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前回の続きです。
前回と言っても前にUPしたのが3年前だったりしますが…(笑)。











なんと最大のキーキャラは、ドラゴンだ!!
さらに糸井さんのカメが『3』を面白くするぅ??



糸井さん そうそう、でも、ドラゴンも出るよ。ブタ以上にキーだよ。ブタなんてもんじゃないな、ドラゴンは。

――えぇぇぇぇ、またまたスクープですよ。

糸井さん ブタはなんて言うんだろうな、脇役のキーかもしんないけど、やっぱりドラゴンがいる話なんだよ、『3』では。ドラゴンは…(ピ~)…ってゲームですよ、今回は。すごいぞ、うん。要するに、ドラゴンが出るの知ってて、みんな遊ぶじゃないですか。さぁ出ましたって時に、きっとオレだったら「バカ~!」って怒鳴ると思うね(笑)。

――どういうことなんすか、それ。

糸井さん それは言えないな。それはすごくて、思わず「バカ~」って叫んじゃうようなドラゴンなんだもん。たとえばちっちゃいドラゴンがさ、ワーッって虫みたいに動いてるのかも(笑)。そりゃ、バカって言うだろうね。出てきて踏みつぶして、それでおしまい。でも、強いからまた立ち上がって、かまれると痛いの(笑)。

――こりゃほんとにスクープでんなぁ。

糸井さん ジュラシックパークに迷い込むのかもしんないし、琥珀の中からDNAを取り出すのかもしんないし。いやぁ、ドラゴン出るぞって、今回初めて言ったな~。

――問題のドラゴンの画像はもう…。

糸井さん ない。ドラゴンの画像ないんだ、まだ。後回し。あの~、ドラゴンにもいろいろいてね。あ、いけね(笑)。

――おぉ、お漏らしですねぇ。ついでに正式なタイトルもお願いしますよ。

糸井さん でも、それ今言っちゃうと、あれじゃないですか。後でまた記事作れないじゃないよ。タイトル分かったぞっていうのは、これはこれで大きなネタですから。

――では、ズバリ今回も泣けますか?

糸井さん  それはこれから先また勝負かけなきゃなんないけど、僕よくビデオを泣くために借りることが多いんですよ。「ひとつ泣けるのを探しに行くか」って、10時半くらいにパジャマにコート着てビデオ屋行くんですよ。で、「最近泣けるのあった?」っていうような暮らしをしているもんで。もちろん、何回泣けるかっていうのを売りにするつもりはないけど、ゲーム作っている若い人たちとは、違うような泣かせ方を俺なら出来るっていうのを見せたい。例えば、前作でさ、ウインターズの寄宿舎で、ジェフと同室のトニーという男の子いたじゃないですか。ジェフが門を飛び越えるときに踏台になる男が。あれ、他のゲームには絶対出てこないですよね。で、トニーは振り返らずに、スーっと帰っていく。あれは、俺がいたから出来たっていう自信があるのよ(笑)。思わせぶりな手紙くれたり、ああいうのは他の冒険活劇には入りっこないんですよね。入れるとドタバタになるから。それに、あのどせいさんの無条件の素直さなんかも、ほんとは泣けるシーンなんですよ。泣けるシーンっていうか、僕の泣きなんですよ。だから、これからガンガンそういうのは、入れていこうかな。

――フライングマンは自己犠牲ですしね。

糸井さん 自己犠牲ってこともあるし、健気さもあるし。なんて言うのかな、表現されてないもので感情が揺さぶられるみたいなことだな。まぁ、分かんない子にとっては、踏台になったトニーっていうのは、踏台になってくれて、門を飛び越えられてよかったなって思うだけですよ。でも、大人が見たりすると「こいつもなぁ…チッ」って(笑)。分かるわけですよ。だから、やっぱりプレイヤーが洗練されていればいるほど『MOTHER』は面白いですよ。

――といっても、泣けることがテーマというわけじゃないっすよね。

糸井さん 「テーマ」ってのはない。ようするに自分が濃く遊びたいっていうのがテーマですからね。あの~、僕、テーマ性の強い少年マンガを読まないんですよ。というのも、ある程度先が見えてる要素を、あんまり『3』に入れたくないんですね。やっぱり何が出てくるか分からないっていう面白さが『MOTHER』だと思うんです。いまはそれを実現したいってだけですよね。その僕の電波に反応してくれるお客さんがいれば、うれしいってことですよね。

――ところで、もう64DDでの発売というのは間違いないんすか?

