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キャラクターで振り返る2010年(後編)

  • 2011年1月28日(金)7:34
  • [COLUMN]

さて、キャラクターで振り返る2010年の後編ができました。こちらではちょっぴりダーティーな話題が多くなっておりますのでお気をつけを。敢えて選んだ7つの話題+αです。それではどうぞー。(前編はこちら) 

●ミッフィー管理会社がサンリオを提訴(10/20)
「ミッフィー」をはじめとするディック・ブルーナさんの著作を管理するオランダの企業が「ハローキティ」の脇役キャラ「キャシー」について、「ミッフィー」の著作権を侵害しているとしてサンリオを提訴したことが明らかとなりました。
その後、アムステルダムの裁判所はブルーナさん側の主張を認めキャシーの販売・製造の差し止めを命じる仮処分を決定。サンリオ側はこれを不服として、今後の裁判を通じて主張していくと発表しました。
「キャシー」に限らず初期サンリオキャラクターの生まれた背景にはブルーナ作品の影響が大きかったことは確かだと思うんですが、これが今このような形で問題となるとは思ってもみなかったので正直本気で驚きました。1キャラクターファンとしては無事解決できることを祈るばかりです。
ミッフィー生みの親サンリオ提訴 著作権侵害と(47NEWS 2010.10.20)
サンリオに製造停止命令=ミッフィー著作権侵害訴訟-オランダ(時事ドットコム 2010.11.3)
キャシーだけじゃないリトルハニーも-サンリオのミッフィー酷似疑惑(ウォール・ストリート・ジャーナル 2010.11.4)

●上海万博のマスコットキャラがあのキャラにそっくり?
2010年といえば上海万博もメディアを賑わせましたよね。ほとんどパクリ疑惑についての話題しか記憶にないのがなんですが(笑)。テーマ曲に建物にといろいろありましたが、マスコットキャラクターの「海宝(ハイバオ)」にもアメリカで生まれたクレイアニメのキャラクター、「ガンビー」に似ているとの指摘がありました。
まあ似ていると言えば似ているけど、個人的にはなんでも中国だからと言ってアラ探しすぎな気もするのでした。
上海万博マスコットにもパクリ疑惑、米国キャラに「生き写し」(サーチナ 2010.4.21)

●原発PR館でのジブリグッズ販売に批判(8/18)
福島県にある東京電力福島第二原発 エネルギー館内に2005年から入居していたキャラクターショップ、「どんぐり共和国」の存在がネット上での批判を受け、閉店することになりました。
その批判とは「ジブリキャラが原発のPRに利用されているのではないか」というもの。「どんぐり共和国」はスタジオジブリの直営店ではないものの、ジブリグッズを専門に扱うお店として全国展開しているため、こうした批判が出たようです。
この騒動に対して、スタジオジブリの星野社長はすぐさま公式コメントを表明。原発そのものには言及しなかったものの、特定企業・団体等の広報活動にジブリキャラを使用しているかのような誤解を招くものであったと謝罪し、出店取り止めを決定しました。
この件はキャラクターのイメージを守ることについて考えさせられる一例となったのでした。
原発PR館でのトトロ販売に批判 ジブリ撤退を表明(47NEWS 2010.8.19)
「福島第二原子力発電所エネルギー館」における「どんぐり共和国」の運営について(スタジオジブリ 2010.8.18)

●テレビで命名「松坂エビ太郎」が大不評、改名へ(7/28)
プロ野球の独立リーグに所属するチームとして発足した「三重スリーアローズ」。6月にマスコットキャラクターが発表され、その後フジテレビの「笑っていいとも!」内で名前を決めてもらうことになり、森三中の大島が考案した「松坂エビ太郎」という名前が採用されることになりました。しかし、チームの本拠地は津市にあり、松坂(松阪市の誤字)ともエビ(伊勢市の名産)とも無関係であるとして大不評。結果、改めて名前を公募することになったのでした。
テレビを使ってPRというのはいいと思うんだけど、バラエティだとその場限りの笑いになってしまいがちなのが危険なのと、いくら「ゆるキャラ」がブームだと言ってもゆるいにも限度があるという教訓を教えてくれた一件となりました。
前代未聞! 名前が不評で改名を余儀なくされたキャラ(全国ご当地キャラニュース 2010.7.21)
松坂エビ太郎改め、みつやくんです。よろしくね!(全国ご当地キャラニュース 2010.7.31) 

