HOME > アーカイブ > 2010-07-29

「初心者のための? 湯浅政明」を見に行った

僕の大好きなアニメーション監督である湯浅政明さんの作品をオールナイトで上映するという神のような企画があると聞いて行って参りました。

「新文芸坐×アニメスタイルセレクション Vol.9 初心者のための? 湯浅政明」と題されたその企画は、WEB雑誌の「アニメスタイル」と池袋にある名画座「新文芸坐」が共同で企画するアニメーション上映イベントの第9弾として開催されたもので、以下の長編作品2本を含む5作品(+α)が上映されました。

「カイバ」OP(2008、原作・監督・シリーズ構成)
「四畳半神話大系」PV(2010、監督)
「ケモノヅメ」1~2話(2006、原作・監督・シリーズ構成)
「音響生命体ノイズマン」(1997、キャラクターデザイン・設定デザイン・作画監督)
「なんちゃってバンパイヤン」(1999、監督・絵コンテ・レイアウト)
「クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」(1995、設定デザイン・原画)
「マインド・ゲーム」(2004、監督・脚本・絵コンテ)
※()内は公開年と湯浅さんの担当箇所

上映に先駆けて行われた湯浅さんとアニメスタイル編集長、小黒祐一郎さんのトークイベントではこれらの作品について振り返りつつ、今後の展望などを尋ねるものになっていました(以下、ほぼ記憶のみでその内容を書き綴っているのでいろいろ違っているところがあるかもしれませんのであらかじめご容赦ください)。

まず、今回のセレクトについて小黒さんから、「本当はもっと分かりやいタイトルを並べる予定だったが、上映許可等の関係でマニアックなラインナップになってしまい、イベント名に「?」を付けることにした」との説明がありました。この分かりにくい、分かりやすいという話はトーク中に何度か出てきたと思うんですが、湯浅さん的には分かりにくい作品を作っているという意図はなく、監督をするようになってからは試行錯誤しながらやっているので、これからもより分かりやすく、楽しいものを作っていきたい、とのことでした。

初監督長編作品の「マインド・ゲーム」ではストーリーがないという感想が多かったのが意外だったと。自分が観客のときは、展開があれば見られるんだけど、みんなは見てるところが違うんだろうかと疑問を持ったそうです。

対する「四畳半神話大系」は終わり方もちゃんとしていて、きっちりストーリーがまとまった作品になったけど、湯浅さん的には伏線を仕掛けてただ回収するのなんて全然面白いとは思っていなかったんだとか。でもそれだけで反応があって新鮮だったそうです。

湯浅さんが手掛ける作品は、一般的なアニメと比べると見た目がアートっぽい印象を受けることを尋ねられると、好きなようにやっているとそうなっただけで、アートというか自分としては「誰でもピカソ」くらいな感じでやっていると謙遜(?)されていました。

「マインド・ゲーム」では3次元の人間の映像をアニメの中に混ぜ込んでしまうという特徴的な表現がありましたが、その後「空中ブランコ」というテレビアニメで似たような表現があったことについて、小黒さんが「空中~」の監督に尋ねてみたことがあったそうなんですが、その方は「マインド~」を見たことがなかったそうで、「知っていたらああいう表現は採用しなかった」と言われたとのこと。偶然だったんですね。

似ているという話では、「マインド~」を日本での上映の数年後にフランスの映画祭に持っていったことがあったそうなんですが、そのときに現地の人からは「パプリカに似てますね」と言われてしまったんだとか。公開はこっちの方が先なんだって! と、ちょっと悔しい思いをしたそうです。

また、小黒さんによると「四畳半~」にはシャフトというアニメ制作会社の作る雰囲気に似ていると言われることがあるとか。湯浅さん的には特に気にしていない様子でしたが。

あと「ケモノヅメ」の話としては、「時をかける少女」(だったかな?)にくっついて、ボローニャ(だったっけ? このへんあやふやです)の映画祭で上映したことがあったそうなんですが、そのときには日本によくあるようなバイオレンスなアニメの1つと取られてしまって残念だったと語っていました。そういう作品ともまた違うと思うんだけど、と。

