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#54 キデイランドが崩壊する日

2002.7.8

(↑本当のタイトルです(^^;))

ネットの記事(文末参照)によると、玩具メーカーのタカラとキャラクターグッズや玩具を販売しているキデイランドが、資本、業務両面での提携に合意したそうです。
「キデイランドが9月に実施する第三者割当増資をタカラが引き受け、約20%の資本参加をして筆頭株主になる」そうで、キデイランドも間接的にコナミの一員って感じですか(^^;)。

それはともかく、最近キデイランドには個人的に多々思うことがあったので、この際いろいろとかいてみることにしよう、そうしようと思いました。

記事によると、「総合カルチャー産業を目指すキデイランド」「ライフエンターテインメント企業を目指すタカラ」の思惑が一致したとのこと。
これは、”ヒット商品の発祥の場”という小売り業としての強さを幅広いジャンルの商品で展開していきたいキデイランドと、「なんちゃってビールサーバー」などのような、大人も楽しめるバラエティグッズのヒットにより、この市場をもっと開拓していきたいと思ったタカラとの提携という感じでしょうか。

両社の提携によって、タカラは、キデイランドのマーケティング能力、マスコミの注目力(宣伝効果)を手に入れられるし、キデイランドは、タカラの確かな企画、開発力から生まれた商品を先行販売、もしくはオリジナル商品として独占販売できることによって、売り上げだって伸びるだろうし、そこから大ヒットが生まれれば、業界・メディアからの注目度はますます高くなるというわけです。

でも、、、僕はね、この記事を見て、前々からキデイランドに対して抱いていた不安がいっそう強くなった、そんな気がするんですよ。

僕は、「はじめての方へ」のページでも書いているとおり、キャラクターのことなんて何も知らないで、こんなページを始めた、ただのヘンな奴ですよ。
だから、そんな僕がこんなことを書くのはちょっと違うんじゃないかという気もするのですが、せっかくの機会なので書いてみることにしますね。

まず、僕はキデイランドに対して、「今注目のグッズや、レアなキャラを発見できるおもしろいお店」というイメージを持っていました。
実際にお店に行ってみても、いろんなキャラクターグッズが陳列されていて、売り場を巡っているだけで楽しくなってしまうような、お店というよりもアミューズメントスポット的な楽しさがあるんですよね。
しかも、並んでいるのは最新のグッズなので、同時に様々な情報を手に入れられるというすごい存在なわけです。
それに、最近はよく数年前に比べてキャラクターグッズが全然売れなくなったと言われていますが、キデイランドにだけは何か、キャラクターグッズが全盛だった頃の勢いを感じるんですよね。
キデイランドが注目したグッズは売れる、みたいな伝説が、今もあるような気がするんです。
そしてそれは、キャラクター業界の全体的な低迷の中で、オアシスのように輝いて見える、と言うか。
でも、本当にキデイランドはオアシスなんでしょうか。
最近になってようやく僕にも、そういった明るい部分だけじゃなくて、なにか疑問を感じてしまうような暗い部分も見えてくるようになった気がするんですよね。
ここから、そんな僕が思う暗い部分が感じられる例を2つ出してみますよ。