●日清食品、「ひよこちゃん」のデザインをリニューアル(7/28)
日清食品は看板商品「チキンラーメン」のパッケージに描かれているキャラクター、「ひよこちゃん」のデザインをリニューアルすることを発表しました。新デザインは僕も大好きなプレイセットプロダクツの手によるものだったんですが、ネット上では前の方が素朴でよかったという意見がちらほら。
ちなみに日清食品では人気商品「ラ王」の生産終了を大々的に告知したかと思えばすぐに復活を発表し消費者から顰蹙を買った上、CMでは登山客を追い出し槍ヶ岳山頂での撮影を敢行していたことが新聞への投書により判明。なんだかやることなすこと裏目に出てしまった1年なのでした。
日清食品 「チキンラーメン」キャラ「ひよこちゃん」のデザイン一新(SankeiBiz 2010.7.28)

●人間魚雷「回天」「桜花」を模したキューピーストラップが販売中止に
2009年末に参議院議員の山本一太さんが衆議院議員の小池百合子さんの持っていた”ほふく前進キューピーストラップ”を見せてもらったことがきっかけで、年をまたいで起こった騒動。これにより防衛省内の売店で、旧日本海軍の特攻兵器である「回天」や「桜花」をモチーフにしたキューピーのストラップが販売されていることが判明したのでした。
この問題の背景には、人形としてのキューピーがパブリックドメインとして誰にでも利用できるキャラクターになっていることも関係していると思われます。一元的に管理を行う組織がないと未然に防ぎようがないですもんね…。
人間魚雷「回天」キューピーに疑問の声(東スポWEB 2010.1.8)
回天のキューピーちゃんは問題(山本一太の「気分はいつも直滑降」 2009.12.16)

●ウイルス作者が無駄にクオリティの高い自作キャラを仕込む(8/4)
個人的にある意味いちばん感心したのがこのニュース。以前アニメ画像を使ったコンピュータウイルスをばらまいて著作権法違反で捕まった男がいたんですが、その男が今度はオリジナルキャラクターを作り込んでウイルスに仕込みばらまいたという事件。これはコンピュータウイルスの作成を直接取り締まる法律が存在しないために、別件逮捕的に著作権法違反とされたことに対する抗議を込めてこのような”再犯”を企てたものと思われるんですが、結局今度は警察がウイルス感染者を捜しだし、その人に対する器物破損容疑ということで逮捕されることになったのでした。
そのオリジナルキャラのクオリティの高さが一部で話題となったのですが、とにかくそこまでの情熱と才能があるのなら、もっと別のことに使ってほしいと思うのでした。
【才能の無駄遣い】「イカタコウイルス」のイラストや設定のクオリティが無駄に高い件かくれオタのブログさん 2010.8.4)

●他にもあったあれやこれや
他にもいろんな話題があったので、いくつかピックアップしてみました。主にネット上で話題になったものが多いです。いくつ覚えているかな?

ラピュタ模倣で最優秀賞取り消し 大阪府公募展…ロボット兵をモチーフに。
【中日】偽ドアラに猛クレーム…そっくりすぎて問題に。
「みんなのうた」に不適切映像…DVD回収へ…30年の時を経て発見。
浅井三姉妹のゆるキャラをめぐり滋賀県と長浜市が対立…仲良くしてほしいな。
「もやしもん」コラボに作者NG、フジ制作の酒ラベルに“ダメ出し”…フジテレビ側が迅速に対応し解決。
西郷どーん「左前」 JR九州が修正へ…死に装束になっちゃった。

米Yahoo!のキャラが「人を馬鹿にした顔をしている」と評判…確かにいらつく(笑)。
2ちゃんキャラ「クマー」が五輪キャラと間違われ新聞掲載…違和感なし!
「ランク王国」のラルフ、卒業を示唆するも翌週何事もなく登場にっ完スレッドガイドさん)…セットが変わっただけでした。
NHKと日テレがtwitterで繰り広げる因縁の対決…まだやってます。
ジャムおじさんとバタコさんの関係は「無関係」…しかも人間じゃないと話題に。
キティちゃんが笑いながら転げ回るおもちゃ「爆笑ハローキティ」に衝撃…エルモのやつはかわいいのにね…。
トトロのTV欄紹介文がすごい…執念深く!
 

