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どんぐりメモ 2002.6


#51 チョナン・カンと草なぎ剛

2002.6.27

あ、あれ、いきなり予告と違うやん。まあいいか…。
SMAPの草なぎ剛扮するチョナン・カンがCDを発売したということで、最近テレビでよく見るわけですけど、なんか、おもしろそうなことを決まり文句のように言ってるんですね。

「あの、まず最初に言っておきたいのは、チョナン・カンと草なぎ剛は同一人物だってことなんですよ。そもそもチョナン・カンって草なぎ剛を韓国読みにしただけなんです。それで、(香取)慎吾は、慎吾ママと慎吾は別人だってやってますけど、僕にはそういうキャラクターを分けて演じるっていうのが、うまくできないんですよね。だから、「チョナン・カンさんから見て草なぎ剛さんってどういう人ですか」なんて質問をされても、答えようがないんで、そこのところをご理解いただきたいなと」
だいたいこんな感じだったと思うんですけど、これって一見草なぎ剛が、「自分は香取慎吾よりも不器用だ」って宣言してるだけのようにも取れるんだけど、ひょっとするとそれだけではないような気がしてきました。

まず、チョナン・カンと草なぎ剛は別人と設定して、キャラクターを演じ分けたても、結局は同じSMAPの慎吾ママの二番煎じに見られちゃうわけです。
それを、あえてこういう説明をすることで回避していると。
しかも、こういう弁明をすることで、「いつもいっぱいいっぱいで不器用だけど、一生懸命やってる」っていう草なぎ剛のキャラクターが一層引き立って見えるんですね。
「チョナン・カン」というキャラクターを否定しているようでいて、実は、その元となる「草なぎ剛」というキャラクターをより強固なものにしているとも言えるわけです。
それで、気を抜いてると、いつの間にか応援したくなっちゃいそうな、そんな感じがしてくるんですね。
ひょっとすると、これが草なぎ剛の魔法なのかもしれませんよ(なんとも地味な魔法ですが(^^;))。
でも、どっからどう見ても一般人な気がする草なぎ剛が、トップアイドルという場違いな場所にいるのは、こういう魔法のおかげなのかもしれません(^^;)。

で、そんな魔法もあってか(?)、チョナン・カンの全編韓国語詞のデビューシングル「愛の唄〜チョンマル サランヘヨ〜」が6/25付のオリコンデイリーシングルチャートの3位に堂々ランクインしてますよ〜。スゴイ!
僕はてっきりよくて18位くらいかと思っていたんですが、魔法の力を見くびってました。
でもあの歌って、聞いててなんか苦しくなりませんか?
僕だけなのかなぁ。

ところで、この歌、来月には韓国でも発売されるそうですね。
ぜんぜん詳しくはないんだけど、韓国の音楽シーンって日本よりも実力重視っぽいイメージがあるのですが、果たして草なぎ剛ことチョナン・カンの魔法は海を越えて通用するんでしょうか…?

チョナン・カン(公式サイト)…元々はフジテレビの深夜番組なんですよね。
「チョナン・カン」がつんく♂のプロデュースで日韓CDデビュー(サンケイスポーツ 2002.6.12)
愛の唄〜チョンマル サランヘヨ〜/チョナン・カン(amazon)


#50 ぴちょんくん、ついにCDデビュー

2002.6.20

このメモを始めてかれこれ半年になりますが、なんと今回で50回目になりました。
いい加減飽きてもよさそうなんですけどね。

ダイキンエアコンのCMでおなじみの「ぴちょんくん」が、ついにCDデビューするそうです。
曲はもちろんCMでもおなじみのあの曲です。
タイトルはまんま「も〜ど〜にでもして〜」というそうです。
うーん、こういう感じでキャラクターがCDを発売するのは久しぶりな気がするので、オリコンTOP100には入るのか? とか、興味津々ですよ。

ところで、ぴちょんくんってけっこう人気者なのに、僕のサイトでまともに取り上げるのは、これが初めてなんですよ。
自分でも意外です。
というわけで、ぴちょんくんのプロフィールもご紹介してみましょう。

