| ●やなせたかし脚本＆出演のミュージカル「白雪姫と人魚王子」レポ 人生なんて 夢だけど 夢の中にも 夢がある ノスタル爺さん ノスタルジー 出掛ける前にふと思い立ち、iPod miniにやなせたかしデビューアルバム「ノスタル爺さん」の楽曲を転送。吉祥寺のライヴハウス、スター ・パインズ・カフェで開催されるやなせたかし脚本・演出・出演のミュージカル「白雪姫と人魚王子」を見に行きました。 やなせさんと言えば「アンパンマン」の作者としてお馴染みですが、最近はなんだか歌も歌っている…ということはご存知の人も多いとは思います。で、その歌うきっかけとなったのがこのミュージカルシリーズなんですよね。大和田りつこさんと岡崎裕美さんという2人の歌手のステージ用にと、タダで脚本を依頼され、お人よしにも引き受けたのが事の始まりで、でも2人だから場面展開・衣装チェンジの時に空白ができてしまい、それならということでその間に自分が出てきて歌うことにした（！）んだそうなんです。しかもただ歌うだけじゃなくて、自分で作詞、作曲までしてしまったところがやなせさんのすごいところで、作詞はこれまでにも名曲「手のひらを太陽に」でも知られていますが、作曲は何もやったことなかったのにいきなりやっちゃったそうなんですよね。すごいです。ちなみに作曲者名のクレジットだけ本業と区別するためにミッシェル・カマという謎の変名を編み出して使用していてこれもすごいです。 そんなやなせさんの歌う姿を、1度生で見てみたい…と思ったのが足を運ぶきっかけだったのですが、実は見に行くのって4月に開催された「赤ヅキンちゃんと狼男」に続き2度目なんですよね。前回、あんまりすごかったので、もう1回見に行っちゃったのでした。テレビなどでやなせさんの歌う姿だけ見てたら、てっきりお遊びでやってるのかな、なんて思いがちなんですが、違うんですよね。まず歌う姿は恐ろしいほどの元気っぷりだし、脚本も構成もすごく凝っててもう本気なんですよ。誰でも知ってる童話を題材にしながらも、それを根本からひねくり回して全然違う話にしてしまい、更にその上からこれでもかと言わんばかりに、ナンセンスユーモア炸裂のやなせワールドをちりばめて、子供からお年寄りまで同時に笑わせてしまう。こんなの絶対にやなせさんにしか作れないわと脱帽ですよ。 ストーリーは劇中劇になっているんですね。2人の歌手がやなせさん脚本の劇を演じているという構成で、その劇が本編になっています。これについては、「劇だから」を理由に無茶できるのでそういう構成なのかも、と考えることができるのですが、劇に入る前のやなせさんには、なぜか歌手の一人を付け狙うストーカーでもあるという設定があり、これはなんでそうなっているのかは僕には 毎回謎です。「ある時はストーカー、ある時は殺し屋、ある時は脚本を書く」という謳い文句（？）が言いたいからなのかな。 今回の本編は、白雪姫と、人魚姫ならぬ人魚王子が恋に堕ちてしまうというストーリー。ところが、グリム童話とアンデルセン童話という別々の世界を超えてのタブーな恋により、2人は殺し屋に狙われることにな ってしまい、それから行方不明になったり記憶喪失になったりしつつ、恋の行方はいかに？ というおはなしで、やなせさんが演じる殺し屋が場面場面で出てきて、歌ったり、おもしろトーク（？）を繰り広げるんだけど、今回は別の女殺し屋に打たれて海に落ちるシーンまであってびっくりしました。その後自分は作者だからと宣言して台本を書き変えて生き返るんですが、海から上がるとなぜか上半身がほぼ裸という体を張った演出に2度びっくりしたり。あと人魚王子が記憶喪失になるシーンでは冬のソナタの曲が流れておばさん達が大ウケでした。 さすがです。 ちなみに会場はほとんど招待客で埋まっていて、しかもそのほとんどは中高年なみなさん。10代、20代あたりの人の姿なんて皆無という状況は、まるで、知らない家族のパーティーに紛れ込んでしまったかのような場違い度なんだけど、そんな異空間っぷりも逆に楽し かったりもします。でもいちばん高齢なのが舞台の上のやなせさんと言うのが冷静に考えてやっぱりすご過ぎです。 今日もやってるので、興味を持った人はぜひ行ってみてください。こんなおもしろいもの、一部の人達だけのものにしておくのもったいないですよ。あの会場でホームページ持ってる人って少なそうなので、このレポートはかなり貴重だと思います。ははは。  ↑劇中はVTR＆写真撮影OKということで1枚撮ってみましたがボケてました。フィナーレです。  ↑これは太っ腹にも全員に配られるおみやげ。前回は高知県なはりのしょうが飴1パックを頂きましたが、今回はクリスマスにちなんでたくさん。やなせさんがキャラクターデザインを手掛けた仙台の北上京だんご本舗のずんだもちとおかねもち（ずんだもちのキャラにはずんだともちこという名前と歌までありますが、おかねもちには何も表記がありませんでした）、同じくやなせさんが手掛けた法務省の人権イメージキャラクター、人KENあゆみちゃんのマスコット、それからやなせさんのイラストが施されたバンダナ。ずんだもちってはじめて食べたけどすごくおいしかった ー！ →アンパンマンショップ…やなせさんの公式的なサイトでもあります。過去のミュージカルについてはこちらに情報が掲載されています。 ◇#347 [雑誌]MOE12月号、アンパンマン特集（2003.12.5） |