糸井さん う~ん、これは64DDってことで、仕掛けを考えちゃってるんですよ。64DDで出すことを前提にやることっていっぱいあるんでねぇ。もう64DDじゃないと『3』は出来ないからね。

――では、無難なところで『MOTHER』ファンにひと言どーぞ!

糸井さん まぁ、これから自分の身の回りに起こることで、密度濃くいいことがあると、『MOTHER』も面白いゲームになるんですよね。そういうもんなんですよ。だから、今カメ飼ってるけど、そういうの見てると、おっ、こういうこと入れようとかね。
※この欄の注釈は雑誌に掲載されていたものです。なお、ピンク色の文字は管理人の勝手な注釈です。




糸井さんが同時制作しているマル秘ゲームも
発表。その名は『キャベツ』だ!!




――ところで、『MOTHER4』のアイデアはまだ浮かんでないんですか(笑)。

糸井さん いや、もっと今回のをやってからでないと出来ないでしょうね。ちょっとしたイラだちがないと次のこと考えられないんで。今はね。

――でも、純粋なヒットRPGシリーズって、64では『MOTHER』だけになっちゃいましたね。『ドラクエ』はあれだし。64の正統派RPGを背負って立つエースになるんじゃないですか。

糸井さん いや、エースになる気はないんだね。もちろん投げて勝ち越したらそれはそれで嬉しいですけど。まぁ、自分のピッチングを変えるつもりないや、変えられない(笑)。それは、もう体質なんだ。それをやるとえらい目に合うんですよ、みんな。ようするに、その時だけ、エース、エースってちやほやされて肩壊すっていうか、俺である必要がなくなるんですよ、お客さんが何欲しがってるかで作るようになったら。だからもうアンケート作って「どういう主人公がいいですか?」「どういうシチュエーションが?」ってやるだけでゲーム出来ちゃうことになるもん。そんなもの、すでにあふれてるじゃないですか。だいたい本当のマーケティング (※9)って、確立されてないんです。だから『プリクラ』にしても『たまごっち』にしても、売れたから、みんな「あーだこーだ」って言うけど、あの企画書通すのって大変だったと思うんですよ。特に『たまごっち』なんか…。実はね、僕、『たまごっち』にそっくりなゲームを、ずっと作っているんですよ。

――昨年言ってたヤツですか。

糸井さん そう。3人で出来るゲーム作ろうってコンセプトで作ってるんですよ。優秀なプログラマーがいて、絵や画面演出の得意な人がいて、俺がいたら作れるというゲームを作ろうというのが、僕の夢なんで。実際64っていうのは、そういうことがほんとは出来るんですよ。ただ、あんなに『たまごっち』が売れると思わなかったんで、静かにやってたんだけど(笑)。

――一言いわざるをえなくなったわけっすね。

糸井さん うん。真似したって言われるのは、しゃくだから。ほんとは5年前にゲームボーイ版で考えていたんですよ。すでに、キャラクターは出来ているんです。それで、64がどれだけ優秀な機械(※10)かが分かった時に、これは64で出そうって思って。

――えぇぇぇぇ、ゲームボーイじゃなくて64で出すことで決まりですか。

糸井さん 64です。僕一人で漏らしちゃって、後で怒られるかもしれないけど(笑)。最新のゲームのノウハウを全部たたき込んで“ホンモノ”を作ろうと。やっぱりゲームボーイだと、『たまごっち』+αぐらいにしかなんないんですよ。それに市場が成熟してなかったんで、その点『たまごっち』は偉いなって思った。だって、最初はみんな会議してる時に「ほんとにそれでいいですかね」って俺にしつこく言うのよ。でも、売れることを『たまごっち』が証明してくれたんで、やっぱりなと思った。早くそれで遊ぶために、家に帰りたくなるようなゲームが、久しぶりに出来るんじゃないかな。