ダイキンCM紹介サイトのプロフィールによると、生年月日は「地球に水が生まれた日」とのこと。
これはぴちょんくんが水だからですね(^^)。
でもそうなると、ぴちょんくんってあんなかわいい顔してホントは何十億歳(!?)にもなるんでしょうか。
なかなか珍しいプロフィールですよ、これは。
あと、「しっけ」と呼ばれるのは嫌いだそうですよ。
ぴちょんくんは事実として湿気のキャラクターだと思うのですが、やっぱり嫌がられる存在として呼ばれるのはイヤみたいですね。
ピカチュウが「でんきねずみ」って呼ばれるのをイヤがるのと同じ感じでしょうか。
とにかく、ぴちょんくんのことはちゃんと「ぴちょんくん」と呼んであげることにしましょう。
湿気の多い日なんかに、「あー、今日はぴちょんくんが多いなぁ」なんていう風に日常会話でも使ってみると、ちょっと気が抜けていい感じになるかもしれません。
でも、あまり親しくない人の前でそんなこと言うと、間違いなくちょっとおかしい人だと思われそうですけどね(^^;)。

ダイキン…ぴちょんくんのプロフィール、CM情報、着メロダウンロード情報などがあります。現在、「ぴちょんくん大活躍キャンペーン」が実施されていて、なんと応募者全員にタダでぴちょんくんの絵本とシールがプレゼントされます。なんか、サービスよすぎて怖いのですが、応募しても大丈夫です…よね?
ぴちょんくん…CD発売元、ユニバーサルミュージックのサイト。視聴の他、壁紙ダウンロードも。
[CD]も〜ど〜にでもして〜/ぴちょんくん(amazon購入)…CDの発売日は6/26です。


#49 フジテレビに行ってきた

2002.6.18

去年の夏に放送された、フジテレビ「27時間テレビ」のメインイベントで、「系列局対抗キャラクター相撲」というのがあったのですが、この大会で見事優勝した、僕の地元のテレビ局のキャラクター「ビビット君」のマスコットの像が、今もフジテレビに飾られていることを、先日TOPICSを書いてて思い出した僕は、さっそくフジテレビに見に行くことにしました。
って、なんかむちゃくちゃ思いつきで行動しているみたいに聞こえますが、ま、当たっているのであまり反論もできません。
「きっかけは、フジテレビ」ってことで(^^)。

というわけで、初お台場、初ゆりかもめですよ。
でも実はその昔、修学旅行で「船の科学館」には寄ったことがあるので正確には2回目とも言えなくもないのですが、当時はあのあたりって何もなかったですからね。やっぱり初めてと言った方が正しいです。

ゆりかもめは、なんだかえらくハイテクな感じの乗り物で、(今更ですが)「おお〜」と思いました。
曇ってたので見晴らしはあまりよくなかったけどね。
また晴れた日に乗ってみたいものです。

そんで、お台場駅を降りると、もうすぐそばにフジテレビがあると言うわけです。
思ってたよりもすごく大きな建物で、僕は西側の大階段のある方から入りました。
エスカレーターで7階に着くと、何やら係の方がメガホンで叫んでます。
「本日、球体展望台は無料解放になっております。こちらの列にお並びくださーい」
とのこと。そうか、今日は無料なのかー。
でも「得した!」っていうよりも、「いつもはお金取ってるのかー」という気持ちの方が大きかったり(普段は大人500円だって)。
なんでも、サッカーで日本が決勝トーナメントに進出した記念に無料なんだそうです。
僕もホームページでお祝いした甲斐がありましたよ、こうして得することができたんですから。
でもこの後気づくんだけど、フジはトーナメント進出を祝うと言うよりも、先日の対ロシア戦で歴代2位、フジテレビ内では歴代1位の視聴率を出したことを喜んでいる、というのがホントのところのようでした。
しかも、久しぶりに週刊視聴率の三冠王にもなったらしいし。
そりゃあ、嬉しいだろうねぇと思った後で、そういや僕はあの時、裏番組の日テレの衝撃映像特番見てたんだっけ、と気づいて、1人気まずい思いに刈られてしまいました(^^;)。

そんなわけで、無料で展望台にやってきてしまった僕は、そこでスタンプラリーと言うのを目にします。
どうも、フジテレビの一般解放施設内にあるスタンプを6個全部集めると、プレゼントがもらえるらしいのです。
これはもらっといて損はないなと、スタンプを集めることにしました。
よって、必然的にフジテレビの見学コースをひととおり見ることになるのですが、これがけっこう楽しかったです。
いろんな番組のセットや、小道具、エピソードなんかが見られて。
「笑っていいとも!」のテレホンショッキングで1週間素人のゲストが続いたことがあるって、本当だったんだ〜! とか、今は終わっちゃった「サタ★スマ」の例のいすが見られたり(どうせならサタッペとスマッペの着ぐるみも見たかったなぁ)。
あと、「HEY!HEY!HEY!」のコーナーに、あの広島名物「レインボー食品」のおみやげがたくさん展示されていて爆笑でした。