●2010年の訃報
最後に、このサイトとTwitter上で取り上げた訃報をまとめてみました(敬称略)。

田の中勇(1/13死去、77歳 声優)
瀬川康男(2/18死去、77歳 絵本画家)
神戸守一(5/5死去、86歳 「およげ!たいやきくん」のモデル店主)
島野修(5/8死去、59歳 元プロ野球選手、オリックス「ネッピー」のスーツアクター)
ゲーリー・コールマン(5/28死去、42歳 俳優(アーノルド坊や))
パク・ヨンハ(6/30死去、32歳 俳優)
川本喜八郎(8/23死去、85歳 人形アニメーション作家)
首藤剛志(10/29死去、61歳 脚本家)
佐野洋子(11/5死去、72歳 絵本作家)

衝撃だったと言えばパク・ヨンハさんでしょうか。あんなにほがらかで仕事も順調そうに見えた人でも、死ぬほどの悩みを抱えていたのかと。あと、アーノルド坊やを演じたゲーリー・コールマンさん。あの番組、好きだったのに出演者はなぜか不幸に見舞われている人が多いんですよね。幸せになってほしかったです。

さて、これでやっとこのサイトも年が明けた気がしてきました。今年分はもうちょっと早い段階でまとめたい…と思うのでした。

キャラクターで振り返る2010年(前編)(2011.1.27)

キャラクターで振り返る2010年(前編)

  • 2011年1月27日(木)5:43
  • [COLUMN]

おいおい、もう年明けて1ヶ月たちますよ、と言われそうですが、とにかくこの企画をやっておきましょう。厳密に言うとキャラクターで振り返るというよりも、キャラピット的に振り返るといった感じなんですけどね。

長いので今回も昨年に続いて前後編に分けました。「あ、こんなことあったな~」なんて2010年を振り返って頂けると幸いです。まずは前編として選んだ11の話題をどうぞ。
 

●キデイランド原宿店、建替えのため閉店(8/31)
玩具・キャラクター界のトレンド発信基地とも言われるキデイランド原宿店ですが、なんと建物の老朽化のため閉店することになりました。2012年夏には同じ場所に新生キデイランドがオープンする予定ですが、それまでの間、少し離れた場所で仮店舗(原宿キャットストリート店)での営業を行うことに。仮店舗だけにやはり少し狭く、早く新しい店舗が完成してほしいと願うのでした。
一方でキデイランドでは「キャラパーク」と呼ばれる複合的な店舗を3/19に福岡・天神、10/15に東京・吉祥寺と相次いでオープンし、キャラクターショップとしての新たな展開にも踏み出しています。
キデイランド原宿店、建替えのため8月末で閉店(2010.6.13)
吉祥寺に人気キャラクター専門店集結、「キャラパーク」が関東初登場(Narinari.com 2010.8.27)
3月19日(金)「天神キャラパーク」オープン(PR TIMES 2010.2.18)

●「うさこちゃん」の絵本シリーズ、誕生55周年を機にリニューアル(4/1)
福音館書店から発売されている「うさこちゃん」の絵本が誕生55周年を機に新装版へとリニューアル。全巻を最新のブルーナ・カラーで統一したほか、トータルデザインを担当したブックデザイナーの祖父江慎さんが新たに作り出した「ウサコズフォント」と呼ばれる書体が採用され、話題を呼びました。
うさこちゃん(福音館書店)
祖父江慎さんがつぶやく、ディック・ブルーナ「うさこちゃん」について(Togetter 2010.3.1)

