MEMOGAME

E3 2013特設サイト(4gamer.net)

先週の11日から13日まで開催された、家庭用ゲームの見本市「E3」。今年もネットで関連ニュース見ながら1人で盛り上がってました。今回は新ハードの発表が2つもあって、いろいろとすごかったです(以下、ネットでよく見るゲーム業界好きの戯言が最後まで続きますので要注意です)。

そんな新ハードのプレイステーション4とXbox Oneですが、まだベールに包まれている部分が多いはずの現時点で評価に明暗分かれているのが面白いです。さすが広報戦略が巧みなソニーと言ったらいいのか、勝手に自爆しすぎだろマイクロソフトと言ったらいいのかよく分かりませんが、確かにPS4のあのスペックで399ドルという価格には驚きました。

プラットフォームホルダー3社がE3を通して打ち出してきたものを眺めていると、それぞれが前世代の何を反省し、どこを目指しているのかが見えてきてちょっと面白いです。
 

ソニーはハードもソフトも完全に「ゲーマー」に絞った見せ方をしてきました。まずはゲーマーに興味を持ってもらえるような環境を用意して、そこを核にして徐々にライトな層へもユーザーを広げていくという方針です。これはPS3が取ったやり方と同じなんですが、あの時は高額な価格設定でのスタートになってしまったため、肝心のゲーマー層にすら思ったペースで普及させることができませんでした。今回はある程度価格を下げた状態でのスタートになるので、とりあえず核となる層へ一気に普及させることで「ゲームをやるならPS4」というイメージを既成事実化させようってことなんだと思います。
不安要素としては独占タイトルがやや少なく思えるのと、オンラインマルチプレイが有料化する点、そして上記の方針が携帯ゲーム機の「PlayStation Vita」のものと同一な点くらいでしょうか。Vitaも発売前は高性能かつ低価格だとしてゲーマーの間ではかなりの高評価だったにも関わらず、専用タイトルが揃わず現時点では存在感に欠ける展開になっています。というわけで今度はPS4ならではなソフトの充実にも期待したいところです。

マイクロソフトはゲームという面で見るとソニーと似た、というかほぼ同じ方向を向いています。だけど、ゲーム機と言うよりはテレビ・映画・音楽といったリビングルームでの娯楽を集約した未来的なマシン、つまりホームターミナル的な側面を強く打ち出してきました。今風な言葉で言うと「スマートテレビ」って言うんだと思うんですが、これがどうにもゲーマーには不評でしたね(当然といえば当然ですが)。
でも、この方針はマイクロソフトがゲーム業界に参入した当初から目指していたものなんですよね。「リビングルームの覇権」を握ることこそが最終目標ですもんね。ゲームで築いた土台を元に、本格的にそっちの方面へも攻めてきたのがXbox Oneということになります。
で、新たな娯楽装置なわけだから、マイクロソフト的にはこの際に旧態依然とした商習慣を見直していきたいわけですよ。音楽業界がCD→ダウンロードへとシフトしていったように、ゲームソフトもオンラインの時代だろうということでいろいろ”未来的”な方針を発表したんですがこれもやっぱりゲーマーには総じて不評で、結局この辺のことは後日撤回してしまうことになっちゃったのでした。
といった感じで発売前からなにやら雲行きの怪しいマイクロソフトですが、そうは言っても「勝つまでやめない」がスローガンの巨大企業のやることですから、今後どんな策を取ってくるか分かりません。Apple TVとかあの辺の機器すら過去の遺物にしてしまうほどの大成功を収めるのか、ZuneやSurfaceなどとともにマニアの間で密かに語られるハードになってしまうのか、今後の動向にも期待です。
個人的には次世代Kinectとか興味深いし、上手くいけば未来を感じることのできる他にはないシステムになると思うんですけどね…。ただ正直、マイクロソフトじゃなくてAppleあたりに同じコンセプトのハードを作ってもらった方がうまくいきそうな気がします。ご時世的に。