続いて行ったグッズ売り場もいろいろと面白かったです。
まず、グッズ売り場の入口付近に、サザエさん一家の家系図が貼られていたんですが、その前には常に数人の人だかりができているんですね。
みんなサザエさんには興味ありってことでしょうか。さすが国民的アニメです。
「磯野家の謎」って今また装丁変えて売り出したらまた売れるんじゃないか? なんて思ったりしました。
と言う僕も、磯野家とノリスケさん家とのつながりとか、はっきりと認識できてなかったので、なるほど〜、と思ったんですけどね。
(ちなみにノリスケは波平の妹の息子。家系図は「帰ってきた!長谷川町子研究会」などのファンサイトでも見られます)

で、中に入ると、もうそれはそれは、ありとあらゆるフジテレビの番組関連グッズの山! そしてレジには行列! すごい売れ行きでした。
「HEY!HEY!HEY!」や「笑う犬」、「めちゃイケ!」、「キャイ〜ン」、「慎吾ママ」なんかの定番バラエティー番組のグッズから、「くず」のグッズや、「ごきげんよう」、「バボちゃん」のシールや、「すぽると!」の「すぽりん」、「ウエディングプランナー」のキャラクターのぬいぐるみなんかもありました。
BS−FUJIのなんとかっていうキャラのグッズもあったけど、名前忘れちゃいました(^^;)。

で、グッズはこれだけかと思ったら、少し離れたところにまだ売り場があって、そこでは「サザエさん」、「ワンピース」、「こち亀」、「ゲゲゲの鬼太郎」、「アークエファミリー」などのアニメキャラを中心としたグッズがたくさん売られてました。
ここで個人的に注目だったのが「とくダネ!」の血液型占いのキャラクターグッズ!
「O型のクマ」ファンの僕は、かなり心が揺れてしまいましたよ〜(けど買わなかったけど)。
他にも「めざましテレビ」でおなじみの「トロ」のグッズや、「うみにん」の変形バージョンの「ふじにん」グッズ、「ストレイシープ」のグッズもたくさんありました。

「ストレイシープ」は、どのくらいだったかな、10畳くらいのスペースを使って原画などの展示スペースがグッズ売り場の横にあったんだけど、微妙に入口が分かりにくくて、しかもちょっと薄暗いしで、僕が行った時には他に誰もいませんでした。
しかもたまに誰か入ってきたかと思ったら、すぐに出て行ってしまうし。
しょうがないので、僕だけでもちゃんと見ようと思って、しっかり見てきました。
このコーナーでは、アニメのビデオが上映されていて、壁には原画が数点飾られているという内容で、本当に小さな〜といった感じです。
(今ネットで調べてみたところ、これってどうも昔やった展覧会の内容の規模を縮小して常設しているもののようですね)
でも、この原画がけっこうびっくりしました。
アニメのセル用の原画も色鉛筆で描かれているっていうのが。
そうやって丁寧に描いたイラストにコンピューター処理を施して、独特の世界ができあがるそうです。
「ストレイシープ」ってそんな手間のかかることをやっていたんですねぇ。
まあ、これは僕が知らなかっただけっぽいけどね。

まあそんなわけで、結局僕は見るだけ見て、何も買わずにグッズ売り場を後にして、その後、スタンプをためてフジテレビのマスコットキャラクター、ラフ君のポケットティッシュとティッシュケース(こちら)をもらって帰ってきたのでした。
振り返ってみると、サッカー見ないで裏番組見ておきながら、展望台は無料で入り、何も買わずにプレゼントだけはちゃっかり貰うと言う、なんだか2度と来んなっていうような客ですね。
ははは…。

って、まだ終わっちゃダメですよ。
今回の文章、長かったのでみんな忘れていると思うけど、僕がフジテレビに来た目的は「ビビットくん」の像を見ることですよ。
実はこれがねー、見れなかったんですよ。
いろいろ探してみたんだけど、なくて…。
受付の人に聞いてみようかなとも思ったんだけど、「なんですかそれ?」とか言われそうな気がするし、実のところそれほど見たいというほどでもなかったので、いいやって帰ってしまいました。
なんのこっちゃ。

フジテレビ…本文中では書き忘れましたが、サッカー記念でラフ君グッズが半額っていうキャンペーンもやってました。グッズについては、ここのページを見た方が早かったですね。後で気づく罠。
テレビ愛媛…トップページを見てのとおり、ビビットくんはキャラクターと言うよりもシンボルマーク的な存在だったのですが、キャラ相撲のため無理矢理胴体をつけられた着ぐるみが作製され、しかもそれが優勝しちゃったもんだから、今では胴体つきの方が有名になってしまいました。このページの左下にも胴体つきのビビットくんが。ちなみに中に入っていたのはこんな方。僕が見たかった(と言うほどでもなかった)ビビット君の像はこんなものです(←アナウンサーの方のHPより)。


#48 森チャックな出会い…?