●ガチャピン&ムックが「笑っていいとも!」に出演(4/5)
フジテレビで放送されている「森田一義アワー 笑っていいとも!」の人気コーナー、「テレフォンショッキング」。人気芸能人への登竜門とも言われる同コーナーにキャラクターとして初めてガチャピンとムックが登場! 長寿番組の歴史にその名を刻むこととなりました。また、4ヶ月後の8/17には2例目としてキティちゃんもデザイナーの山口裕子さんとともに出演しています。
ガチャピン&ムックが『いいとも!』出演 タモリから「メタボだよ!」と指摘される(ORICON career 2010.4.5)
ハローキティ、『いいとも』初出演 タモリの追い込みにたじろぐ(ORICON STYLE 2010.8.17)

●サンリオ創業50周年(8/10)
キティちゃんをはじめとする多くのファンシーキャラクターでお馴染みのサンリオが、創業50周年を迎えたのもこの年でした。それを記念してニューヨーク証券取引所にキティちゃんが登場したり、お台場でのイベントを開催したりと、アニバーサリーイヤーにふさわしい1年になりました。
ちなみに創業者の辻信太郎さんは会社設立から現在に至るまでずっと社長として会社を率いているんですよね。そのバイタリティに敬服です。
サンリオ50周年スペシャルサイト

●ついに完結! 「トイ・ストーリー3」公開(7/10)
ピクサーの名を世界に轟かせた名作、「トイ・ストーリー」シリーズがついに完結! 世界興行収入は10億ドルを超え、これまでドリームワークスの「シュレック2」が保持していたアニメーション映画歴代1位の記録を塗り替える超ヒットとなりました。
そんなドリームワークスも、これまでの作風とはまた違った「ヒックとドラゴン」を公開。分かりやすくも奥深いストーリーと迫力のある3D表現が評判となり、「トイ・ストーリー3」にも負けない高評価を獲得したのでした。
トイ・ストーリー3(公式サイト)
ヒックとドラゴン(公式サイト)

●「チェブラーシカ」、日本で映画化(12/18)
ロシアの人気キャラクター、「チェブラーシカ」が中村誠監督の手により日本で映画化。2009年にも「チェブラーシカ あれれ?」というタイトルで2Dのテレビアニメが制作されましたが、今回は当時のロシアの空気感が漂う本格的な人形アニメに仕上がりました。当初は日本での制作に難色を示していた原作者のウスペンスキーさんも映像を見て絶賛したとか。
映画「チェブラーシカ」「くまのがっこう ~ジャッキーとケイティ~」公式サイト

●コボちゃんに妹が誕生(6/14)
植田まさしさんの手により読売新聞朝刊にて連載中の4コマ漫画「コボちゃん」が連載1万回という偉業を達成。それにあわせたかたちでコボちゃんファミリーにも妹、みほちゃんが誕生することになりました。更に、永遠の幼稚園児かと思われたコボちゃんが今年には小学生へと進級することも判明。連載30年目にして突如時間の歯車が動き出したコボちゃんワールドに今後も注目です。
コボちゃん妹の名前は「ミホ」ちゃんに(読売新聞 2010.6.16)
コボちゃん、連載29年目に幼稚園を卒業!ついに小学生に(コミックナタリー 2010.12.13)

●はやぶさ君が帰ってきた!(6/13)
小惑星探査機「はやぶさ」が7年という歳月を経て無事地球へと帰還し、何かと暗いニュースが多かった日本に明るく大きな話題を提供してくれました。JAXAでは「はやぶさ君」というキャラクターを使って活動を分かりやすく報告するサイトを作成していましたが、ネット上でははやぶさを独自に擬人化したイラストを公開する人が続出。萌えキャラになったり、歌が作られたりして盛り上がったのでした。
また、年末には金星探査機「あかつき」とともに打ち上げられた宇宙ヨット「IKAROS」をキャラクター化した絵本も発売されています。
お帰りなさい、はやぶさ!(ITmedia 2010.6.13)
[本]イカロス君の大航海(2010.12.26)

●成人式で配られたDVDがひどい件(1/11)
成人式と言えば責任のある大人としての自覚を新たにする記念すべきイベントですが、そんな新成人の出鼻を挫く、恐るべきDVDが配布されていたことがニコニコ動画へのUPにより判明したのでした。DVDには選挙推進協会が制作した、選挙への参加を啓発するアニメーションが収録されていたのですが、その内容は誰がどう見てもちびっ子向けのような脳天気な仕上がりになっていたのです。
アニメーションを制作したのは「おしりかじり虫」でもおなじみのうるまでるび。その賛否はともかく、動画中に何度も流れるテーマ曲の中毒者が続出し、ムーブメントを巻き起こすに至ったのでした。
せーんきょ、せんきょ、あかるいせんきょー(2010.1.23)
学校で配られたDVDがひどい件(ニコニコ動画)…ちなみに今年も続編が配られたそうです。恐るべし!