「マシマロ」の場合
「マシマロ」は韓国で大ブレイクしたキャラクターです。
元々は1人の青年がインターネットで公開したFlashアニメだったのですが、あれよあれよという間に社会現象になるまでに至ったという、これまでになかったブレイクへの道を辿ったキャラクターと言えるでしょう。
そして遂に、マシマロは日本へもやってきました。
キャラクターの権利を取得したのは、今回のコラムのもう一方の主役でもあるタカラです。
タカラは日本でのプロモーションとして、マシマロの公式サイトを開設し、そこで日本語に訳されたFlashアニメを公開するとともに、キデイランドでマシマログッズを先行販売しました。
プロモーションはこれで終わりです。
「え、これだけ?」と思ったのは、僕だけでしょうか…。
だって、マシマロって最初はFlashアニメの内容もおもしろくて話題になったんだと思うけど、その後、社会現象に至るまでになるのは、「インターネットで大きな話題になった」っていう、これまでにない新しいムーブメントの方法が受けたからだと思うんですよ。
でも、いくら韓国では誰でも知ってるキャラだとしても、日本ではまだ誰も知らないわけですよ。
つまり、日本でもブレイクさせるためには、韓国での「インターネットで大きな話題になった」と同じくらい話題性のある展開が必要だと思うんですよね。
それで、僕は一体どんなプロモーションをして日本でもブレイクさせるんだろうって、期待していたんですが、ただ単にホームページを開いてキデイランドでグッズを並べたと言うだけだったわけですよ。
そのホームページだって、Flashアニメ等の中身は韓国と同じかもしれませんが、意味合いは大きく違ってきますよね。
方や1個人が始めたおもしろFlashサイトで、もう一方は企業が外国のキャラの版権を買ってきて開いた宣伝のためのサイトということになりますので。
企業の宣伝サイトって、そこそこ知名度は出るのかもしれないけど、ムーブメントにはなりにくいわけですよ。
例えば、どこかの企業のサイトが1日100万アクセスあったって、全然珍しくないわけですからね。
もし個人サイトでそれだけアクセスがあったら、否が応でも話題になります。
この違いは大きいですよ。

そしてもう一方の、キデイランドでグッズの先行販売ですが、これって、今までのニューキャラクターとまったく変わらないプロモーション展開ですよね。
何ら、驚きも、新しさもないわけですよ。
つまり、韓国ではこれまでにないブレイク街道を突き進んできたマシマロは、日本に来た時点でそのへんに転がっているニューキャラの1つになったわけです。
こんなので、この先ちゃんとブレイクするんでしょうか?
それとも今くらいの浸透度で満足なのでしょうか。。。


「しげしげしげお」の場合
こちらはバンダイのオリジナルキャラクターです。
携帯電話の3Dアニメ技術を生かして作られたキャラです。
僕はこのキャラクター、そんなに嫌いじゃないんですよ。
動きも面白いし、相棒のポリスもかわいいしね。
でも、このキャラには、ヘンなキャラクター展開があって、テーマはなぜか「関西発」なのです。
藤原紀香が出演していた携帯電話のCMにこのキャラクターがちらっと出ていたんですが、これがどうも西日本限定のCMだったようなんですね。
で、その謎の「関西発」プロモーションに、キデイランドも荷担することになります。
しげしげしげおのキャラクターグッズがキデイランドで(お決まりのように)先行発売されたわけですが、梅田店だけで先行発売されたんですね。
それから少し遅れて、原宿のキデイランドでグッズが発売された時には「今関西でブレイク中のキャラクター!」という宣伝文句がついていました。
これって、なんなんでしょうねー。
チープすぎやしませんか(^^;)。
本当に関西で大人気ならまだわかりますけど、そんな話他で聞いたことないですからね。
ここからは僕の憶測ですが、たぶんこれは最近関西が発祥となってブレイクすると言うパターンを踏んでいるモノがいくつかあるから、それに便乗してみたと言うことなんだと思います。
例えば、森チャックだったり、あと、最近J−POP界で人気のオレンジペコーも関西のクラブシーンから火がついたそうだし(まあこれは厳密に言うとしげお後の話だけど)。
でも、ここで大きな「?」があるのですが、最近の関西発祥のムーブメントっていうのは、どれもおしゃれっぽい感じなんですよね。
ところが、そんなムーブメントに便乗してみたしげしげしげおはどこからどう見てもおしゃれではありません。
というか、どう見てもギャグ系です。
このズレた感じってどう考えてもね、
「最近関西がブームらしいぞ」
「だったらしげしげしげおも関西発で行くか」
「ギャグっぽいキャラだから関西でちょうどいいだろ」
っていう思考回路の元に、こういう展開になったとしか思えないんですよね。
まあ、実際は大企業に勤めている人が考えてやってるんだから、そんなわけないと思うんだけど、そうとしか思えないんですよね。
しげしげしげおと関西が結び付くのはギャグだからというくらいしかない、と。
でも、このギャグっぽさもね、関西のものではないと思うんですよね。
作者の人がどこ出身の人かは知らないけど、どっちかというと関東ギャグっぽい雰囲気ががします。
それとも、「Dr.スランプ」に出てくるスッパマンにちょっと似てるから名古屋系かもしれません(^^;)。
だから、しげしげしげおの関西でブレイクって言ううたい文句は、すごくズレているっていうか、バカにされた気がするんです。