そして、既に先行してWii Uを発売して半年が経過した任天堂ですが、新ハードを大々的に発表した2社とは対照的にとことんマイペース。いつもの自社タイトルの新作をいくつかお披露目しただけで終わりました。
当初、任天堂はWiiのソフトラインナップがファミリー向けに偏りすぎていて、ゲーマーを満足することができなかった点を反省し、Wii Uではそっちへ向けてのテコ入れを行うような動きを見せてはいたんですが、結果としてスタートにつまづいてしまい、「二兎を追う者は一兎をも得ず」のことわざ通りの展開になっちゃっているのが現状です。
この状況を改めて仕切り直しするために任天堂が取った方針というのが、値下げとか、他社が製作する有力タイトルのWii Uへの誘致とか、そういったインパクト重視のものではなくて、「ある程度の販売規模が見込める自社タイトルを定期的に発売していく」というものでした。恐ろしく地味かつ地道な方針の上、任天堂ハードに任天堂製のタイトルが出ることなんて「当たり前」の話です。なので、何らかのサプライズを期待していた人達には肩すかし以外の何者でもなかったのですが、今の任天堂にはやっぱりこの「急がば回れ」とも言うべき方針が必要なんだと思いました。
晴れて3月にWii Uユーザーになった僕的にも正直今回の任天堂の発表には、物足りなさを感じたのは事実ですが、長い目で見た場合、「やっぱりそうだなぁ」という気がしてくるんですよね。少なくとも、ああいう場で「Call of Duty」とか「Grand Theft Auto」みたいなタイトルを嬉々として発表する任天堂なんて、見たくないのは確かだし。
ゲームがどんどんリアルになって任天堂の居場所はなくなるとか、ライトなユーザーはスマホで遊ぶので任天堂のゲームなんて買わなくなるとかいろいろ言われていますが、そういった声に対するポジティブな回答を出せるかどうかという意味でも任天堂にとってのこの1年は非常に重要です。ただ、時代に流されることなく自分が正しいと思った道を突き進んでいってほしいんです、任天堂には。
 

最後に、話の流れで途中に使おうと思っていたデータがあったんですが、せっかく用意したので掲載。プラットフォームホルダー3社が過去に発売した家庭用ゲーム機の世界累計販売台数のデータです。

■任天堂
ファミリーコンピュータ 6191万台
スーパーファミコン 4910万台
ニンテンドウ64 3293万台
ニンテンドーゲームキューブ 2174万台
Wii 9984万台
Wii U 345万台
2013年3月末時点

■ソニー・コンピュータエンタテインメント
プレイステーション 1億249万台(2005年4月末時点
プレイステーション2 1億5000万台(2011年1月末時点
プレイステーション3 8040万台(2013年3月末時点

■マイクロソフト
Xbox 2400万台(2006年5月公表
Xbox360 7720万台(2013年3月末時点

こうやって見ると、現行機(Wii/PS3/Xbox360のこと)ではWiiが最も普及したハードというのは疑いのない事実なんだけど、他の2つも約8000万台売っているわけで、それだけ売れたらもう大成功と言っても差し支えないクラスなんですよね。だってあのファミコンが6000万台なんだから…。

でも、Xbox360がファミコン以上の大成功を収めたハードと言われても、日本に住んでいる人からするとにわかに信じがたいわけで。まあ、国内では160万台しか売れていないのでしょーがないんですが、でもこの国内と海外の温度差みたいなものは次世代になっても埋まることなく続いていくんだろうなという気がします。

テレビの解像度がSD→HDになった現行機と違って次世代機なんて素人目には違いなんてほとんど分からないし、一部のゲームマニアが買うだけのハードになるのではという見方もあるけど、数字で見ていくと少なくとも海外では売れるんじゃないかなぁという感じがします。ただ、日本はどうなるんでしょうね? DS/PSPあたりから携帯機の方が強くなってますし。今のところマイクロソフトのハードが国内で売れるとは思えないのでソニーと任天堂に頑張ってもらわないとね。