●ひこにゃんファンクラブ発足(10/1)
ゆるキャラ界のスーパースター、彦根のひこにゃんは2010年も大人気でした。5月にはこれまで無料だった商標使用料を有料制に移行しましたが人気は衰えることを知らず、10月には「ひこにゃんファンクラブ」が発足。ふるさと納税制度を使った「みんなのひこにゃん応援事業」に5000円以上の寄付をした人を対象に会員証の発行などを行いました。
ひこにゃんファンクラブ(ひこにゃん公式サイト)
「ひこにゃん」キャラ使用有料化 契約申請続々で市職員てんてこ舞い(J-CASTニュース 2010.5.28)

●ゆるキャラ界に大型新人!? 東京スカイツリーの「ソラカラちゃん」誕生(10/28)
2011年の地デジ化完全移行とともに、テレビ放送に関わる巨大事業として建設中の「東京スカイツリー」ですが、その竣工を前に公式キャラクター「ソラカラちゃん」がお披露目されました。
テレビでも大きく取り上げられるなど注目度は抜群ですが、気になるのは東京タワーの「ノッポン兄弟」と仲良くできるのか、というポイントです。地元商店街で活動する「おしなりくん」とは既に打ち解けている様子ですが、ノッポン(特に兄)は一癖あるキャラだけに、今後顔を合わせる日が来るかどうかにも注目です。
東京スカイツリーの公式キャラ「ソラカラちゃん」(2010.10.29)
東京スカイツリー「ソラカラちゃん」と地元キャラ「おしなりくん」が意気投合!(Walker Plus 2010.11.15)
ノッポンに直撃!「ぶっちゃけソラカラちゃんのことどう思ってる?」(Walker Plus 2010.12.23)

後編はこちらです。

キャラクターで振り返る2009年(前編)(2010.1.20)
キャラクターで振り返る2009年(後編)(2010.1.21)

「ミッフィー管理会社がサンリオを提訴」の疑問

10月20日にこのような報道がありました。

ミッフィー生みの親サンリオ提訴 著作権侵害と(47NEWS)

なんと、ミッフィーの著作権管理業務を行うオランダの企業メルシスが、サンリオの「キャシー」というキャラクターがミッフィーを模倣し著作権を侵害しているとして商品の生産停止を求める訴訟を起こしたんだとか。裁判はオランダのアムステルダムで行われていて、判決は11月2日予定とのこと。

感想としては、意外だなぁと思うのと、疑問に思う点がいくつか浮かんだのでちょっと書いてみます。

まず、「キャシー」ってキティちゃんのおともだちに当たる脇役キャラクターなんですが、グッズなんて言われるほど出てる? という疑問。僕もキティちゃんグッズに関して詳しくはないんですが、おともだちってキティちゃんのイラストでたまに見かける程度だと思うんですよね。知名度に関しても熱心なサンリオファンなら知っているでしょうけど、それ以外の人はまず知らないような存在だと思います。

続いて、なぜ今? という点。キャシーって、1970年代には既に存在していたはずなんですが、なぜ今になって問題になったんでしょうね。ひょっとしたら海外では最近になってキティちゃんのおともだちにスポットを当てた展開をしているんでしょうか。

あと、国内でのネットの反応を見ていると、昔サンリオが展開していた「リトルハニー」というミッフィーそっくりなうさぎのキャラクターを持ち出して、元々そういう企業体質だったのでは、という意見が書かれているのをちらほら見かけたんですが、これはちょっとサンリオが気の毒かなと個人的にはしました。だって、時代背景ってあるし…。もし、2010年に新しくあんなパクリキャラを堂々と展開されたら、そりゃあ大問題でしょうけど、40年前と現在ではその辺の倫理観って全然違うと思うので、今の価値観だけで判断してしまうのもどうかと思います。