2002.6.9

えーっと、今僕は東京に来ているんですけれども、思いっきりいなか者な視点で言うと、東京なんて言うと芸能人をばったり目撃したりなんかして? なんて思うわけですけど、もちろんそんな簡単に芸能人に会えるわけがありません。
まあ、もし会えたとしてもエスパー伊東とかそういう感じでしょう(でも僕はエスパー伊東だって見れたら嬉しいけどね)。
なーんて、思っていたんですが、ななんと、先日ホントにばったり芸能人を目撃してしまったんですよ〜。
しかもエスパーどころか超有名俳優、妻夫木聡ですよ。いやー、びっくりとはこのことです。

そんな感じで、東京では時折いなかではありえないことに遭遇するわけですけど、先日は本屋でこんなことがありました。
あ、その前に、東京は本屋もおもしろいですね。
本の並べ方が店によって全然違うんですね。
ただ並べましたっていう感じじゃなくて、並びからお店の人の意図を感じるっていうか。
だから本の並びだけを見ててもけっこう面白かったりします。

えー、さて本題ですけど、この前いつもよく行く本屋で何か面白そうな本はないかなーって、店内をうろちょろしてたんですよね。
するとイラストレーター、森チャックさんの「森チャック スパルタマッサージ」を発見したんですよ。
以前左ページのTOPICSでも紹介したけど、まだ読んだことなかったのでさっそく立ち読みを始めました。
そうかー、グル〜ミ〜はピティーくんの飼い熊なのかー、なんて思いながらページをめくっていたんだけど、まだ立ち読みを始めてから数分も経たないうちに、遠くの方から男女2人組のペアがこちらに向かって歩いてきました。
2人は僕のそばまで来ると、男の人が「イラストレーターの本ならこのあたりになるんですけど」と言いました。
どうやら、この2人は店員さんとお客さんのようで、探している本が見つからないから店員さんに探してもらってるようでした。
僕は(あ、ひょっとして、邪魔かなぁ)なんて心の中で思ってたんだけど、まあいいかと思ってそのまま立ち読みを続けてました。
すると、別に聞き耳を立てていたわけではないのですが、その後の店員とお客の会話が聞こえてきました。
店員「いつ頃出た本なんですか?」
お客「5月20日頃に出た本なんですよ…」
僕の心の声(そういや、この本もその頃発売されたんだったっけ)
店員「どんなイラストレーターなんですか?」
お客「えっと、なんか326みたいな感じなんですけど…」
僕(326みたい…(^^;)。そういえば森チャックさんも326みたいに路上でイラスト売ってたけど。でも、ま、まさかね…)

このとき僕は、森チャックさんは今人気だけど、分単位で本が売れてるわけじゃないと思うし、まさかとは思うけど、そんな偶然あるわけないよなと思っていたんですが。

店員「(そのイラストレーターの)名前分かりますか」
お客「あ、森チャックっていうんですけど…」
僕(キ、キタ━━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━━ !!!!!)

「キター」ってこういう時に使うんだなって、身をもって知りました(^^;)。
普段から、あまり余計なことに首を突っ込まないようにしている僕もさすがに「あの、その本ってこれじゃないですか?」って、表紙を見せると、「あ、それですー」ってことになって、一件落着したのでした。
でも、その後何か話し掛けられた(気がする)のに、僕はというと、なんだか急に恥ずかしくなってきてしまい、うわの空状態になっちゃったのでした。
気がついたら、さっきの人も、店員さんも、誰もいなくなってました。
ア、アレ………?