(↓ハイ、このあたりから疲れてきってしまったため、文体が変だったり、何書いてるのか「?」だったりしますよ。ご了承のほどを)

「しげしげしげお」ブレーク
↑の記事ではしげしげしげおはブレイクしたことになっているが、果たして本当にブレイクと言えるのだろうか。
今、キデイランドにある程度の売り場を確保できれば、どんなキャラのグッズだって、ある程度売れるのではないか。
確かに、キデイランドが、売り場をそういう場に育てたのはすごい。
でも、売り場を縮小すれば売れなくなる。
つまり、キデイランドにキャラクターを育てることはできない。
キャラを定着させようと思ったら、それこそ半永久的にある程度の売り場を確保しなければならないけど、そうはできない(次から次へと新キャラ、新グッズが登場し、それらを発信していかなければならないから)。

原宿のキデイランドに行くと、3階だか、4階だかのごく狭い一角に、「たまごやろう」や「コオロギくん」、「おしゃれぱんだ」などのキャラクターグッズがまとめて置かれているのを見ることができる。
これらのキャラだって、ちょっと前まではもっと目立つところに陳列されていたのではないだろうか(とは言っても、最初からここに置かれていたキャラもいることはいると思うけど)。
僕は、売れなくなったら(もしくは、売れないとわかると)こんなところにまとめられてしまうのか、ここは”終わった”キャラの墓場だなと思った。

今回のメーカーとの提携は、市場の声をダイレクトに商品開発の場に反映させることができたりと、メリットも大きいかもしれないが、逆にしがらみが増えたとも考えられる。
つまり、メーカーと小売りが接近しすぎることで、売り場が企業のプロモーションの場になってしまう可能性がある。
そうなると、アミューズメント性も低くなってくるだろうし、情報発信の場としての価値も半減するだろう。

今回の件では、なんでもキデイランドに頼ってしまおうとするメーカーと、一時的に流行させれば後は捨ててもかまわない、だから新しいモノを早くたくさん欲しいと思っている小売りという図式が浮かび上がってくる。
しかし、もちろんその中心にいるのは我々消費者だ。
いつも新しい物好きで、移り気な消費者相手に堅実な商売をしようとすれば、売り方だってこうなっていくのも仕方がないだろう。
だけど、数打ってたまたま当たったら御の字、みたいな売り方をいつまでもしていると、いつかはキデイランドだって、そのネームバリューを失う時が来るのではなかろうか。
キデイランドの崩壊。
そうなれば、キャラクター業界はただひとつのオアシスを失い、路頭に迷うことになるだろう。

僕は、こんな今だからこそ、キャラクターに愛情を持った小売りと言うのが必要になってくると思う。
本気で好きになったキャラを、本気で長く扱ってくれるような、そんな愛情溢れるお店が。
そして、次の時代にはそういうお店がキャラクター業界を背負って立つ、そんな日がいつか来ればいいですが、まあ、たぶんこの先も、キデイランドは移り気な僕たちを相手に元気に商売していくんでしょうね…(ハイ、結局こういうまとめなんです)。