ただそうは言っても、「キャシー」はもとより、キティちゃんだってミッフィーの影響を色濃く受けた存在だとも思うんですよね。

ミッフィー
(『「ミッフィー展」-50 years with miffy-図録』朝日新聞社(2005) P20-21より)

参考までに1955年、誕生当時のミッフィーのイラストですが、最初は今と全然違う見た目なんですね。それから8年後に出版された絵本ではほぼ今と同じ雰囲気のミッフィーが完成されているんですが、そこに現在に至るまでの試行錯誤や洗練のされ方を感じ取ることができます。

かたやキティちゃんはというと、最初から完成型というか、今と変わらぬ無駄のないデザインで登場しています。
このキティの完成度ってやっぱり、ミッフィーがあってこそだと思うんですよね。ミッフィーとキティちゃんは、直接的に似ているキャラクターではないけれど、線の太さや丸みの付け方、全体のバランスなど、デザイン的な共通点がありますもん。

ただ、すべての創作物は過去の創作物の模倣から始まるわけで、大切なのはそこにどんなオリジナリティがあるかということです。
そんなわけで、「キャシー」のオリジナリティについて、オランダの裁判所がどう判断するのか、そこに注目しながら静かに見守っていきたいと思います。
 

~おまけ1 「ムスティ」について~

今回の件で改めて気になったのが、「ムスティ」の存在。ムスティはベルギー生まれの絵本のキャラクターなんだけど、個人的にはキャシーなんかよりもムスティの方がはるかにミッフィーに似ていると思うんですが、なぜ共存できているんでしょうか。
ムスティの日本版サイトによると誕生は1960年代と書かれているけど、確かミッフィーよりも古いキャラだったような…と思っていたら、英語版WikipediaのMustiの項には1945年って書かれています(何が本当なのやら)。あと2004年に日本のブロガーがムスティとミッフィーとキティの類似性について議論したとも書かれてますが、結論は出たんでしょうか。気になります。
僕個人としては、キティとミッフィーには前述のとおりデザイン的な共通点があるとは思っているけど、キティとムスティの間にはそれがないので類似性は感じないです。
 

~おまけ2 サンリオは既に自粛している?~

[本]SANRIO MEMORIES(2010.8.16)

上記のエントリーでサンリオの50周年記念ブックを2種類買ったことを書きましたが、せっかくなので改めて確かめてみると、な、なんと2冊ともキャシーが紹介されていないんですよ!

キティのおともだち
(『Sanrio 50th Anniversary Official book』サンリオ(2010) P8-9より)

キティのおともだち
(『SANRIO MEMORIES』サンリオ(2010) P16-17)

他のおともだちは紹介されているのに…。公式サイトでも紹介されていないし、ひょっとしてサンリオ的には裁判で結論が出る前からキャシーの存在はなかったことリスト行きになってるの!?
前からこんな扱いだったっけ? と思って振り返ってみると、昨年キティのおともだちについて取り上げたことがあったのを思い出しました。

ハローキティ&ディアダニエル 雛ぬいぐるみ デラックス
ジョーイのガールフレンド(2009.1.21)

これです。思わず画像(Amazonより)も貼り付けちゃいましたが、この「雛ぬいぐるみ」というグッズ、キティのおともだちが揃ってぬいぐるみになっていて珍しい! ということで、”ねずみのジョーイのガールフレンド”という微妙な立ち位置の女の子にスポットを当てた上で紹介したんですよね。
後にこの女の子はジュディという名前だということが判明するんですが、キティのともだちのともだちという立場上、やっぱり扱いも中途半端で公式サイトには相変わらずいないし、50周年記念本でも片方でしか紹介されていないというちょっと不遇な子なんですよね。そんなジュディに気を取られてしまい、まさかもっと不遇な扱いを受けている子が発生しているとは全く気づきませんでした…。

当時のエントリーを見ると、「ねずみの女の子だけが公式サイトで紹介されていない」とあるので、この段階ではキャシーもサイト上で紹介されていたはずなんですよねー。いつの間に削除しちゃったんだか。

「ハローキティ検定」の対策本が登場(2009.7.25)
[本]HELLO KITTY MEMORIES(2009.10.14)