チャックノチャックス(公式サイト)…というわけで森チャックグッズはバカ売れ中のようです。


#47 石坂浩二と水戸黄門

2002.6.5

石坂浩二が「水戸黄門」を降板したそうです。
”石坂水戸黄門”は、以前からその賛否がいろいろ言われていたようですが、「病気」という思わぬ展開でその終止符を打った、というわけですね。

石坂浩二は入院する直前に開催したファン向けのサイン会イベント会場で、「水戸黄門より(裏番組の)阪神戦を見てくれた方が嬉しい」なんていう、謎の発言をしていたそうです。
結局、石坂水戸黄門とは、なんだったのでしょうか…。

時代劇「水戸黄門」は、「笑点」と並んで”マンネリの代名詞”的存在の長寿テレビ番組です。
しかし、印籠を出して解決するという、その分かり易いストーリーの流れが人気の秘訣だったわけです。
また、「黄門さま」をはじめ、助さん、角さん、うっかり八兵衛など、いつまでも変わらぬキャラクターたちも、大きく人気に貢献していたと言えるでしょう。
でも、時代の流れとともに、人の趣向もちょっとずつ変わってきたりしますし、役者さんだって、生身の人間ですから、いつかは新しいキャストと交代しないといけません。
そこで制作スタッフは、中途半端に変更するよりも大胆にリニューアルすることで、永遠のマンネリ番組に新しい風を呼び込み、それによりもう一度「水戸黄門」に世間の注目を集めようと考えたのではないでしょうか。
石坂浩二は、若さ、知名度、どこを取っても、”新しい風”として十分すぎる存在だったのです。

しかし、ここでひとつの軋轢が生じます。
石坂浩二は、「せっかく自分がやるんだったら、史実に忠実な水戸黄門をやりたい」と言い出すのです。
これには制作スタッフもあわてたのではないでしょうか。
だって、時代劇の「水戸黄門」って、ちっとも史実になんて沿った話じゃないんですから。
だけど石坂の他には、”新しい風”として十分な人物などいません。
だったら、その”史実に忠実な水戸黄門”とやらも、話題のひとつにしてやればいいとでも思ったのでしょうか。
新しく始まった石坂「水戸黄門」のキャッチフレーズは「今度の黄門さまはおヒゲがない」という感じのものでした。
もちろんこれは、石坂が提案した”史実に忠実な水戸黄門”の姿なのでした。
石坂の改革は、これまでの時代劇「水戸黄門」では常識だった部分にまで及びます。
終盤に登場するのが当たり前だった、番組の肝とも言える印籠のシーンを、毎回は出さなくしたのでした。

当初は、この大胆な改革は狙いどおり話題になりました。
しかし、徐々に「やっぱり黄門様はおヒゲがあった方がいい」なんて声が大きくなっていったようです。
やはり視聴者は、そこまでの改革は望んでなかったんでしょうね。

途中から、黄門さまのおヒゲは復活することになります。

初めて、石坂が折れたことを認めてしまった瞬間です。
この妥協は、世間の黄門さまのイメージを、少しでも史実に近づけようとしていた石坂の敗北を意味していました。
石坂の想像を越えて、「おヒゲと印籠の黄門さま」というイメージは、1つのキャラクターとして、もう変えようもない程に定着してしまっていたのです。

じゃあなぜ石坂は、そこまで頑なに、もう定着してしまっていた水戸黄門のイメージを変えなくてはならなかったのでしょうか。
実はこれにも理由があります。
石坂浩二と言えば、「薀蓄(うんちく)の石坂」と言われるように、あらゆるジャンルのミニ知識を、会話の隙間に披露することで知られています。
また、特に故事・歴史に関する薀蓄には並々ならぬこだわりがあったようです。
そんな中で、史実をまったく反映していない時代劇を演じるということは、これまでの「石坂浩二」というキャラクターを否定してしまうことにも繋がりかねないのです。

つまりこれは、従来の劇上での「水戸黄門」という架空のキャラクターと、「石坂浩二」という生身のキャラクターとの戦いだったのです!
しかしこの戦いは、「石坂の病気による降板」という形で、決着を見ぬまま収束してしまうことになりました。

おそらく、しばらくすると何事もなかったかのように、新しい主役による「おヒゲと印籠の黄門さま」が始まるのではないかと思います。
そして、長い「水戸黄門」の歴史を振り返ったときに、石坂「水戸黄門」に対して、「あれはなんだったんだろう」、「謎のヒゲなし黄門さま」なんて囁かれるようなことがあるのかもしれません。
しかし僕は、その影で、2つの名キャラクターに挟まれ起こるべくして起こった、知られざる葛藤のストーリーがあったということを、忘れることはないでしょう。

石坂浩二さんが芸能界へ早期に復帰されることを、こっそり見守っています。

石坂浩二、4代目「黄門」降板決定(日刊スポーツ 2002.6.4)
石坂浩二、直腸がんを告白!−腫瘍摘出(ZAKZAK 2002.5.23)
石坂浩二入院で「水戸黄門」休養(スポーツ報知 2002.5.15)
石坂浩二貧血ダウン(スポーツ報知 2002.5.10)

水戸黄門(公式サイト)
石坂浩二苑(ファンサイト)


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