[前ページ]  

 

▽手塚治虫初期傑作作品に潜む謎キャラ 2000.9.21

やっぱりこれは手塚治虫の負の面なのでしょうか。

先日、海賊版ののらくろが収録された昭和初期のアニメフィルムが発見されたそうです。そして驚いたことにその作中でミッキーマウスが登場、のらくろと競演していたとのことでした。

そんな話題を耳にして僕は、手塚治虫の漫画(こちらはちゃんとした商業誌)の似たような事例を思い出しました。というわけで久しぶりの今回は、この件について取り上げてみたいと思います。
ただ、のらくろのミッキーがのらくろと一緒に悪者を倒すという役なのに対し、手塚漫画のミッキーもどきは悪者なんですよね。ちょっとミッキーファンが見たら怒るかも(^^;)。

でも、手塚治虫は大のディズニーアニメ好きなんですよね。じゃあなんでパロディにしても悪者になっちゃったんでしょうか。僕も根っからの手塚マニアじゃないのでこれは想像でしかないのですが、手塚治虫って意外と嫉妬深い面があったといわれていて、自分よりも面白い漫画や、人気のある漫画に対しての敵対意識みたいなものが相当強かったらしいんですよね。

ある時、石森章太郎が全く台詞のない漫画というのを実験的に雑誌に連載していた時に、手塚治虫はその斬新さが悔しくて、本人に向かって「あんなのは漫画じゃない」なんて言ってしまい、石森章太郎はそれがあって連載をやめてしまったというエピソードもあるようなくらいなんです。
この件のことも後に相当後悔していたなんて話もあり、手塚治虫はこういう敵対するものを批判→そして後悔といったことを度々繰り返しているんですよね。まあ、そこまでの情熱がなければあの膨大な作品はうまれなかったんでしょうね。

そこで今回のミッキーですが、これもそういう嫉妬がもとになったパロディだったのかなあという気がするんですよね。で、やっぱり後に後悔してたんじゃないかなあなんて気もします(本当のところは手塚マニアの方ならご存知なのかもしれませんが)。それにしても、ちょっとひどいような気もしたり(^^;)。でもなあ、これ描かれた時期って戦後直後の昭和23年とか、そのくらいなんですよ。だから今の価値観でもって手塚治虫を批判するのも酷な話ですよね…。

もしかすると、これでも「当時もうすでに世界的スターだったミッキーを自分の作品に登場させたい!」という純粋な気持ちのみがそうさせたのかもしれませんし。のらくろだってそうですよね。当時からミッキーはこんなに人気だったという証しなんだと思います。


あと蛇足ですが、この件なのかどうなのかは知りませんが、手塚治虫は初期の漫画でディズニーの著作権を侵害している部分があるから、「ライオンキング」を訴えることができなかったなんていう噂も聞いたことがあるのですが、まあ噂でしょうね(^^;)。

あともうひとつ。「メトロポリス」は来年映画化されますが、ぜひともその時は学名「ミキマウス・ウォルトディズニーニ」なるキャラもカットせず登場させてやってください。お願いします(^^)。


↑初期SF三部作の1つとしてその名を知られる、僕も大好きな「メトロポリス」より。昭和24年に単行本発行。
地下に謎の巨大生物が異常繁殖しているとのことで大騒動に。その正体がミッキーもどきな大ねずみだったというのが前後のあらすじ。
ページ最初の台詞には「怪物」との文字が…。それからこの怪物の学名は「ミキマウス・ウォルトディズニーニ」というそうです(^^)。今こんなものを商業誌に掲載すれば即刻訴えられます(^^;)。


↑そしてその少し後のシーン。ヒゲオヤジがなんとミッキー…、いや違った、ミキマウス・ウォルトディズニーニの皮をはいで中に入って冒険しだします。まるで現在のミッキーマウスの姿を予想してたかのよう……あわわわ、言葉がすぎました(^^;)。
なお、これから数ページはまるでミッキーが主人公(ちょっと顔がおやじくさいけど)の漫画のようです。


↑こっちは昭和23年発行の「魔法屋敷」。ちなみにこの本はもちろん後に発行されたものです。コウモリのオバケの顔がなぜかミッキーに…。そんなミッキーに向かって、「目にもの見せてくれん」だなんてケン一君…(^^;)。


↑そしてこれが次のページ。あーあ、撃っちゃった(^^;)。
本当にこれを見て手塚漫画のことを嫌いにならないでくださいね、ディズニーファンの皆様。なんでも手塚治虫はあのウォルトディズニーから直々に誉められたこともあるそうなので(^^)。


※なお、この画像は明日9/22中に削除します。己が著作権に違反してるやん、ってことになりますので(^^;)。でも、過去にこんなことがあったぞと、現在と過去の著作権意識の違いを知ってもらいたくて引用したというのも純粋な僕の気持ちなんです。