでの人生でもそうそうないレベルの衝撃を30分の間に2度も受けた僕は完全にノックダウン。そこからは毎週欠かさず見るようになったのは言うまでもありません。当時同様の体験をした人が日本全国にたくさんいたようで、そこからこのアニメが空前絶後の大ブームになるのにそれほど時間は掛かりませんでした。

その後発売された、エッセイや『コジコジ』、 『神のちから』なども好きでした。中でも 『コジコジ』はメルヘンな世界を舞台としながらも、"借りもの"がないというか、どう見ても100%さくらももこオリジナルとしか言えない奇妙なキャラクター達が続々登場するおはなしで、なんでこんなこと思いつくんだろう? と漫画を読むたびに思っていました。特にコジコジと半魚鳥の次郎君の2人が繰り広げるファニーな会話劇が大好きで。次郎君は僕も好きなコーネリアスのファンと思われる描写があるので、よりシンパシーを感じてしまったり。元々さくらさんが好きなんですよね。

エッセイの分野では普通の人なら書くのを躊躇しそうなことまで笑いにして、あけすけに語ってしまうところがすごかったです。漫画の中のまる子が大きくなって、大人ならではの行動力を得たらこうなっただろうなっていう、まんまの生きざまを見せつけられているようでした。

個人的に特に印象に残っているエピソードとしては、任天堂の宮本さんにどうしても金メダルを送りたくなったさくらさんがさんざん悩んだ末、ついに会社まで直接押し掛けてしまうという話。これは一時期さくらプロダクションのWebサイトに掲載されていた「ももこのWebコラム」というコーナーで書かれていたものなんですが、今は読むことができなくなっているのでInternet Archiveのリンクを貼っておきます。行動力がすごすぎです。

宮本さんフィーバー(ももこのWebコラム 2007.2.23)
宮本さんに金メダルを!!(ももこのWebコラム 2007.7.30)

報道によると、2007年から2011年まで中日新聞などで連載されていた『4コマちびまる子ちゃん』の連載中には乳がんを患っていたとのことなので、突然というわけではなくて、長い間闘病されていたようです。

もっともっと、新たな活動を見たかったです。