――そのタイトルは決まっているんですか。

糸井さん 今は『キャベツ』(仮)って言ってるけどね。まぁ、タイトルは何でもいいんですよ。『MOTHER』だってバンド名みたいなもんだし。『ドラゴンクエスト』だってなんの意味もない。ドラゴンをクエストしてないじゃない、最近は(笑)。それに『ファイナルファンタジー』だってファイナルじゃねーじゃないかって(笑)。

――発売はいつ頃になりそうですか。

糸井さん 『MOTHER3』と平行して作るもんだから、うまく行けば今年出せるし、まずくても1年ちょっとかな。ある意味では『MOTHER3』より大きいゲームです。だって『MOTHER3』は、何を作るかがみんな想像ついてるけど、これに関しては予想が追いつきっこないってものを作りますから。

――具体的にはどんな感じなんですか。

糸井さん あっ、これは書かないでね。ソフトが…(ピー)…かも違います。

――『MOTHER3』より面白そうですねぇ。

糸井さん 面白いだろ(笑)。

――そういや、スーファミで『糸井重里のバス釣りNO.1』っていう釣りゲー出ますね。

糸井さん 釣りを知らない人でももちろんOKだし上手になりますよ、あれやると。

――ゴミ拾いのイベントがあったり、変わった釣りゲーですよね。

糸井さん でも、ちゃんと作ってるっていうだけです。自分で「これは嘘だよな」っておもいながら遊ぶ釣りゲー作りたくなかったんで。将棋ゲーム作るのにさ、コマの絵がキレイになったってしょうがないじゃない。将棋ゲームの一番の魅力は、強いことですよね。それと釣りゲームっておなじですよ。そういうのをちゃんと作るっていうのが、テーマですからね。

――そうですね。では、最後に一言…。

糸井さん たまには、ビジネスとして成り立ってみたいもんだなぁって思うんですよね。『キャベツ』がワ~ッて売れたりしたらうれしいだろうな。

――『MOTHER』の版権をどっかに売りましょうか。ビジネス考えるんだったら…。

糸井さん 『MOTHER』の版権を?(笑)。でも、プレステも、64もサターンもみんな辛いぜ、今。だって、ゲリラと大使館側とどっちが辛いかってのと同じだぜ(笑)。普通、国の方が強いに決まっているじゃない。でも、ゲリラと拮抗してるわけでしょ、現実は。そういうもんなんですよ、戦争って。

――実にわかりやすい例えでした(笑)。


















マーケティング(※9)
正確には、アイデア・製品・サービスを作りだして、価格・販売するプロセスのこと。「古いマーケティングっていうのは、早い話がトレンドであれば、今誰が人気あるか。今日データとって、上から順番に人気がある順だと思って、来年のコマーシャルの出演者を考えるというヤツ」(糸井さん談)。でも、最近は何が売れるかなかなか予想できないのだ。だから、ゲーム界は続編や似たようなゲームばかりなんだね。








優秀な機械(※10)
「ゲーム作るやつがすごいって知ってるね。だから、こっちから注文だして、HAL研の岩田さんに限るのかもしれないけど、『プログラマーは出来ないって言っちゃいけないんです』という名セリフがあるんですけど、それを心から言えるハードって、どうもないみたいね。でも、64は何でもやろうと思えば出来るみたいね」(糸井さん談)



取材・構成/田村修二+佐尾昭典
The64DREAM 1997年4月号(毎日コミュニケーションズ)より



というわけで、ニンドリ(じゃなくて当時はロクドリか)の
MOTHER3関連(+キャベツ)のインタビューとしては最も
重要度が高いと思われるものをご紹介しました。




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