56.Zちゃん ・ めぐりあい 2001.4.29


 キャラクターの中には、めぐりあわせを感じるのもいますよね。今回紹介する「Zちゃん」もそのひとつで。


Zちゃんとの再会

僕は最近、Zちゃんのことを、何度か見かけました。

Zちゃんは、最初に見かけたときと、何ら変わりのない光と闇を放っていました。

そう、出会ったのは、今から、えーと、10年近く、前のできごと。


Zちゃんを見た

僕がZちゃんをはじめて見たのは、ゲームの攻略本だったのです。
それは、マウスを使ってブラウン管に絵が描けるというソフトのガイドブックで、その本にはいろんな著名人が描いたイラストを載せているコーナーがあり、そこにZちゃんはいたのでした。

僕はZちゃんをはじめて見たとき、「なんじゃこのキャラクター」と叫びました。本当は叫んではいない、とは思うんですが、今思い返すと、そんな感じもするので、そう書いてみました。

そのくらいZちゃんが、当時の僕にとって、理解不能で、奇奇怪怪、それでいて無視することもできないような、そんなものに写っていた、気がするのです。


Zちゃんを見た・再び

ある日、僕は再びZちゃんを見かけました。去年のことです。「キャラデパ」というキャラクターグッズの通販雑誌に、載っていたのでした。

このとき僕は、「うわっ、Zちゃんだ」と感嘆の声をあげました。本当はそんな声、あげてないとは思うんですが、例によって、今思い返すと、そんな感じもするので、そう書いてみたまでです。

でも、僕はこの時になってはじめて、Zちゃんが、その場限りのオリジナルキャラクターではなかったことを知ったわけで、それになにより、”長い間、ずっとZちゃんのことが心の中で消化できずに、記憶に残っていた”自分自身に、対面したわけで、声をあげるくらいのこと、あってもおかしくないわけです。


Zちゃんを見た・再び(その2)

先日、僕は図書館に本を借りに行きました。
小さな町の、小さな図書館なので、品揃えはそんなによくないのですが(例えば、アランジアロンゾで検索しても0件だったり)、新しい建物なので雰囲気はいい感じなのです。そこで僕はZちゃんの絵本を発見しました。

Zちゃんの絵本があるなんて知らなかったし、なんでこんな小さな図書館にあったのか、しかも発見しやすい場所に置かれていたり、など、不思議を感じずにはいられないシチュエーションだったのですが、僕は声を発することもなくそれを手に取り、そのままカウンターに持っていったのでした。

僕がここでZちゃんの本を借りることが、当たり前のことのように思えたからです。


Zちゃんとめぐりあう、誰か

(もしかすると、Zちゃんとめぐりあうためだけのために、キャラクターのホームページなんてはじめたのかもしれないぞ、僕は。ふふふ)なんてことをひとりで思っていたところ、僕の前に、誰かが現れました。

いや、目に見える形で現れたのは姉だったのですが、姉のおなかの中には、赤ちゃんがいるとのことだったのです。姉は怪しげな育児の本を手にしながら、「賢い子に育てるなら、今のうちからおなかの赤ちゃんに絵本を読んであげたりしないといけないんだって」とかなんとか言ったのです。

なので、僕は何も言わずZちゃんの絵本を差し出しました。

姉はZちゃんを見るなり、これは一体何の真似だ、とでも言いたそうな顔つきをしていたのですが、これは絵本だというと、結局何だかよく分からないまま、Zちゃんを声に出して読んだのでした。

かくして、僕は誰かに、Zちゃんとの出会いをもたらすことになったのでした。生まれてきたら、「君が最初に出会ったキャラクターだよ」と、Zちゃんグッズをプレゼントするのも、いいかもね。


そして、Zちゃんとの出会いを、今モニターの前にいる君にも――。



▲この口が好き。すごく。




おまけ・Zちゃんについて

Zちゃんは1985年、井口真吾さんの手によって、漫画雑誌の「ガロ」誌上で漫画として登場しました。1992年に単行本「Z CHAN」(青林堂)が発売されています。絵本「Zちゃん かべのあな」(ビリケン出版)は1999年に発売されました。

ちなみにコラム中に登場した攻略本というのは「任天堂公式ガイドブック マリオペイント」(小学館)で、井口さんの他にも、さくらももこ&宮永正隆、スージィ甘金、楠見清、スケシン&藤原ヒロシ、ナンシー関、スチャダラパー、しりあがり寿といった方々の作品が掲載されていました。

Zちゃん…謎のアイマスクを装着した男の子。丘の上の家に青ねずみちゃんと住んでいます。

青ねずみちゃん(リチャード・セックス)…Zちゃんのおともだち。哲学好きのねずみです。

他にもローズちゃんカトウバンロッホと呼ばれるくま(?)のキャラクターなどもいるようですが、絵本には登場していなかったのでよくわかりません。


TOKYO TRASH…Zちゃんを紹介しているコーナーがあります(MIRVプロジェクト)。このサイトによると、この春にZちゃん関連の絵本が2冊登場するそうです。

CUBE…Zちゃんグッズを制作、販売しています。オンラインショップもあります。


おまけ:関連グッズ通販リンク(2002/4/4追加)

★書籍★
バンロッホのはちみつ…2001/9に発売された最新刊。今回はバンロッホが主役です。
Zちゃん―かべのあな…今回のコラムにも出てきた絵本です。
Zちゃん…昔出版されたZちゃんの漫画。絶版のようです。


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