最後に小黒さんは、「湯浅さんにはもっとメジャーになって欲しい!」と。今回のようなイベントも1度だけにしたくないし、今回はラインナップに入らなかった「ねこぢる草」(2001、脚本・演出、作画監督)や「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」(1992、一部音楽シーンの演出、作画など)も上映したいし、「マインド・ゲーム」は毎年上映したいなどといった抱負も語ってくれました。
 

さて、ここから上映作品の感想をざっくりと。まず今回上映の5作品の中で見たことあるのは恥ずかしながら「マインド・ゲーム」だけだったりします。好きなら「ケモノヅメ」くらい見とけ、ってな話ですが、ちょっと取っつきにくそうなイメージがあってまだ見てなかったんですよね。上映された2話まで見た感じだと、同じくWOWOWで放送された「カイバ」よりもしっかりしたストーリーが展開されている印象を受けました。取っつきにくさが払拭されたので、残りも早めに見ようと思います。

「音響生命体ノイズマン」はSTUDIO4℃の森本晃司さん監督の短編作品なんですが、なんなんだこれは! と、心底ビビりました。世界設定やキャラクターなど、綿密に構築されているのに、まるで暴走列車のように怒濤の勢いで進行していくストーリー展開によって、結果初見ではほとんど理解不能の得体の知れない映像作品となっています。元々DVD向けに企画されたものらしいですが、まだDVDなんて誰も持ってない1997年公開というのもすごいです。そのDVDは現在入手困難だそうですが、欲しいなぁ。再販してほしいです。
あとテーマ曲を歌ってるのがデビュー前(11歳頃?)のクリスタル・ケイなのにもびっくり。さすがに声が全然違うね。

「なんちゃってバンパイヤン」は後に制作されたテレビアニメ「バンパイヤン・キッズ」の元になったパイロットフィルム。子供向け作品らしく可愛らしい絵柄なんだけど、実際に子供が見るとちょっとトラウマになりそうなきわどい表現もふんだんに盛り込まれていて楽しかったです。

「クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」は劇場版しんちゃんとしては3作目となる作品。地図のシーンの次の場面からが湯浅さんが原画を担当したシーンとのことで注目しながら見てましたが、確かに特徴的というか、変わった動きをし始めますね。こういう見方で作品を見るのもちょっと楽しいです。

そして「マインド・ゲーム」。数年振りにスクリーンで見ましたが、やっぱり最高でした。1シーン、いや1フレームすら無駄のない完全無欠な作品であることを再確認。ホントに毎年上映されるのなら、毎回見に行きますよ。

ポスター
▲ロビーにはポスターが飾ってありました。

「マインド・ゲーム」のポスター
▲「マインド・ゲーム」のポスター。

湯浅政明さんのサイン1
▲湯浅さんのサイン色紙。左は「マインド・ゲーム」に登場するタイムボーイ。右はオムニバス映画「GENIUS PARTY」内の1本として制作された「夢みるキカイ」のもの。

湯浅政明さんのサイン2
▲そして「四畳半神話大系」の小津です。

フライヤー
▲そして配布されたフライヤーには私とジョニー。

WEBアニメスタイル…8/21には「四畳半神話大系」全11話をオールナイトで上映するイベントも開催。湯浅さんと脚本を担当した上田誠さんのトークショーも開催予定です。
○○←カイバ・ケモノヅメ(湯浅政明)…MADHOUSEのサイト内にある湯浅さんのコラムコーナー。一応毎週更新の気持ちでやってるらしいです。

[DVD]四畳半神話体系(2010.5.14)

カテゴリー
タグクラウド
アーカイブ
Feeds

489669 今日:230 昨日:336 (02/7/30-)

QRコード

玄関ページ 旧ページ

UP