がん具2社が業務資本提携 タカラとキデイランド
タカラは家電コントロールロボを好感
タカラとキデイランド が業務資本提携



長い追記(02/7/9):いやはや追記です。僕のサイトは、僕がそのとき思ったことをそのまま書くということを心掛けていて、だから、このサイトを読んでわかることは、「どこかの誰かがこんなことを思っているようだ」という1点だけだと思ってくれると間違いはないはずなんですが、それでも、その1点すら伝えきれていない文章が出来上がってしまうこともあるわけで、まあ今回のメモがそれだったわけですが、なかなか難しいものですね(^^)。
このメモの入口に「僕はキデイランドが好きだ」と書きましたが、あれは別に逃げとかじゃなくて、本当の本当にそうなんですが、この本文のどこをどう見てもそういう僕の気持ちが表れていないんですね。
あと、「今回のメモは、まとめきれていない作りかけの文章だ」と書いたのは、これははっきり言って逃げですよ。なんでそんな作りかけの文をUPしたかというと、それがネットの特権だと言う気持ちが僕の中にあるからなんですね。よく、ネットの文はトイレの落書きと同レベルだなんていう意見がありますが、僕は常に、自分のサイトに限っては落書き以下だろっていう自覚を持って書いているし、逆にそんな死ぬほどくだらない文を誰かに読んでもらえる(かもしれない)っていうのが楽しかったりするんですね。
で、最初に「どこかの誰かがこんなことを思っているようだ」ということだけがわかる文、と言う話を書きましたが、文章を作るって言うことは、頭の中で、もやもやとまとまりなく漂っている「思っていること」をまとめていくっていうことなんだと思うんですよね。その作業の中で、自分の「思っていること」の中にある変なところや矛盾点を発見して、それらをひとつひとつ、どういうことなんだろうって考えて、もっと本心に近いところにある「思っていること」を取り出す。そういうことを繰り返して、自分で納得のできる文が出来上がったら、それはどこからどう見ても”「どこかの誰かがこんなことを思っているようだ」ということだけがわかる文”になっていると思います。
でも、今回の文は、自分の中にある矛盾点を無視して、「思っていること」の非常に浅い部分だけをすくって書いてしまったということです。そんな文でも、「思っていること」には変わりないんですから、この文の全体を僕は否定しません。でも、こういう浅い文って、ちょっとでも時間がたつとすぐに自分でも納得のいかない文になってしまって、ひどいと直視すらできなくなってうんですね。今回の場合は、UPした翌日にもうつっこみたくなったので、思わずこんなフォローのような変な文を追記してしまっているわけです。これからはそんな反省の意味も含めて、せめて、10日くらいは納得したままでいられるくらいのクオリティは確保していきたいな、なんて思っています(^^)。

では、どのへんが納得いかなかったかという話ですが、僕はモノを見るときに無意識に負の視点から見てしまう癖があるんですよね。この文にはそういうところが全面に出てしまっているので、読んだ人はなにか後味悪くなったんじゃないかと思います。「キャラの墓場」っていうのだって、ファンのために、いっぱいいっぱいの売り場をどうにか確保しているという見方だってできるしね。
とにかく、この文では、なにかキデイランドだけが悪いみたいな感じになっちゃってるのが、最大の間違いだったと思います。
キデイランドは、キャラクター(グッズ)のことについていちばんよくわかっている会社だと思うし(って僕がわかった風に言えるほど簡単なものでもないことも承知の上で)、絶えずキャラクター業界を盛り上げてくれている、僕たちキャラクターファンにとっても大事で、なくてはならない存在だと思います。
ただ問題なのは、キデイランドで売れている→ブレイクと伝えるメディアをそのまま鵜呑みにしてしまうっていことが、キャラクターファンの間で当たり前になっちゃうとダメだよなぁという話で。
そういう意味も含めて、現状の、”全国展開しているキャラクターグッズの小売り業”としてのキデイランド一強状態に対して、どこかから、もっとキデイランドとは違った見せ方でおもしろいことができるキャラクターグッズのお店が出てきて、競争のような状態になってほしいよなぁと思ったのが、今回のタイトルについての真意であって、本当にキデイランドになくなってほしいなんて、全然思ってないし、そんなことになったら困っちゃいますよ、ホント(^^)。

とにかく、今回のタカラとの提携についても、それによっておもしろいものが生まれるのならば、僕としては大歓迎だし、これからも1ファンとして、”総合カルチャー産業”を目指しているらしいキデイランドっていうなんだか楽しそうなお店について、正の視点、負の視点、いろんな方向から眺めてみて、何かつっこみたくなったことがあったら、また浅く(^^;)つっこんでみたいと思っています。

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