MEMO

■毎回同じようなこと書いてる気がするけど、時間がたつのが早すぎるなぁ、と。2月もあっという間に終わりですが、今月はいろいろとイベントに行ってきましたよ。

まずは前回の更新でも書いた2/1に行われた中川李枝子さんと宮崎駿さんによる講演会。面白かったです。内容については「母の友」2014年6月号に掲載されると言うことなのでここではまとめなくてはいいとは思いますが、一応感想的なものは改めて書きたいなと思っています。

公演後に開かれた中川さんのサイン会にも参加して、「いやいやえん」にサインして頂きました。実は中川さんにサイン頂くのは2回目。貰いすぎですよね(笑)。でもどうしても「いやいやえん」に貰いたかったので…。

宮崎さんは学生のときに「いやいやえん」を読んで衝撃を受けたと語っておりましたが(ちなみに鈴木敏夫さんも同じ時期に読んで衝撃を受けていたらしい)、僕もこの本を子供の頃に読んで衝撃を受けたんですよね。たぶんそういう人が全国にいっぱいいるんじゃないのかな。改めて、読んで衝撃を受ける童話ってすごいよなぁって思いました。
 

 

そして毎年2月のお楽しみと言えば、あれです。文化庁メディア芸術祭。今年も行ってきましたよ。展示スペースは、いつもなら作品ごとに壁で仕切られているんだけど、今年は壁を取っ払ってバーンと1つの空間で見せるかたちになっていて新鮮でした。

関連イベントにもいくつか行ってきたんですが、最終日に行われた「想像力の共有地〈コモンズ〉」と題された3部構成のシンポジウムの1部と2部を見てきました。1部は「日本のエンターテインメント—フィクションの神話/ゲーム的創造力」というタイトルで、登壇者はさやわかさん、津田大介さん、イシイジロウさんの3人。”ゲーム的な創造力”が他のメディアへと拡散されていき、それが再びゲームの世界にフィードバックされるとき、どういうことが起こるのか、というテーマを軸に各々が思っていることを語るという内容で、非常に密度の濃い、聞き応えのある内容でした。デモレーターという立場で場を仕切っていたさやわかさんは、かつてはネット上で「ムーノーローカル」や「ニーツオルグ」といった人気サイトを運営されていたあの方です。現在は「物語評論家」という肩書きで活動されているんですね。かっこいいと思いました。物語。物語か~。いいなー。あと派手なシャツが印象的でした。内容については時間があったらまとめてみたいと思います。
 

2部は「ジャパン・コンテンツとしてのコンテンポラリー・アート ―― ジャパニーズ・ネオ・ポップ・リヴィジテッド」というタイトルで、現代美術の世界で活躍する
中原浩大さん、ヤノベケンジさん、村上隆さんの3人が日本のポップ・アートとコンテンポラリー・アートの関係について改めて語るというものだったんですけど、最初の1時間がね、デモレーターの楠見清さんによる3人のこれまでやこれからの活動についてや今回のイベントの趣旨についての説明に費やされていて、盛り上がりに欠けるというか、眠たくなると言うか、寝てしまってました(笑)。
でも1時間を過ぎたあたりから、これまでぶすっとした表情で黙っていた村上さんが覚醒しだしてきて、楠見さんの発言に噛みつく噛みつく(笑)。こういうイベントの場であそこまで人(しかも司会者)の意見を完全否定する人、はじめて見たかも。そこから村上さんを中心に話が流れるようになっていき、いろいろ面白かったんですが、気になる人は誰かがまとめていると思うので検索してみてください(美術手帖にも載るそうです)。

とにかく村上さんのスタンス、独特だなぁと。数年前までは日本の現代美術を取り巻く環境のダメダメっぷりに嘆いていて、どうにかちゃんとする方法はないのかと考えていたそうなんだけど、今ではどうすることもできないという結論になってしまったようで、絶望しか感じなくなったと。でも自分は(例え日本では正当な評価を受けることはなくとも)欧米ではスーパースターなので、自分の創作ができる環境を向こうで完全に構築してあるし、まったく問題ないと。日本の現代美術界がどうなろうと知ったこっちゃないと。そんな感じの語り口でした。

ただ、本当にどうでもいいと思っていたら、わざわざ日本のこんなイベントに出てきて発言することもないんですよね。そこは踏まえて一連の発言については考えなくてはならないんだと思います。

で、何がダメなのかというと、村上さんが言うには、作品を鑑賞するに当たって”文脈”を知ろうとしないと。ネット社会の受けだったり、分かりやすいものばかりに群がって、即座に答えを求めることに慣れ親しんでしまってことで、深く考えることができなくなっていると。とにかく、文脈、コンテキストという言葉を何度も多用していました。文脈がないと現代美術は理解できないと。

ヤノベさんから日本での自分のことをメジャーだと思ってないの?と聞かれたときは、「自分はガロの漫画家のようなもの」との返答でした。まあずいぶん有名なガロ作家さんもいるもんだと思ったものですが、ガロ出身でも蛭子さんみたいに有名な人もいますからね。そういうことなんでしょう(たぶん違う)。
 

 

メディア芸術祭についてはまだ書きたいことはあるんですがとりあえずこの辺にしまして、次のイベントへ。これは先日見に行ったばっかりなんですが、明日までギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催している「「指を置く」展 佐藤雅彦+齋藤達也」を見に行ってきました。まさに紙を使ったメディアアート。楽しかったです。会場には小さい机がいくつも設置されていて、そこに1枚ずつ絵をプリントした紙が置かれているんだけど、その絵の指定した場所に指を置くと不思議なことに絵の見え方が違って見えるという作品です。

最初は「え、そんだけ?」と思っちゃったんですが、いろんなバリエーションの作品があって、試し続けているといつの間にやら指を置く行為にどんどんのめりこんでしまいました。

地下の会場の入り口付近には唯一任意の場所に指を置いていい作品が展示されているんですが(虫のやつ)、これが僕の好きな佐藤さんの作品、「クリック」(amazon)の世界観に通ずるものがあって、思わずにやりとしてしまいました。

紙以外のメディアを使った展示も少しあって、これも面白かったです。ブランコのやつ、思わず左手を机に添えてやってたら、説明書きに「左手を机に置かないでください」って書かれていてちょっとびっくりしました。なんでわかったん?
あと、紙を載せるためだけに、立派な机をたくさん作っているのがすごいなと。そのへんの見せ方へのこだわりも作品の一部なんでしょうね。
 

 

3月もいろいろと見に行こうと思っているんですが、今のところはこのあたりに行くつもりでいます。

誕生50周年記念 ぐりとぐら展(東京会場:松屋銀座 2/27-3/10)
星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会(世田谷文学館、1/25-3/30)
「美少年の美」及川賢治 (100%ORANGE) イラスト個展(トムズボックス 3/1-31)

ぐりとぐら展は講演会からの流れで行っとかないとという感じですね。トムズボックスでやる及川さんの個展は毎年この時期に開催されているんだけど、最近行けてなかったので今年は見に行きたいなぁと。クラフト・エヴィング商會の展覧会はトークイベントも併催されているけど、申込方法が往復ハガキのみで抽選という渋さ。さすがです。