ちなみにその間に発売されている上記2冊の書籍も確認してみると、「ハローキティ検定」ではキャシーについての問題が出題されていて、「HELLO KITTY MEMORIES」ではキャシーの他に、キャシーのおかあさんとおとうさんまで紹介されているのでこの段階ではまだ封印されていなかった様子です(ちなみに親まで紹介されていたのはおともだちの中ではキャシーだけなので、かなり待遇がよいと言えます)。

そんな感じで憶測してみると、昨年~今年の段階でメルシス側はサンリオに何らかの要求をして、サンリオがある程度譲歩したけど決裂し、提訴に踏み切ったという流れなのかな、という気がしてきました。

何にしろ、大人の事情でいなくなっちゃうキャラクターというのは寂しい限りなので、なんとか落としどころを見つけて円満に解決してほしいものです。

キャラクターで振り返る2009年(後編)

  • 2010年1月21日(木)6:04
  • [COLUMN]

キャラクターをキーワードに2009年を振り返ってみようという企画の後編です。どうぞ。(前編はこちら

●まだ続くひこにゃん騒動(7/28)
昨年10月、彦根で2回目となるゆるキャライベント「ゆるキャラまつり in ~キグるミさみっと2009~」が開催され、7万人もの来場者を集め、大盛況のうちに幕を閉じました。
このイベントで主役的なポジションで頑張っているのがおなじみ「ひこにゃん」ですが、例の問題がまだ引きずっていて、7月に新聞・テレビなどで大きく報道されました。例の問題というのは原作者、もへろんさん側と市側とのトラブル。2007年に両者で話し合って解決したかに思われていたんですが、どうもお互いの解釈にずれがあったようなんですね。今年に入ってから、ひこにゃんにそっくりな「ひこねのよいにゃんこ」のグッズが巷に溢れだしたもんだから、市側はビックリして販売中止を求めたりと対応に追われる事態となってしまいました。
ちなみに今現在も根本的な解決には至らず、両者の主張は平行線のままになっています。
ひこにゃん悩ますそっくりキャラ なんと同じ原作者(朝日新聞 2009.7.28)
ゆるキャラ®まつりin彦根
ひこねのよいにゃんこのページ

●ディズニーランド本が盗用疑惑で回収へ(5/1)
僕は騒動になるまでそんな本がベストセラーになっていたことすら知らなかったんですが、東京ディズニーランドでスーパーバイザーを約15年務めた中村克さんという方が書かれた「最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話」という書籍に、他の書籍やネット掲示板などからの盗用疑惑が持ち上がり、最終的には発売元のサンクチュアリ・パブリッシングがお詫びとともに書籍の回収を発表して事態は収束しました。
ディズニー本「最後のパレード」回収、著作権侵害問題で(日経トレンディ 2009.5.7)
パクり“確定”『最後のパレード』…この問題に関するwiki。
「最後のパレード」事件に関する公式見解とお知らせ(2009.10.1)…著者は騒動の5ヶ月後に改めて見解を発表。

●ゴマブックスが民事再生法の適用を申請(9/7)
これもびっくりでした。コマブックスは「BONte」をはじめ、キャラクター関連の書籍を多く発売されている出版社だったし、なによりお抱え作家さん的な存在だったイラストレーターのボンボヤージュさんの活動に影響が出るのでは? と心配してしまいましたが、どうも心配したような影響はなかったみたいで、会社も再建に向けて頑張っているようです。
ゴマブックスが民事再生を申請(ITMedia 2009.9.7)

●大仏もっこり発売中止に(6/25)
北海道・阿寒湖のまりもをモチーフにしたキャラクターと言えば「まりもっこり」ですが、現在では北海道以外の場所でも「ご当地まりもっこり」としてその地域ならではの格好をしたグッズが販売されています。
しかしそのうちの1つ、奈良県の「大仏もっこり」が東大寺からの販売中止を求める要請を受け発売中止になるという事態になってしまいました。
これは確かにキャラがキャラだけに洒落にならないということなんでしょうね。特に宗教が絡む場合は慎重にならないといけないという一例です。
「大仏もっこり」に待った 奈良・東大寺がカンカン(47NEWS 2009.6.24)
「大仏もっこり」販売中止 発売元、東大寺と「和解」(47NEWS 2009.6.25)…発売元のキョーワは問題が発生してわずか1日で発売中止を決め相手側と和解。素早い対応です。

