65.おさるのまいにち 2003.8.8


 もう更新しないと自分でも思っていた当コーナーですが、久々に更新したい気持ちになりました。そんな今回は子供に人気の絵本・幼年童話作家、いとうひろしさんの「おさるシリーズ」を取り上げます。


おさるだいすき

先日、本屋の児童書コーナーに立ち寄り、いとうひろしさんの「おさる」シリーズ最新作、「おさるのもり」を立ち読みしてきました。相変わらず僕の大好きな世界が広がっていました。

おさるのどこが好き? と聞かれれば、まあ、黙って本を見てくださいと答えます。もしかすると、長くこのサイトをご覧の方には、なるほどこういうの好きそう、と思ってくれる人もいるかもしれません。

このシリーズは小学校低学年あたりをターゲットにした幼年童話と言われるジャンルの本で、ページごとにイラストが載っていて、それに短い文章がついて物語が進んでいくのですが、絵本よりもページ数があります。

僕は、子供の本の案内人こと赤木かん子さんの著作で紹介されているのを見て、はじめて「おさるのまいにち」を手に取ったんですが、その時は、今まで漠然と思っていた「こういう感じが好き」ってやつが、突如形になって目の前に現れたみたいな感覚で、衝撃でした。

とにかく、ストーリー、イラスト、そしてキャラクターも、全部大好きなのです。そんなにはまっちゃうなんて、いい年して、おかしいかも。


おさるになりたい

森に住むたくさんのおさるたち。だけどおさるたちは、みんな同じ顔に見えます。主人公のおさるも、他のおさるも同じで楽しそうな顔です。でもおさるたちは、自分と他のおさるたちは違うんだということを、ちゃんと知っていそうです。

主人公の子供のおさるは、たまに、いろんなことを考えます。その姿を哲学的だと、むりやり呼んでしまうこともできるかも知れません。だけどそこで考えたことって、やっぱり、あくまでおさるが日常ふと思った他愛もないことなのです。

そんなおさるたちの暮らしは、いつもと変わらない日常の連続で続いていきます。

僕は、おさるになりたいのかもしれません。


近くにいられる

「おさる」シリーズのイラストは、絵の具で塗っているページと、色鉛筆で塗っているページ、それにモノクロのページがあります。いつも見とれてしまいます。でもそれは、アートなんて呼び方は似合わなくて、もっともっと、すごく身近で親しみやすい、日常に転がっている、と言っても怒られないくらいの、誰の手にも届くくらいの近さです。僕はいとうさんのイラストのこういう”近さ”が大好きなのです。

また、更に近くにいられるのが子供たちです。


うそ子供になる

いとうさんの作品は、ただただ純粋に子供を楽しませることだけを考えて作られているんだそうです。子供向けの本なんだから、まあ当たり前といえばそうです。

ただ、僕はどうやら子供じゃないようなのでした。いつの間にか世間では大人と言われる歳になっちゃってます。まあそれはしょうがないことなので、本当は大人は大人としての距離を持って作品に触れればいいんだと思います。 そうなんだけど、僕の場合はこういう時、子供になってしまうのです。

子供と言っても本当の子供ではないので、うそ子供です。うそ子供とはどういう状態か、というのはちょっと自分でもよく分からないので説明が難しいのですが、大人の視点を忘れて物語の主人公(子供)に妙に感情移入してしまうような、そんな状態です。

そんなうそ子供状態になることに、僕自身もちょっとどうかという気はしています。どこか、逃避的な気がするからです。本当はやめた方がいいのかもしれません。でも、それが自然なんだったら、別にそれはそれでいいような気も少しします。


おさるな日常

なんだか作品とは関係のないややこしい話になって参りました。でも、僕がこの本を読んで感じたことは、そんなことをあれこれ考えるのもいいけど、バナナを食べて、毛づくろいをして、木の上からおしっこをしたりするような、いつもの日常、普段のまいにちを過ごせること。これがいちばんいいことだな、と言うことなのかもしれません。

そんな僕の今の夢は、おさるシリーズの本を全巻そろえて並べてみることです。

おしまい。



おまけ:いとうひろしさん著作リスト

通販サイトへのリンクつきで、いとうひろしさん(漢字では伊東寛さんと書きます)の著作をざっとご紹介です。日付は発売日(再販されている本は再販日になってるものもあります)、リンクはamazonの商品ページです。

まずは幼年童話から。
おさるのもり…2003.7.25、講談社。先月出たばかりの最新作です。
おさるのはまべ…1999.7.20
おさるのおうさま…1997.2.10
おさるになるひ…1994.1.20
おさるがおよぐ…1992.8.20
おさるはおさる…1991.12.10
おさるのまいにち…1991.5.20

ふたりでまいご…2002.2、徳間書店
マンホールからこんにちは…2002.1、徳間書店
アイスクリームでかんぱい…2002.1、徳間書店
びっくりテレビはきょうもニュース…2000.11、偕成社…これ、ちらっと読んだことあるけど、レベルが高すぎて僕にはさっぱりでした。
にぎやかなおけいこ…1999.4、徳間書店
そこなしもりのまんなかで…1998.1、理論社
モニカさんのハーモニカ…1997.7、あかね書房
なにしてあそぼう ちゃんとりん…1997.5、偕成社
だいじょうぶだいじょうぶ…1995.10、講談社
タイヤがゴロゴロ…1994.10、絵本館
つんたあそびのはじまり…1993.11、講談社
さんにんサンタ…1992.11、絵本館
みんなが おしゃべり はじめるぞ…1987.5、童心社

こちらは絵だけを担当したオバケちゃんシリーズ。文は松谷みよ子さん。他にも絵だけを担当されている本はあるんだけど、ここではこのシリーズだけ紹介。
オバケちゃんとはしるおばあさん…2001.5.15、講談社
学校おばけのおひっこし…1994.5.24
オバケちゃん学校へいく…1993.3.10
オバケちゃんアカオニにあう…1992.11.25
オバケちゃんといそがしおばさん…1992.3.20
オバケちゃんとむわむわむう…1991.6.25
オバケちゃんねこによろしく…1991.4.20
オバケちゃんとおこりんぼママ…1991.10.28
オバケちゃん…1991.2.20

ここから絵本です。というか、amazonの単行本、大型本って言う表記で分けてるだけだから間違ってるかも。
↓こちらはポプラ社の「いとうひろしの本」シリーズ。
どろんこどろちゃん…2003.7、ポプラ社
ルラルさんのじてんしゃ…2002.5
ルラルさんのごちそう…2001.9
ルラルさんのバイオリン…2001.9
ルラルさんのにわ…2001.9
だいかいじゅうオニイタイジ…2001.2
はじめはりんごのみがいっこ…1999.10
くもくん…1998.10

あかちゃんのおさんぽ(2)…2003.6.19、徳間書店
あかちゃんのおさんぽ(1)…2003.5

えほん・はじめのいっぽ(4)おててはぴかぴか…2002.10、講談社
えほん・はじめのいっぽ(3)すぷーんをもてば…2002.10
えほん・はじめのいっぽ〈2〉すこしはきれいに…2000.4
えほん・はじめのいっぽ〈1〉ぱんつもいいな…2000.4

レーザーこうせんじゅうビービー…1998.7、童心社
これあのあれ…1995.12、小学館
トンカチぼうや…1994.10、クレヨンハウス
すなばのだいぼうけん…1993.6、ポプラ社
ぞうのみずあそび…1992.7、絵本館
へびくんのおさんぽ…1992.5、鈴木出版
ニニロのおとしもの…1991.10、教育画劇
こだぬきタベタ…1989.11、岩崎書店



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