TOPICSテレビ,感想

先月15日の話ですが、「やわらか戦車」「くわがたツマミ」の生みの親として知られるウェブアニメーターのラレコさんが、NHKで放送されているトーク番組「トップランナー」に出演するというので見てみたところ、なかなかおもしろい内容でしたのでメモっときますです。

ちなみにラレコさんはこれまで素顔を公表しないまま活動していたので、今回素顔初公開となっております。いきなりテレビで出すとはすごいです。
 
 
●「やわらか戦車」を思いついた経緯

キャラクターサイトとして押さえておきたい話としては、まずこれでしょうか。「やわらか戦車」を思いついた経緯として、番組内では以下のように語られていました。

「プライベートライアン」という映画を見ていて、最初に凄惨な上陸シーンがあるんですよ。砂浜に上陸して待ちかまえていた敵兵に蜂の巣にされちゃうわけですね。そのシーンを見て、人間ってやわらかいなって思ったんです。

そして、「兵隊さん達はやわらかい」って言う言葉が自分の中に生まれて、ある時「やわらか戦車」っていう言葉を思いついた。

「やわらか戦車」ってどんな奴かなって思った時に、へろへろっと大福のようなものを描いて、キャタピラを付けて、こんなもんだろ、みたいな。(一部要約)

というわけで、映画を見て感じた何気ないことが言葉として記憶され、そこから少し違う言葉が生み出され、それに後付けで絵ができたという段取りで生まれたキャラクターのようです。
 
 
●アニメを作るに至った経緯

そして話は遡り、アニメを作るに至った頃の話になるんですが、この話がすごいなーって思ったんですよね。

漫画家になりたかったけどうまくいかずに、インターネットの「お絵かき掲示板」で絵を描いてUPして遊んでいた頃があったそうなんですが、その時に他のみんなの絵が上手くてかなわないと思ったそうなんですね。で、そこでラレコさんが思ったことというのが、「絵だけだとかなわないから、(その絵を)動かして歌ったら勝つかな」と言うことだったんだとか。それで100%遊びとして発表したアニメーションが注目されてそのまま今に至っているという経緯になるんですね。

ここまでで思うのは、やっぱりこういう人は発想が柔軟だわ、と言うことで。絵を描く仕事をしたいと思っている人が、その絵を動かしたり、歌を付けたりっていう技術を身につけたところで、普通に考えたら意味ないと思うだろうに、何の気なしにそういうことを思いついて実行できるっていうのはすごいなと思いました。「やわらか戦車」のキャラクターが生まれるまでも何段階かの発想がありますが、そこでもやっぱり誰も思いつかないような発想がありますし。

ラレコさんは、絵を動かしたり、音楽を作ったりする自分の技術は1つ1つを取ってみると全部中途半端で、どれか1つだけではモノにならないと思うとも語っていました。

だから、ろくすっぽギターの弾けない自分とか、いろいろ集めてきて、「おまえら協力してなんか作ってみろ」みたいな監督的な立場で、おまえら、この程度の腕前だから、これくらいのアニメを作ったらいいんじゃないかみたいな、提案をしている感じなんです。(一部要約)

作品に人気が出て来た時のことを振り返って、こう語っていました。

その時すごい思ったのが、それまで漫画を描く時も、一所懸命だったんですよ。完成度を上げようとか、気負いばかりが先に立っちゃって、うまく作品を作ることができないでいたんですけども、何の気なしに作ったもので、お客さんがわーっと来て、今までの人生は何だったんだって思ったくらい、がらっと変わったんですよね。(一部要約)

こういう話を聞くと、発想の柔軟さはもとより、自分の身の程を知ることっていうか、自分にできることを冷静に考えてみることや、誰のために作っているのかという動機ーーラレコさんの場合では自分のためにずっと漫画を描いていたのに花は咲かず、ただちょっと仲間内をびっくりさせたいと思って作ったものが、もっとずっと広いところで受け入れられるという結果に繋がったわけで、世に出る創作物っていうのは1つ1つの考えとか、動機とかが組み合わさって生まれてくるものなんだなぁって思いましたです。

ちなみに調べてみたところ、「やわらか戦車」は昨年末で2周年を迎えたようです。もうそんなになるんですね。顔出し後のこれからのラレコさんにも期待です。