●開国博Y150開催 たねまるの明日は?(4/28)
横浜港開港150周年を記念して横浜にて開催された「開国博Y150」。マスコットキャラのたねまるも大人気で、当初は限定15体で発売されたたねまるフィギュア(150万円)が即日完売するなどの盛況ぶりを見せましたが、イベントが終わってみるとその高すぎる入場料がネックとなったのか、入場者数も目標には大きく届かず、約25億円の赤字が発生。前市長の責任を問う声も出てきました。
そんな中、イベントのボランティアスタッフだった方達を中心に、たねまるを横浜市のマスコットにしようという活動が行われているようです。イベントの失敗により負の面を背負わされてしまった格好のたねまるですが、見事に生き残ることができるのでしょうか。
海洋堂のY150「たねまる」フィギュアが人気―既に2万個を販売(ヨコハマ経済新聞 2009.5.8)
「ペリー・テイトくん」の純金製フィギュア―価格は150万円(ヨコハマ経済新聞 2009.6.3)…こちらは完売しませんでした。
愛は「たねまる」を救う事ができるか? 元ボランティアたちの挑戦(全国ご当地キャラニュース 2009.11.30)
Y150のマスコット「たねまる」に年賀状2通届く、協会「ありがたい」(カナロコ 2010.1.7)…その後14通増えました。お年玉当たるといいね…。

●NHK「おかあさんといっしょ」に新キャラ「モノランモノラン」登場(3/30)
「おかあさんといっしょ」内で放送されている着ぐるみ劇コーナーのキャラクターが9年ぶりに刷新、3人の小鬼のキャラクターが活躍する「モノランモノラン」が始まりました。
ちなみに前作の「ぐ〜チョコランタン」に登場するキャラクター、「スプー」の奇妙奇跡なイラストを描いて人気になったはいだしょうこお姉さんは10月からフジテレビ「笑っていいとも!」のレギュラーになりました。「画ったい!」というコーナーで自慢のイラストを披露してくれています。
おかあさんといっしょ

●ドアラが原因で離婚危機に!?(4/8)
これは読売新聞が運営する「発言小町」に「妻と趣味が合わず、離婚まで考えています。」というタイトルで投稿されたトピックについてなんですが、トピ主の奥さんが中日ドラゴンズのマスコット「ドアラ」にはまってしまったんだけど、自分はまったくドアラのかわいさも妻の行動も理解できず、むしろ気持ち悪いと思ってしまう。この先やっていけるのかという相談なんですね。
最初はとにかくドアラ憎しだったトピ主ですが、なんとかお互いに歩み寄り、妥協することで話は決着するんですが、驚きなのがその後日談。夫婦で試合を観戦するようになって、すっかりドアラのファンになっちゃったとの報告が投稿されるんですね。これには小町のみなさんもずっこけたに違いない(笑)。それにしても嫌いな人まで虜にしてしまうドアラのパワーは恐るべしです。

以上、前後編あわせて15個の話題を取り上げてみました。最後にこのサイトで触れた2009年の訃報についてもまとめておきます。

●2009年の訃報
臼井儀人(9/11死去、51歳 漫画家)
ウェイン・オルウィン(5/18死去、62歳 ミッキーマウスの3代目声優)
滝平二郎(5/16死去、88歳 切り絵作家)
清水由貴子(4/20死去、49歳 女優)
志村正彦(12/24死去、29歳 「フジファブリック」ボーカル)

2009年は他にも世界のキング・オブ・ポップや大物俳優、ミュージシャン、政治家、テレビでおなじみだった落語家など、例年に比べて衝撃的な死が多かったような気がします。臼井さん、生きて帰ってきてほしかったな…。

さて、これで去年のまとめも終わりということで、やっと2010年が始まった気分になってきました。スタートからのんびりしてしまいましたが、今年もこんな感じでのんびり更新して行けたらと思います。

キャラクターで振り返る2009年(前編)(2010.1.20)

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