60.「あたしンち」のシュール 2001.7.5


 「あたしンち」っておもしろいですよね。だけど、人にうまくそのおもしろさを説明しろと言われたらどうでしょう。そんなことについて考えてみたコラムです。


究極の家族ネタ

僕のサイトにはふいに家族の話がでてくることがよくあるんですが、それはひとえにばかばかしくてネタにしやすいからであります。

そしてそんな家族ネタの最高峰として、思わず尊敬の眼差しで見てしまうのが、けらえいこさんの「あたしンち」という漫画です。

この漫画は読売新聞の日曜日に連載されているんですよね。読売って僕の中ではけっこうイメージ悪いんですが、この漫画のおかげでかなりイメージ回復しているくらいおもしろいんですよ(^^;)。でも、このおもしろさを人に説明しようとすると、うまくできないんですよね。

なんでだろうってことから今回は考えてみました。


ただのファミリー漫画じゃない!

まず、どんな作品なのか説明してみると、マンションに住む4人家族のおはなしで、主に高校生の「みかん」っていう女の子の視点から、母親、及び自分を含む周辺の人たちの日常を綴っている…こんな説明になっちゃいます。

これだと、ごくふつーのファミリー漫画なわけで、全然おもしろさが伝わらないですよね。でも僕の第一印象は確かにこんな感じでした。ふつーのファミリー漫画なんだろうな、っていう。

あ、でも見た目でひとつ変わっているところがありますね。あのお母さんです(^^)。お母さんのキャラクターデザインはすごいですよね〜。他の登場人物は普通にかわいくデフォルメされた2頭身のキャラなのに、母だけは頭身がどうこう言う以前に、どこから頭でどこから体なのかすらわからない体形なんですよ。もはや人間とは別の動物に見えます。

ついでにこの母の性格も説明しますと、自分だけに通用する理屈で動くタイプなんですよね。世の中にいる「おばさん」の、くせのある部分を強調させたようなキャラ。「こんなおばさんいそうだよなー」という気分になります。

ただ、他にも読んでて「こんな人いそう」だとか、「あるある」って共感してしまうような漫画ってたくさんありますが、そういった作品とは何か違う気がするんですよね。おもしろさの種類が。今度はこのへんの違いについて考えてみることにしました。


説明できないシュールな現実

まず思ったのが、「あたしンち」には”よくありがちな話”って意外とない気がするんですよね。特に具体的なエピソードって、マニアックというかシュールというか、突飛なはなしが多い気がするんです。そして、共感よりも先にその突飛さに笑っちゃう。

でも、そんなシュールなはなしなのに、不思議なことにニュアンスはしっかりと伝わってくるんですよね。それどころか、リアルさすら感じます。

なんでだろうって思ったのですが、これってもしかして、”現実ってシュールなもの”だからなのかもしれません。

現実の日常生活って当たり前のように見えて、よくある漫画のようにお約束なことばかりは起こらないものです。そういう普通の漫画ではネタにしづらい、非日常的な日常風景すらもネタとして昇華させてしまった。それが「あたしンち」の他にはない凄さであり、口や文章でそのおもしろさを説明しづらい理由なのかもしれません。



……と、一応まとめてみたつもりですが、全然まとまってなかったでしょうか(^^;)。やっぱりピントずれてますか。あ〜、所詮僕にはこの漫画のおもしろさを文章で説明するなんてこと、無理だったようです。こんなことなら最初から「読んだことない人は、とにかく読んでみて!」とだけ書いておけばよかったですね。とほほ。




キャラクターから見る「あたしンち」

ここからはおまけコラムです。まずはキャラ紹介なわけですが、「あたしンち」のキャラって細かな設定が行き届いてるんですよね。本当にリアル。隣町にでも住んでいるんじゃないかっていう感じです。

この漫画のリアル感には、こういったキャラクター設定がかなり重要なポイントになっている気がします。細部に至るまでの行動が、それぞれのキャラクターなりに筋が通っているんですよね。だから笑えるのかも。


お母さん
…「オバサン」という競技があればの間違いなく優勝できそうな人物。とりあえず、見た目がすごいです。なんでこんなキャラデザインになっちゃったんでしょうか。人間離れした図太い性格を、人間離れした見た目で表しているんでしょうか(^^;)。でもこの人、悪い人ではないんだよね。ちゃめっ気のあるかわいいおばさん、なんて言ったらちょっと誉めすぎ?

お父さん
…寡黙な父。面倒なことが嫌いです。お母さんに気を取られてあまり気づかなかったけど、このキャラもけっこう変わってます。耳の位置が動物みたい。

みかん
…高校生の女の子。いつもお母さんに振り回されています。同じクラスの岩木君のことが好きなんだけど、この岩木君がいかにもなかっこいい系じゃなく、素朴な感じなのもなんかリアルなんですよね〜。みかんはそういう人好きそう、って思っちゃうんですよ(^^)。

ユズヒコ
…クールなようでどこか抜けてるようでもあり、お調子者のようでもある反抗期とは無縁(?)の中学生の弟。ユズの言動にはツボにはまることが多いので、個人的にはもっと登場してほしいです。


LINK&作品紹介&追記(2002/4/4追加)

★LINK★
けらけらかしこ…ファンサイトです。けらさんから定期的にメッセージが届くコーナーがあったりします。すごいです。

★作品紹介★
「あたしンち」はこれまでに6巻が発売されていて、この(2001年)7月13日に最新作の7巻が発売されるそうです。

作者は「けらえいこ」さんで、他にも「セキララ結婚生活」、「たたかうお嫁さま」などの作品があります。実はこれらの作品は読んでません。あたしンちも単行本では読んだことないし。まだまだ未熟者なのでした。でも興味はあるのでそのうち読んでみたいですね。

★作品一覧(リンクはamazonへのものです)★
「あたしンち7」…2001/7発売の最新刊
「あたしンち6」…2000/7発売
「あたしンち5」…1999/8発売
「あたしンち4」…1998/6発売
「あたしンち3」…1997/5発売
「あたしンち2」…1996/5発売
「あたしンち1」…1995/4発売

「あたしンち」以外の作品は、結婚生活を綴ったエッセイ漫画が多いみたいです。
「セキララ結婚生活(講談社文庫)」
「7年目のセキララ結婚生活」
「いっしょにスーパー」…この本、図書館にあったので借りて読んでみました。絵もかわいくて面白かったです。巻末に顔写真が掲載されていたけど、ちょっとイメージと違ってました(^^)。
「おきらくミセスの婦人くらぶー(講談社文庫)」
「まったく若奥様って奴ぁ! (1) Kobunsha comics」…絶版のようです。
「たたかうお嫁さま」
「姫の俳道一直線 ECCENTRIC COMIC」…これも絶版。

★追記★
2002/4/4 な、なんと、「あたしンち」がアニメ化されることになりました。2002/4/19、夜7:30スタートです。読売新聞に連載されているのに、日本テレビではなくテレビ朝日での放送となることでちょっとした話題になりました。なんにせよ、これでファン急増は間違いなしですね!
テレビ朝日「あたしンち」公式サイト

また、玩具メーカーのセガトイズでは、「あたしンち」グッズ化の動きがあるようです。こちらも楽しみです。
セガトイズ
「あたしンち商品企画プロジェクトメンバー募集」のページ(もう終了しています)


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